医学薬学・生命科学

個の医療で考える事と公衆衛生で考える事

20091113_health_care殺人事件が起きた。容疑者と思しき 5 人は、みな少年だった。あなたは、善良な市民。被害者、容疑者とも面識は無い。

『風の噂で、容疑者 B の両親のプロフィールが舞い込んだよ。父親は炭鉱労働者で人を殺して服役中、母親は生活苦から万引きの常習だってさ』とあなたの親友から。。

さて、あなたは、誰が真犯人だと思うだろうか?


話は変わって「あなたインフルエンザです」と言われたとして、その根拠を聞いたことがあるだろうか?医師に向かって聞けない?ごもっとも。

インフルエンザの診断キットで陽性だった?

インフルエンザという病気の症状(高熱が出る)は、インフルエンザウイルスの感染が“必要”且つ“十分”条件だと思う?

インフルエンザウイルスに感染していても、発症しない、あるいは発症しても発熱が軽微な人がいると思う?

インフルエンザウイルスが他のウイルスと混合感染すると思う?

本当は他のウイルス(RSウイルス、アデノウイルスなど)が発熱を引き起こしているにもかかわらず、インフルエンザ診断キットで陽性が出たしまったら、インフルエンザウイルスによる発熱だと判断される事があると思う?それとも、臨床所見(喉の状態など)から違うと判断する場合があると思う?


インフルエンザ治療薬の治療効果を見る臨床試験で、本物のインフルエンザの患者かどうかは、何か特別な方法で試験して、完璧な診断していると思う?

予防接種して抗体(免疫グロブリン)が出来ると、全ての病気で発病を防げると思う?

インフルエンザの場合は、予防接種して抗体が出来ると発症を防げると思う?

新型インフルエンザワクチンの有効性は、発症が予防できたかどうかではなく、単に抗体産生の有無で判断していると言う事を知っている?


インフルエンザ診断キットの感度と特異度は何パーセントだか知っている?

そもそも、感度と特異度の意味を知っている?

例えば、エイズの診断で感度99.9%、特異度99.9%の検査をしたところ、陽性と出るとする。だが、この人がエイズに感染している確率は、統計学上、99.9%ではなく、約17%であることを知っている?

統計学上、健康診断で、20種類の項目を検査すると、どんなに健康な人でも、すべてが正常範囲に入る確率は、36%であり、20種類の項目を検査すると、必ず、1つは、正常値から外れる事になることを知っている?


以上に考えをめぐらせて・・・・、インフルエンザの診断が、真犯人が日本刀で被害者の首を切り落とすのを見るが如く、直接的に為されていると感じるだろうか?

もし、間接的だと感じるなら、容疑者 B を真犯人だと思わない理由は何故か?

犯罪者の子供が犯罪を犯す事は、優位な差を持って証明されている?

貧困層の生活者は、犯罪を犯しやすい事は、有意差がある?

IQの低い人は、犯罪を犯しやすい事は、有意差がある?

犯罪者の再犯率は、初犯率より高い?


今、目の前にある“高熱”という症状に100%確実な診断を下す方法が存在すると思うか?

予防接種をして、抗体が作られて、100%発症を抑制できるという例を、我々は、天然痘に見ることが出来る。それ以外の例を私は知らないが・・・・・。

今、健康な人を集めて、一つの部屋に入れ、インフルエンザウイルスを噴霧する。発病した人だけを集めて、自然についた免疫グロブリンがなくなる時間を空けて(1年?記憶B細胞、T細胞は無視)、再度、同じものを噴霧する。この中で発病した人を選択して、今度は、1ヵ月後に(免疫が自然に付く頃)に、もう一度、同じウイルスを噴霧する。

ここで、発病しなかった人を選んで、1年ほど経ってから、今度は、噴霧したウイルスに対応するワクチンを接種して、抗体が出来上がった頃(1ヵ月後)、本物のウイルスを噴霧して発病の有無を見る。

実験動物だと、免疫学的な個性が無い(クローン)からダメ。他の動物では、もともとインフルエンザウイルス感染で症状が出ない種があるからダメ。

と、本物の人間でやれるといいなぁ!!!いろんな事、わかりそうだなぁ!!
 
 
 
さて、健康診断や、病気の診断に使う、その臨床検査の“正常値”だが、、、

■20種類の項目を検査すると、どんなに健康な人でも、すべてが正常範囲に入る確率は、36%である。

■20種類の項目を検査すると、必ず、1つは、正常値から外れる。

■エイズの診断で感度99.9%、特異度99.9%の検査をしたところ、陽性と出た。だが、この人がエイズに感染している確率は、99.9%ではなく、約17%である。

って言われたら、、、

単純にビックリするか、あるいは、、、、、「ふ~ん」か、、、、、あるいは、むむむむ?本当なのか??今までの人生、俺が肌で感じてきた事と違う!違和感あるぞ!って。


何れにせよ、今、ここで、臨床検査値が無かった(正常値が決まっていなかった)時代を想像してもらいたい。

検査値の標準値(正常値)を作成する為に、体のどこにも不具合無く、すばらしく健康に生活している人達に集まってもらい、色々な検査、例えば血糖値、血清カリウム濃度、血中尿素窒素(BUN)、尿酸値などを測定したとする。

一つ一つの検査値は、ある値の周辺に多く分布し、その値から左右に遠ざかるほど、頻度が低くなる。つまり、数学の教科書で見かけた、左右対称で釣鐘型の分布となる。

この分布は1733年にフランスの数学者Abraham Demoivreによって発見され、正規分布に非常に近い。正規分布は数学的に表現され、計算の容易な平均値と標準偏差(SD)の 2 つによって規定されるので、取り扱いが簡単である。その為、医療の分野でも、さまざまな検査値について平均値とSDを算出し、通常「平均値±2SD」を正常範囲あるいは基準値としている。

なぜ、「平均値±2SD」なのかというと、、、、知りたければ、ご自分でどうぞ。。。というわけで、この範囲には健常者の95%の検査値が含まれるのだ。

これで、めでたく、正常値が出来上がった。


・・・で、現在、このようにして作った正常値を運用しているわけだが、、、


これは、逆の見方をすれば、健常者の 5 %は、必ず基準値外の検査値を呈することを意味し、健常者が 1 つの検査を受けて正常範囲の結果が出る確率は、その人が本当に健康であっても 95 %である事を意味する。必ず100%の確率で正常値が出るというわけではない。

これ、ほとんどの人が知っていても、感覚として、忘れている部分。

しかるに、計算上では、本当に健康な人でも 20 種類の検査をすれば、全ての検査が“正常値”に収まる確率は、0.95x0.95x・・・・と20回掛けると、0.36 、すなわち、36%という事になる。

『■20種類の項目を検査すると、どんなに健康な人でも、すべてが正常範囲に入る確率は、36%である。』が正しいことが、ご理解いただけたと思う。

サイコロの目が、6回中6回、“1”が出る確率の計算方法と同じってこと。


さらに、1 人の健常者が“互いに独立した排他的な”20種類の検査を受けると、どれか 1 つの検査値は必ず正常範囲から外れることになる。(臨床的には、完全に独立した検査項目ってのは少ないから、1つ外れると、2~3は芋づる式に外れることがあるが、まぁ、それはおいといて・・・・)

これは確率の足し算の法則(加法定理)によって説明される。

1 つの検査値が正常範囲から外れる確率は 0.05 であるから、仮に 2 つの検査値のいずれかが正常範囲から外れる確率は、、、、

  0.05+0.05=0.1

となる。つまり、Aの事象とBの事象の起こる確率がP(A)、P(B)である場合、AまたはB(A or B)のいずれかが起こる確率は 2 つの確率を加算した値、、、、

  P(A or B)=P(A)+P(B)

となる。これは直感的に理解されるはずである。

いずれかが起こればよいのであるから、それぞれが起こる確率より高くなることがわかる。

 したがって、20種類の検査を施行した場合に正常範囲から外れる確率は、0.05を20個加える、つまり、

  0.05×20=1.0

となる。

確率が1.0ということは、ある事象が必ず起こるということであるから、健常者が20種類の検査を受けると、どれか 1 つの検査値は必ず正常範囲から外れることになるのである。

夜の高速道路を歩いていて、1分間なら車に轢かれないけど、20分間歩いていればやがて轢かれる・・・と喩えは悪いけど、これなら直感的に理解できる。

『■20種類の項目を検査すると、必ず、1つは、正常値から外れる。』は、ご理解いただけたと思う。


ここが、“キモ”“肝要”である。


医療での検査が、もともと、このような処理のされ方、つまり統計学的な処理をされているのである。


でもなんか、釈然としない筈だ。「なんか、騙されているんじゃないのか?」って。


そして、自分の経験から、検査値から外れていれば、病気である事が多い。同僚を見ても、ご近所さんを見渡しても。『健康なのに異常値が出る確率が、64%(100-36)』とは、なんたることか!!


一般常識では考えられない!!

と。


どうして、そんな事になるのか?

検査の方法が出来上がると、病気の定義が変わる。健康であっても、正常値から外れる“モノサシ”を使って測っているうちに、、、って事だろう。

病気だと判断された根拠が、検査値が無かったころには“健康”だとされていた“価値観”“感覚”“自己認識”“コンセンサス”が「平均値±2SD」から外れたから「病気の可能性がある?」と判断されて、今度は、それが個人の“認識”を経て世間の“コンセンサス”に変化していく・・・・。

さらに、検査値が正常範囲内であっても、ご近所の旦那さんは、心筋梗塞で倒れたと言う話を聞くと、正常範囲内から外れている私は、、、、、、、と、追い討ちを掛けられ・・・

「あなた検査値は、正常の範囲から外れています」と言われて、病気の定義までを考えるような人はほとんどいないから、「健康な人と自分は違う」、「健康な人の検査値と違う」と感じ、それは『異常なこと』と考えるようになる。。。。


かくして、病気が検査によって“増える”。


それでも尚、「そもそも、どうして95%の範囲を取るんだ?100%を取れば、健康な人には異常値なんか出ないじゃないか?」と。

ごもっとも。でも、それやっちゃうと、本物の病気を見逃す可能性が高くなる。だから、確率論的に、統計学的に、落とし所が「平均値±2SD」・・・と。

それに、病気の人を集めて、その人達の検査値データを取り、“病気値”なるものを求めたとしたら、その左右対称で釣鐘型の分布は、正常値とかなり重なり合うだろう。(検査値=病気となる検査項目は存在しないのだが、正常値から外れることが病気であるとの勘違いが庶民の間に浸透している)


絶対値としての“治療が必要と感じる基準”が存在しないのは、世界の人口60億人に対して、人口1億ちょっとの日本が、タミフルの全生産量の7割から8割を消費している事を考えれば、病気(治療が必要と感じる基準)ってのは、その国民の“コンセンサス”であることが、ご理解いただけると思う。


以上のように、、、、
■20種類の項目を検査すると、どんなに健康な人でも、すべてが正常範囲に入る確率は、36%である。
■20種類の項目を検査すると、必ず、1つは、正常値から外れる。
は、間違いでも、まやかしでもないのである。


正常範囲をどのように設定するかということによって生じる、単なる現象なのだ。それ以上でも以下でもない。


さらに、臨床検査の性能を測る場合、“感度”や“特異度”といった概念がよく使われる。一般に使うイメージから類推すると、思わぬ誤解を生む言葉だ。

『■エイズの診断で感度99.9%、特異度99.9%の検査をしたところ、陽性と出た。だが、この人がエイズに感染している確率は、99.9%ではなく、約17%である。』が、予想に反する、、、どころじゃなく、「ウソだろ」って感じるのが普通だと思う。

ある検査をしたとする。その集団の一部の人は本物の病気だとして、彼らの検査結果は陽性だった場合、彼らは「真陽性」である。病気なのに検査結果が陰性だった人もいる。彼らは「偽陰性」である。

また、病気じゃない人で陰性だった人は「真陰性」、病気なのに検査結果が陽性だった場合、それは「偽陽性」である。

で、真陽性、偽陰性、真陰性、偽陽性の率を合計すると 100% となる。

臨床検査でいう“感度”とは、陽性と判定されるべき人数(個体数)のうち、実際に陽性と判定された人数の割合である。すなわち、(真陽性)/(真陽性 + 偽陰性) である。

つまり、「患者を陽性と判定する確率」である。感度が高ければ、患者を見逃すケースが減る。肥満の検査を BMI を用いれば、感度を上げるには、閾値を下げればよい。それにより、多くの人が“肥満”と判定される事になる。

臨床検査でいう特異度とは、陰性と判定されるべき人数(個体数)のうち、実際に陰性と判定された人数の割合である。すなわち、(真陰性)/(真陰性 + 偽陽性) である。

感度と同様、これは「患者でない者を陰性と判定する確率」である。特異度が高ければ、健康な人を患者としてしまうケースが減る。BMI の閾値を上げれば、本物のデブだけが、捕まえられる。

この“感度”と“特異度”に加えて、二項分類試験(病気か病気じゃないかを分けるような事)の性能の尺度として“陽性予測値”と“陰性予測値”がある。

“感度”と“特異度”は検査自体の性能の指標だが、こっちの方は、病気か病気じゃないかを判断する性能の尺度だから、直観的に分かりやすいだろう。

陽性予測値は「ある人の検査結果が陽性だったとき、実際に罹患している確率」である。計算式は(真陽性)/(真陽性 + 偽陽性)となる。つまり、陽性となった結果のうち、真陽性が占める割合である。陰性予測値も同様に計算できる。

このように、同じ計算式で求められる。が、感度自体を求める場合と、感度を使って臨床的な判断を下す場合には、これらの重大な違いを認識しておかねばならない。

感度と特異度は、検査結果の陽性と陰性の割合には依存しないという意味で個体群から独立している。実際、検査の感度を求めるのに必要なのは実際には陽性と判定されるべきケースだけである。しかし、予測値の方は個体群に依存している。

例として、99% の感度と 99% の特異度の臨床検査があるとする。健康な1000人と罹患している1000人の合計2000人に対してこの検査を行う。検査結果は真陽性と真陰性がそれぞれ990人で、偽陽性と偽陰性がそれぞれ10人となるはずである。この場合の陽性予測値と陰性予測値は 99% となり、非常にわかりやすい。

しかし、2000人のうち罹患しているのが100人だった場合はどうなるだろうか。この場合、真陽性が99人、偽陰性が1人、真陰性が1881人、偽陽性が19人となる。つまり、陽性と判定されるのは 99+19人で、このうち真陽性なのは 99人だけである。

従って、陽性と言われた人が本当に罹患している確率は 84% でしかない。

一方、陰性と言われた人は安心してよい。陰性といわれて実際には罹患している確率は(この場合)0.05% しかない。


日本でのエイズ感染者の割合(罹病率)は5000人当たり1人とすれば(正確な数がわからない)、、、、、、もう、お分かりですね?

100% の感度と 100% の特異度検査法があれば、話は簡単なのだが。。。。(99.9%の感度・特異度でも、最後には「じゃ、誰がどうやって本物の病気だって断定したんだよ・・・って、ニワトリとタマゴのような問題に突入しちゃう・・・・)
 
 
 
さて、健康診断でよく見かける風景。

「あれは、あくまで“標準”だから、個人差を考えれば、外れていても病気とはいえない」などと、強がってみたり、不安になったり、、、と、1人で心が揺れたり、あるいは、強がるだけの病気に無頓着な人がいたり、一つでも正常値から外れると自分は病気であるとクヨクヨする人がいる。

日経メディカルオンラインでブログ「アメリカ視点、日本マインド」を公開されている津久井宏行氏が、自身の経験として、非常に面白い話をされていた。「都会の老人と田舎の老人の病識にはかなりの差がある」というものだ。私は、氏のユニークで鋭い視点に関心してしまい、一読でファンになってしまった経緯があるが、それはおいといて。。。

田舎の老人は「どうして、こんなになるまで放っておいて・・・」「だって、この程度じゃ、恥ずかしくって病院なんぞに行けまい」というやり取りが多く、都会の老人は、この逆だというものだ。

氏は、この状態が良いとか悪いとか言うのではなく、病識に対してこれだけの格差のある状態を十把一絡げで「医療に差はあってはいけない」というスローガンのもと、ブルドーザーで大地を均すが如くの医療政策は、如何なものか?と疑問をていされていた。


私が、もやもやして、表現出来ずにいた事を、実に、スマートに喩えてくださった。

検査による帰結が100%にならず、尚且つ、検査自体が正しく分析出来ず(感度、特異度)、尚且つ、治療効果が100%でない現状においては、病気かどうかは、本来、本人が納得すれば、それで良いのではないかと思っている。


自分の人生なんだから。

それを、自覚症状も無いうちから、治療を開始したり、、、、

老化現象を病気にすり替えたり、、、、

病気だと思ってない人に、「あんた病気だから、病院にいかなきゃいけないよ」などと脅しをかけるコマーシャルなんぞは、どうかと思うぞ!!


個の医療とは、そういうものではないだろうか?

政府が考える、平等な医療は、現実には、なじまないんだけどねぇ。そのツケが、インフルエンザごときでの国民的パニック・・・・・。なんだかなぁ。

| | Comments (0)

『失われた眠り、取り戻される記憶』と『ハエの人工記憶』

20091024_hae睡眠不足による記憶や認知の障害が、薬で抑制することが出来る・・・・って聞くと、覚せい剤??ノリピー??って思うだろうけど、違うんだなぁ、これがっ!

答えは、ホスホジエステラーゼ阻害剤。

オイオイ、それって、普通に使ってるジャン!!

ってことで、定期試験真っ最中?の学生諸君は、徹夜で勉強する時には、夜に1錠、朝に1錠飲んで、学校に行って試験を受けてみよう!!

人体実験だぁ!!もし、効果があっても、ライバルには言っちゃダメだよっ!

でも、間違っても、お父さんに『バイアグラ、くれよ』なんて言わないようにね!!

お母さんの為に使っているならともかく、そうじゃないことが発覚でもしたら、家庭崩壊・・・・!

まじめな話なら、喘息の友達がいるなら、つぶさに観察してみよう!!徹夜にめっぽう強かったりしたら、テオフィリンのお陰だったかも!!(って、まじめな話じゃないジャン)

Nature 461, 7267 (Oct 2009)

睡眠が妨げられると認知機能に影響が及び、記憶や学習などの障害が起こることはよく知られているが、断眠が脳の機能に影響を及ぼす機構についてはわかっていない。

今回新たな実験で、サイクリックAMP経路、特に海馬のサイクリックAMP依存性プロテインキナーゼA(cAMP/PKA)に基づく可塑性の低下が、断眠が機能に及ぼす影響の標的であることが明らかになった。

ホスホジエステラーゼ阻害剤によってサイクリックAMPシグナル伝達を元に戻すと、記憶障害も回復する。

このことは、cAMP/PKAシグナル伝達の増強因子が、断眠が認知機能に及ぼす影響を抑止する治療法となる可能性を示している。

Letters to Nature p.1122


今朝、7時前に、携帯電話にメールが届いた。。。。

こんなに早く、、、何か悪い知らせ・・・・、なんてドキドキしながら確認すると、山形の後輩からだった。。。。「人工記憶」ハエに書き込み 英米チームが成功ってネタで。

今、それを調べていたんだけど、、、、、(asahi.com より)

『 ショウジョウバエに、ある種のにおいと同時に電気ショックを与える「訓練」を繰り返すと、その記憶をもとに、同じにおいを避けて動くようになる。研究チームは、そうした仕組みを担うショウジョウバエの脳の組織が12個の神経細胞(ニューロン)でできていることを突きとめた。

 光を当てる特別な方法で、訓練を受けていないハエの神経細胞を活性化させて「人工記憶」を書き込んだところ、ハエは危険を体験していないのに、そのにおいを避けるようになった。』

というもの・・・・・・・。

なるほど、ハエの場合は、『パブロフの犬』の条件反射が、たった12個の神経細胞で実現できているのかぁ!!こっちの方が、スゲェって感じるんですけどぉ。意外と単純なのかも!ヒトの条件反射も・・・・。

で、この12個が活性化していると、その匂いを避けるようになる。(ホントに匂いは特定できてんのか??)

ならば、12個を活性化してやれば、その匂いを避けるようになる。。。。?やったら、その通りになった・・・・。

でも、これ、記憶じゃないじゃん!条件反射は“記憶”って言わないジャン??それとも、生理現象の言葉の定義の問題?


まぁ、どっちにしても、朝も早よからのメールのやり取りでは、ハエの記憶から、映画マトリックスの世界に言及し、夢との相似から、ターミナルケアへの応用へと、話は飛んだのだった。

不治の病や老化に対しては、身体的な治療は意味が無い。ならば、他覚的には意識不明の状態でも、当人は、病気・老化のなかった頃の自分を夢見ながら(夢を見させられながら)、幸福のうちに死んでいくってのは、どうだい?ってね。

肉体至上主義で長生き=幸せの信望者たちからは、バッシングを浴びそうな話だけど。。。

まぁ、もっとも、ヒトの脳に刺激を加えて、夢もしくは幻覚を見させることが可能な時代には、脳以外の身体は、取替え可能になっているのかもしれないが・・・・。そうなると、脳の病気以外は、病気じゃなくなる・・・・・。

| | Comments (1)

クラリスロマイシンとインフルエンザ

20091019_knottiness今回のエントリーは、私の現場での生々しい出来事。。。。なんちゃって。。。。


某メーカーから、『クラリスロマイシンの粘膜免疫増強作用とインフルエンザウイルスの感染抑制効果』ってタイトルの印刷物を貰った。

読んでみたら『えっ、えっ、ちょっと、まってぇ~』って、感じだった。


つっこみどころは、裁判で言えば、『主文、被告人を~~~』じゃなくって、暴論、、もとい、傍論のところ・・・・・だから、クラリスロマイシンの効果とは関係ない。

う~ん、、だけど、気になる・・・・知らない医療人は、、、、誤解するじゃん、、、、それって、よくなくない???でも、誤解しても大勢に影響はない・・・・けど。

っていうか、メーカーの持ってきたものを、じっくり読んじゃイケナイ???


で、その突っ込みを入れたくなったのは、、、、

   ・
   ・
1.ヒト型インフルエンザウイルスの増殖率と組織障害性は、気道粘膜上のプロテアーゼとその阻害物質、さらに分泌型IgAの存在量比で決定されている。

細胞から出芽したばかりのヒト型インフルエンザウイルスの膜融合蛋白質のHAは、前駆体型のため膜融合活性を示さず、ウイルスはこのままでは感染性と増殖性を示さない。

このウイルスが感染性を持つように変化する為には、前駆体型のHAがプロテアーゼによって限定分解を受けて成熟型に変換される必要がある。しかしインフルエンザウイルスは、他のウイルスと違ってプロテアーゼ遺伝子を持たないため、ウイルス膜融合蛋白質前駆体の限定分解には感染宿主のトリプシン型プロテアーゼを利用しなければならない。その為、宿主細胞のトリプシン型プロテアーゼがウイルスの感染性と増殖性を決める重要な因子となっている。。。。
   ・
   ・
ってところ。。。。

最初、出芽する時、HAからNAによりシアル酸が切り離される、、、、って話しかなぁ?って。だけど読み進めると、なんか違うんだよ!(ココ!タミフルのターゲット)

アラ、コレ、ウイルス粒子のRNAが宿主細胞質中に放たれる直前に、HA自体が“ちょんぎれる”話だ。

でもこれ、読むと、出芽したウイルス粒子が、他の未感染の細胞に吸着する前に、HAが分解されて成熟型にならねばならないって読めるよねぇ?

推理力を働かせるにしても、日本語の表現の限界であるにしても、どうやっても、吸着後、エンドソームを形成し、細胞内に取り込まれた後の、、、、というイメージは描きにくいんじゃないかなぁ!

いずれにせよ、吸着する前にHAがトリプシン型プロテアーゼで切断されてしまっては、吸着できない。だって、吸着する為のHAのシアル酸認識部位は、切断され捨てられちゃう側にあるんだから・・・・。

シアル酸認識部位を持たない、成熟型?HAで、どうやってウイルス粒子は宿主細胞を目指すというのか・・・・?


この論文の趣旨は、こんな所にあるわけじゃないので、端折ったのかも知れない。。。。でも、端折りすぎ・・・・だと思いませんかぁ?


さてさて、前回のエントリーで、小児感染症に“抗生物質”の使用が少なくなってきたって事を書いた。

喜ぶべき事だとも書いた。

そういうご時勢の中、過日、お子さんを持つお母さんから電話を貰った。

質問の趣旨は、「抗生物質を飲むと、子供にアレルギーを発症しやすいって聞いた。夫婦共にアレルギー体質なのだが、病院で貰った抗生物質は飲まなければならないか?」というもの。

私は、感慨にふけってしまった。。。。衛生仮説(hygienehypothesis)も、世のお母さん方に浸透しつつあるんだぁ。。。。って。
ウルウル(T_T)ウレシイ

と、涙ぐみながら、患児の抗生物質絶対適応の有無を確認し、、、、、、、、抗生物質の免疫系の発達に与える服用の頻度と量とのバランスを、、、、、、、で、、、、、、、と、アドバイスした。。。。。(かなり脚色中・・・)

免疫学が好きで進化にも手を出したせいかどうかわからないけど、私は、常在微生物は、ヒトの発達・発育に関与しているって感じている・・・・・っていうか、あたかも、ヒト細胞中のDNAに足りない遺伝子を常在微生物の持つ遺伝子が補完している・・・・ように感じている。(成人の抗生物質とアレルギーの関係は“まゆ唾”っぽい?)


タミフル登場で、世の中のコンセンサスが、「インフルエンザはウイルス性疾患で、ウイルスには抗生物質は効かない」って浸透してきたところなのに、『クラリスロマイシンがインフルエンザに効きます』なんてやったら、20年、逆戻りしちゃう。

私は、クラリスロマイシンに“抗菌作用”がある限り、この「インフルエンザに効く」って現象を臨床応用する事に“賛成”するつもりはないなぁ。だって、理屈からすりゃ、予防的に飲み続けなきゃ意味ないんだからねぇ。

メーカーは、この粘膜免疫増強作用だけを切り離した薬剤を開発すべきだ。予防投与できる“抗インフルエンザ薬”として。

まぁ、治療にしても予防にしても、タミフル、リレンザがショボイので、次の一手が開発されるまでの間の繋ぎで、『抗菌作用を期待して投与しているわけではない』を患者さんに理解してもらい、同意の上で、投与するのは吝かではないけれど。。。。。
 
 
 
再度、くどいけど、書いておこう。インフルエンザ粒子がシアル酸をターゲットにHAを使って細胞に吸着し、その後、エンドサイトーシスに細胞内に取り込まれ、そのエンドソーム内で、HAがトリプシン型プロテアーゼで切断され、、、、(アマンタジンのターゲット M2プロトンチャネルが仕事するのも、この状態の時)、、、、、その後、インフルエンザRNAが細胞質に放出され、複製され、成熟して、宿主細胞膜に裏打ちするように並び、その後、出芽する(出芽した後、遊離するのを阻害するのがタミフル)。

簡単だけど、コレくらいのウイルスライフサイクルは押さえておかないと、薬の作用機序は理解できないよん。

シアル酸は全身の細胞に発現している糖鎖だから、インフルエンザ粒子は、血流に乗って全身に移動し、血管内皮細胞も含め全身の細胞に吸着し、取り込まれる。。。。が、HAを切断できる酵素を発現している細胞が、気道粘膜に限局されるから、インフルエンザウイルスにより破壊される細胞は、気道粘膜に限局される。。。。しかし、このトリプシン型プロテアーゼで切断されるHA側の部位の遺伝子領域は、変異しやすい、、、、。

ここまでが、基本中の基本・・・で、さらに、要所々々で、免疫学的な人体の側の個性が顔を出すから、ややこしいが、ここは、きっちりと分けて考えられるようになっておきたいところ。

全身に普遍的に存在するプロテアーゼで切れちゃうアミノ酸配列をコードする塩基配列に変異したら、、、、、、全身の細胞が破壊される。強毒性型のウイルスだ。また、人間の側の個性で、切断しちゃうと、そのウイルスは、その人にとっては強毒型のウイルスとなる。逆に、強毒型のウイルスでも、100人中100人死なないのが、ヒトの多様性。

んで、発現するプロテアーゼとそのインヒビターの発現量に個人差がある・・・・・。どうして、プロテアーゼとそのインヒビターを同時に発現してるんだ?人体は?ブレーキ踏みながらアクセル踏んでスピード調節してるみたいなもんじゃん??って問いには、赤芽球とエリスロポエチンの関係を例にするとわかりやすいかも!要するに、冗長が生命の“ロバスト性”を実現しているわけよ!

タミフル、リレンザの作用機序は、出芽するまでを許してしまう。だから、強毒性型のウイルスに効くって思っている人は、オメデタイ。

この理屈の強毒性型のウイルスが出現したら、、、、、、タミフルよりクラリスロマイシンの方が、効きそう、、、って思うのは、自然な事だ。。。。ただ、クラリスロマイシンの“理屈”が、試験管内ではなく、人体で効果的じゃなければならない。最近じゃ、ヒトから取り出した細胞使っての試験管内のことも、in vivo って言ったりするらしく、ややこしいから“人体実験で”って言っておくけど。。。。

じゃ、香港で流行したH5N1型鳥みたいに、NS1遺伝子が関与するサイトカインの働きに“抵抗を示す”タイプの強毒型のウイルスの場合は、、、、、どうなるんだ??

まぁ、クラリスロマイシンは、感染の最前線、すなわち粘膜での侵入を許さないって理屈だから、効きそうだけど、、、、“人体で”で証明できなきゃ・・・ねぇ!?
 
 
と、余韻を残しつつ、次回に続く・・・・・・・(のかっ?)

| | Comments (0)

FasLの非アポトーシス作用

20091002_evolution_theoryこのタイトルに、ギョっとした方もいるのではないだろうか?私も、『ギョ』っとなった。

Fas のリガンドに、アポトーシス誘導以外の作用があるなんて!!

・・・・これは、とりもなおさず、Fas 自体に、そのようなシグナルを伝達する経路が存在していたという事だ。あるいは、経路を共用していた。。。。。

喩えれば、ゴルゴ13 がターゲットに向けて放った銃弾が、相手(場合)によっては致命傷にならず、それどころか“益々血気盛ん”になってしまう・・・・・みたいな現象だ!

細胞:FasLの非アポトーシス作用

Nature 461, 7264 (Oct 2009)

細胞膜貫通タンパク質であるFasL(Fas ligand)は腫瘍壊死因子ファミリーに属し、免疫調節で主要な役割を担っている。

FasLがその受容体に結合するとアポトーシスが誘導されるが、FasLの細胞機能の中で細胞死がどの程度重要なのかは明らかになっていない。

今回、分泌型FasLは欠くが膜結合型FasLの発現は正常であるマウス、あるいは膜結合型FasLは欠くが分泌型FasLは産生するマウスを遺伝子ターゲッティングにより作製して実験が行われ、可溶性FasLがアポトーシスとは無関係の機構で自己免疫と腫瘍形成を促進することが示された。

Letters to Nature p.659


進化論的に見りゃ、妊娠中、妊婦の血糖値が上昇するのは、太陽が東から昇るが如く、生理的だ。胎児は自分への栄養を多くする為に、母親の血糖値を上昇させる。。。胎児側の因子が、母体のインスリン抵抗性を惹起させるのだ。。。。。

その為に、胎児はすくすく成長するわけだが、、、、産後の栄養管理が行き届いた現代では、胎児がすくすく育つ事は、デメリットとして考えられるようになった。

論文中にある『しかし、胎児の過成長、肩甲難産、帝王切開、高血圧性疾患のリスクは減少した。』と言う言葉が如実に表している。。。。。


私は、このような状態を積極的に治療することが、はたして良い事なのか疑問に感じているのだが、、、、、

(小学5年生で自殺しなければならない子供を生み出す社会環境は、こんな所から始まっているのかも?本来なら淘汰されていた脆弱な子供が生まれる。生まれた後も過剰な介入。子供のささいな喧嘩に介入する教師も教師だが、それを問題にする親も親。虐められた子供の親の過剰な反応が教師の過剰な反応を誘導する。もしくはサボタージュを誘導する。世の中のすべてが、現象に過剰に介入しすぎるように思うのだが・・・・妊娠や老化に介入する・・・・良い事なの??そういゃ~、万引きした子供の親の中には、万引き出来ないようなシステムを作っていなかった店が悪いという輩がいるらしい。。。。妊娠中の高血糖が悪い事だというのに、少し似ている・・・・かなっ?)

軽度妊娠糖尿病に対する治療の多施設共同無作為化試験

A Multicenter, Randomized Trial of Treatment for Mild Gestational Diabetes

M.B. Landon and others


背 景

軽度妊娠糖尿病に治療を行うことで、妊娠の転帰が改善されるかどうかは明らかでない。


方 法

妊娠 24~31 週で、軽度妊娠糖尿病の基準(経口ブドウ糖負荷試験で異常を認めるが、空腹時血糖値は 95 mg/dL [5.3 mmol/L] 未満)を満たす女性を、通常の出生前ケアを行う群(対照群)と、食事療法・血糖値の自己測定・必要に応じてインスリン治療を行う群(治療群)に無作為に割り付けた。主要転帰は、死産または周産期死亡と、高ビリルビン血症、低血糖症、高インスリン血症、分娩外傷を含む新生児合併症の複合転帰とした。


結 果

958 例のうち、485 例を治療群、473 例を対照群に無作為に割り付けた。複合転帰の頻度に両群間で有意差は認められなかった(治療群 32.4%、対照群 37.0%、P=0.14)。周産期死亡はなかった。しかし、治療群では、対照群と比較して事前に規定した副次的転帰のうち、平均出生体重(3,302 g 対 3,408 g)、新生児脂肪量(427 g 対 464 g)、妊娠期間に比べて体重の重い新生児の割合(7.1% 対 14.5%)、出生体重が 4,000 g を超える新生児の割合(5.9% 対 14.3%)、肩甲難産の割合(1.5% 対 4.0%)、帝王切開の割合(26.9% 対 33.8%)が有意に減少した。また、妊娠糖尿病に対する治療の実施は、通常ケアと比較して、妊娠高血圧腎症と妊娠高血圧の発症率低下にも関連していた(2 つの複合発症率 8.6% 対 13.6%、P=0.01)。


結 論

軽度妊娠糖尿病に治療を行っても、死産や周産期死亡、新生児合併症を含む複合転帰の頻度に有意な低下はみられなかった。しかし、胎児の過成長、肩甲難産、帝王切開、高血圧性疾患のリスクは減少した。(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00069576)


N Engl J Med 2009; 361 : 1339 - 48.
(C)2009 Massachusetts Medical Society.


インフルエンザの予防接種の案内が65歳以上の人を対象に届いている。私の母親のところにも届いた。色々と記入するところが多く、ブツブツ文句を言いながら書いている。

『効果あるのかなぁ?』と母

これに答えるには、ワクチンの投与経路により誘導される抗体の違いから始めなくてはならない。。。。いつもの事だが、説明が面倒(どうせ理解されない)なので・・・。

『やってみなきゃ、わかんないよ』と私。


巷でも、私の母同様、疑問に思っている人は多いだろう。


政府、行政、専門家・・・・・彼らの答えは、、、、ハッキリ言って、韻文調で“心に訴える答え方”なんだよなぁと感じる。


理論的に知性に訴える説明じゃない。


それが証拠に、筋注での投与では IgG クラスが誘導されるだけだから、感染予防には効果は無い。ただ、発症するかどうかは、産生される IgG の量による。量は体質とその時の環境によって決まる。。。。とは説明しない。

吸入(現在、開発中)ワクチンなら、インフルエンザウイルスの人体への侵入経路である粘膜面に分泌型 IgA が誘導されるから、この量が十分なら、文字通り感染が予防される事になるのだが・・・・・。

ポリオは感染経路通りにちゃんと飲ませてるのにねっ。(でも、ロジカルな説明はなされてるのかなぁ?お母さん方はしってるの?何故、注射じゃないのか?あっ、下手に説明しとくと、インフルエンザの時、困っちゃう?喉や気管から入るのに、どうして注射なんだ?ってやぶへび?)


ところで、感染の予防と発症の予防、、、、違いを理解している庶民はいるのだろうか?


新聞などでは、『発病しても重症化しない』と書いてある。まさに IgG が十分にあれば、サイトカインストームが惹起される体質の人を除いては、重症化しない。正しい事を書いてはいるのだが、、、、、語数制限しちゃイケナイよねぇ!理論的な話をする時には!


専門家じゃなくても話せばわかる教養のある人はいるはずなのに、ロジカルな説明がなされないのは、理解不能な人にレベルを合わせているからだろう。


これって、、、、、やっぱり、、、、宗教、、、それも仏教なら大乗仏教・・・だっ!


私が、常々、感じている“現代医療と宗教の類似性”は、こんな所から来ているのかしれない。


世の中(庶民)のコンセンサスでは、「血糖値が高い事は悪い事だ!」がある。

If "状態" ne "妊娠" {
print "「血糖値が高い事は悪い事だ!」"\n;
} else {
print "「血糖値が高い事は胎児には良い事だ!」"\n;
}

は、庶民には難しい!

ならば、すくすく成長する事も“悪い事=リスク”にしちゃえば、簡単!!


私の言う事を聞いていれば、幸せになれますよ!!
   なみあむだぶつ(念仏)
   ほうれんげきょう(題目)

おおっ!!

ゴルゴ13 のターゲットのターゲットのように、人体のナゾは、まだまだ深い。


医療で心に訴えるお話してどおすんだ?ってのが私のスタンスなんだけど、心に語りかけて欲しい人(患者)が多いのなら、『なるようにしか、ならねぇよ』じゃ救われないってのも、理解は出来る。


一体、私は、なにをしたいんだろう???


業界紙をみれば、薬剤師学術大会でどっかのバカが“これからの薬剤師”の仕事のやり方を蕩蕩とといているらしい。自分らで“患者に良かれ”と思ったことを押し付けてるわけだ。そんな事、望んじゃない患者だって多いのに。

これだって、『私に任せれば・・・・』だ。宗教だよ。


やっている事をサイエンスにしたいなら、サイエンスは“残酷”だという事を理解しなきゃ!価値観を押し付けて、私に任せなさいっ・・・・は、牧師や坊主の仕事だろう!!


・・・・・だけと、最近、お坊さんか牧師さんになりたい私。。。。。分子生物学は趣味にしたい。。。。。もう、すでに、趣味かっ!

(。_゜)☆\(ーー;)バキッ  happy02

| | Comments (2)

C型肝炎の治療効果予測マーカー

20090918_the_reverse__side(写真は、ゲーム【テトリス】の製造工場)

松本清張の短編『葡萄唐草模様の刺繍』に出てくる、テーブルクロスを売っている店の女主人を、良い人か悪い人か、はっきり言える人はいないだろう。。。


夫婦二人で出かけたヨーロッパ旅行。町で見かけた素敵なテーブルクロスを気に入り、売っている店を教えてもらう。店にはいろいろな品があり、輸出はしてないとのこと。妻は大喜びで買い求めた。

夫には別に愛人がいて、妻にばれないように後で彼女の分も買うわけだが、その時、女主人に『これは、妻の知らない自分の友人に贈るものだから、どうかそのつもりでいてほしい』と。女主人は言葉の意味を十分理解して『ウイ、ムッシュー』と。

後日、愛人が殺され、テーブルクロスが重要な意味を持つ事になる。

東京の警察から照会があった女主人は、男との約束を頑なに守ってくれる。。。。


女主人の事情を知っている読者は、女主人に対して『この女は悪いやつだ』とは思わないだろう。事情を知らなかったら、、、、、、警察に嘘つくなんて、、、、、って?


私は、最近、郵便やさんが非常にサービスがよくなったことに戸惑いを覚えている。

書留を配達してくれる時など、以前なら『書留だから印鑑・・・、ここに』みたいにぶっきら棒だったのが、『お昼時に申し訳ありません。お手数ですが、書留ですので印鑑をお願いします』『今年も、10月から年賀はがきを販売します。ご自宅までお持ちいたしますので、どうぞ、よろしくお願いします』だもん。

ハッキリいって、ちょっと気持ち悪いのだが、これに満足している国民も多い事だろう。

でも、郵便の民営化は“悪”らしい。私には、何が悪なのかさっぱりわからないのだが・・・。『葡萄唐草模様の刺繍』のように、私の知らない事情があるのだろうか?

全国民を巻き込んで、民営化を“悪”にしちゃうんだから、勘繰りたくもなる?

デレビでやっているのは、地方では郵便局が無くなって“不便”になった、老人は年金を受け取るのも、一苦労している。。。。っていうものだ。私の知る限り・・・。

地方の人達が不便に感じるのは、今まであったものが無くなったから??それとも、都会のように便利なところと比べて、、、隣の芝生は青いのに、、、ってこと?

不便な事に“不満”を漏らせば、その不便を“悪”にしてくれて、国が不満を払拭してくれる・・・・・。


---なんて、いい国なんだろう---


でも、小泉純一郎が嫌い・・・・だから、ヤツが決めた事はぶち壊してやる・・・だったら、、、、、


---なんて、怖い国なんだろう---


さて、知らないと、印象が違うってものを、もう一つ紹介しよう!

この論文を読む前に、【ミトコンドリアが進化を決めた】ニック・レーン著を読んでいたら、、、、本論文中の「この研究の倫理的側面については、本誌8月27日号 Editorial p.1057を参照していただきたい」に対する印象が違うはずだ。

これは、私が責任を持って保障しよう。大した事じゃないけど。

細胞:欠陥ミトコンドリアDNAの交換修理

Nature 461, 7262 (Sep 2009)

ミトコンドリアDNA(mtDNA)は母親から子へと受け継がれ、精子のミトコンドリアは胚のDNAに全く寄与しない。

mtDNAの変異は、2型糖尿病、ミトコンドリア性筋障害や神経障害をはじめとするさまざまな疾患と関連している。

8月26日に本誌オンライン版に先行発表され、今週号に掲載されている論文では、非ヒト霊長類モデルを用い、核を取り除いた卵にほかの卵から紡錘体-染色体複合体を移植することで、欠陥のあるミトコンドリアゲノムを交換できることを実証している。

この実験では、2匹の雌アカゲザルから得た未受精卵が、「核」および「細胞質」のドナーとして使われた。

こうして作製した卵を受精させて胚まで発生させ、それを代理母に移植した結果、健康な双生仔が生まれた。

この2匹は、ミトコンドリアの可視化に用いられるプローブにちなんで、MitoおよびTrackerと名付けられた。

この結果は、mtDNA疾患の家系で疾患の遺伝を防ぐ見込みのある方法を示唆している。

この研究の倫理的側面については、本誌8月27日号 Editorial p.1057を参照していただきたい。

Articles p.367

News and Views p.354


民主党には、叱咤激励のつもりで書いている。責任が伴った上で行動する人に対して、文句ばかりをいうのは、私の主義に反するからだ。(無責任に言葉を発するヤツは嫌いなだけ。理路整然としていればいるほど)

無駄を省く・・・が民主党の主徴だが、無駄の定義が難しい。もちろん、こんな事は私が言うまでも無いが、実体、、、現実を知らないで言っているとすれば、政権の座を奪われるのは必至だ。


たとえば、医療費を抑制する為には、こんなことが有用だ。

インターフェロンが効く人と効かない人を予め選り分け、無効な人には投与しないという方法だ。

現実は、残酷だ。論文では『患者にとって負担の大きいインターフェロンを使う治療計画が遵守される率が上がって臨床成績が改善される可能性が出てきた』と言うところにしか注目してないが、結局、背反する現実を言葉に出来ないでいる。

せっかく効果がある遺伝のタイプなのに、お金が無いから治療を継続できない、、、、こんな無念な事は回避できますよ・・・と言っているわけだが、今まで、藁をもすがる思いで注射していた人達には、『あんたたちには注射打っても意味無いから、これからはしません』というエビデンスにもなるわけだからね。

現実的には、薬の効かない人に薬を投与しても“意味は無い”ばかりではなく“副作用”が心配なのだが、世の中の人は薬を使用しないと不安が増徴するらしい・・・・。

民主党のポリシーは、不満のある人の言葉は、何が何でも聞き入れるということみたいだが、使用しても意味の無い人が『俺たちを見捨てるのか?』と言い出したら、どうするんだろう??

やるんだろうなぁ・・・・きっと。無駄遣い。

医学:C型肝炎の治療効果予測マーカー

Nature 461, 7262 (Sep 2009)

およそ1億7,000万人ともいわれるC型肝炎患者の多くは、深刻な症状がみられずに生活を続けているが、患者のほぼ4人に1人は肝硬変を発症する。

今回、C型肝炎治療に対する個々の患者の応答性を予想するバイオマーカーが発見され、患者にとって負担の大きいインターフェロンを使う治療計画が遵守される率が上がって臨床成績が改善される可能性が出てきた。

この新しいバイオマーカーは「1文字」、つまり1つの塩基の遺伝的変異であり、インターロイキン28B(インターフェロン-λ3)をコードするIL28B遺伝子近傍のDNA領域でT(チミジン)がC(シトシン)に置き換わっている。

この知見により、ヨーロッパ系(IL28B周辺の変異が高頻度でみられる)、アフリカ系、そしてアジア系の患者の間での治療成績の違いがある程度説明される。そして重要なのは、このマーカーが臨床にすぐに役立つことだ。

Letters to Nature p.399

News and Views p.357


無駄を省く、、、、無料にする、、、、結構な事だ。

政策が悪い、、、不満を持つ人達は、満足している人達より声をあげやすい。

国の舵取りは、ピース余りのジグソーパズルだ。それも、かなりの余りのある。それをピッタリと合わせるのは不可能な筈だが、名案があるらしい。民主党には。公務員を減らすと言っておきながら郵便局の公務員は増やすんだからシロウトにはわからない領域だ。御手並み拝見!


もっとも、国民の不満を洗いざらい払拭した後、メチャクチャになった日本を、『ホラ、あなた達国民が、要求ばっかりしたから、こんなになったんだよ』って言うなら、私は、民主党支持者になるだろう。

ケネディは『あんたら、国に何かをしてもらおうなんて思っちゃイケナイぜ!あんたらが国に何を出来るか考えなきゃ国なんて良くなんないんだから』って言ってた。

これを言う為に、一旦、『我がままを押し通すと、国も壊れる・・・』ってのを国民に理解させる機会を作っているとしたら、民主党に献金もするよっ!!

| | Comments (2)

エイズとインフルエンザとスギ花粉

20090909_multiplication先日、患者さんとのやり取りで、ある事を気づかされた。

そのやり取りは後述する事にして、気づいたことと言うのは、微生物は増殖するという事を知識としては知っていても、マスクのインフルエンザ予防効果を判断する知恵にはなっていないという事だ。

これは、おそらく間違いないと確信したのだが、日本でエイズが増えている原因もここにあるんじゃないかと。

『5回のうち、4回もコンドームつけてんだから、ほとんど染んないんじゃない?』

『事実、他のヤツ等も、そうしてて染ってないんだから』


新聞やテレビ、ネットでも良く見かける『インフルエンザの予防に関しては、マスクを過信しないように・・・』にも、理由は書いてないし言ってない。多分、こんな事は誰でも知ってるから、敢えて書かないし言わないのだろうが、、、、


知ってても、知恵になっていないんだから、書かなきゃダメ、言わなきゃダメだと思うんだけどなぁ。


って、わかり易く言えば、ウイルスは体の中で“増殖”するから、1個でも入ったら、“感染成立”って事なんだよね(発病するかどうかは別問題)。1個が2個、2個が4個、4個が8個、8個が16個、16個が32個、・・・・・って指数関数的に増える。

マスクをせずに、最初に10個体に入ったら、最初の増える過程が省略されたのと、同じ事。そして、マスクをしている間は1個も体に入らなかったとしても、24時間、マスクをし続ける事は、不可能。一瞬でもマスクを外した時に、1個が体に入ったら、マスクをしていないのと同じ事。。。。(1個が10個に・・・って言うと『ふーん』だけど、ウイルス暴露が10倍っていうと『うわっ』てなり、マスクをすると1/10に減る、9割カット出来るって言えば『おおっ』ってなるんじゃない?)

5回のうち、4回コンドームつけて性交しても、1回、“生”でやった時に、HIV に遭遇したら、、、、、後の4回は、無駄骨。。。。。。


患者さんとのやり取りは、こうだ。

患『マスクって、効果あるのかねぇ?』
私『インフルエンザの予防って事ですか?(まっ、今の時期だからなっ)』
患『うん、そう。花粉症なんかには、結構イイでしょう?大きさ(粒子径)が違うから、花粉には効くのかねぇ?』
私『うん、いや、粒子径は、あんまり関係ないんですけど・・・・』
私『まぁ、気休めでも、しないよりはしたほうがいいんじゃないですかぁ』


現場での私は、ブログの私と違って、とっても歯切れは悪い。っていうか、予防効果が期待できない理由を時間をかけて説明しても、誰にも大げさな利益は無い・・・・?別に高額なもんじゃないし、後で『マスクしたのに罹った』って文句を言われるわけでもないので、適当にやってるんだけど。。。。気分は悪い。自己嫌悪だ。

わかんなきゃ、時間かけて説明したい。。。。でも、その行為が、経営的にマイナスなら、立場上、背任、、、、、。なんて、大げさに自分を納得させてみたり、、、、。

閑話休題。インフルエンザなんてのは、結局、どうでもいいんだけど、こんな感覚が蔓延することが、気がかりなのだ。

予防するには、徹底的にやらなきゃならない。

たとえば、後から非難轟々だった空港の検疫。

10人の感染者がいたとして症状の出ている7人をとっ捕まえたとしても、症状が出ていなきゃ3人は見逃されるわけだ。

時間の経過と共に生体で微生物が増殖するのと同じで、集団の中で感染者も増える。

最初に10人が国内に入り込むのと、検疫して3人に減らせるのと、結局は、結果は同じだ。感染者は、時間が経過すれば、同数になる。数時間、遅くなるだけ。現代医学で、この数時間を有効利用出来るかと言えば『NO』だ。

検疫やるなら、全員を空港で最低発病するまでの時間は足止めすべきだろう。そうしないと、検疫の意味は無いのだ。中途半端なら、やらないのと、同じ。(他のクリティカルな感染症ならやってる事。感染経路を鑑み、足止する人は限定されるけど)

でも、たかがインフルエンザだから発病するまでの時間、全員足止めは出来ない、、、、何かやらないと、、、、やっているフリしないと後で市民団体やマスコミが五月蝿いから、、、、そして、挙句の果て、、、


『それはそれで、一定の効果はあった』


・・・・・なんてやるもんだから、、、、

『5回のうち、4回もコンドームつけてんだから、染るワケないよ』ってなっちゃう。


それを助長する、日本人の性質、

・・・・・豪華客船が今にも沈没しようとしていた。

「さあ!救命ボートがあります。海に飛び込んでください!」
船員は叫んだが、まだ多くの乗客達はためらっていた。

「誰が一番に飛び込みますか?」
・・・・・アメリカ人達が飛び込んだ。
「紳士ならば、飛び込めますね?」
・・・・・イギリス人達が飛び込んだ。
「さっき、美人が先に飛び込みましたよ!」
・・・・・イタリア人達が飛び込んだ。
「飛び込むことは規則になってます!」
・・・・・ドイツ人達が飛び込んだ。

「みんな飛び込んでいますよ!」
・・・・・最後に日本人達が飛び込んだ。


・・・・・皆がやっている事は、アプリオリに正しい事だと思い込む性質、


これが、サイアク。


インフルエンザなら、笑い話になることでも、エイズやその他の感染症(強毒性のインフルエンザも含む)じゃ、洒落にならない。


あっ、花粉は体内で増殖しません!花粉がどれだけ吸い込まれるか、、、、によって、症状が決まります。教科書的には抗原抗体反応は、用量依存的なものじゃありません(人の感覚では非常に少量で敏感に反応するから教科書ではこういうことになっているけど・・・)って事になっているが、花粉にある抗原蛋白がエフェクター細胞上のIgEに結合する量は、多ければ多いほど脱顆粒を惹起します。人の感覚では“目くそ鼻くそ”ほどの差でも。

だから、マスクをしている間は、症状が穏やかになります。

ウイルス感染予防とは、基本的に予防のロジックが違います!!!


でも、マスク作ってるメーカーもひどいよねぇ。『花粉、ウイルス、シャットアウト』とか書いてあるし・・・・・。フィルターとしての機能が予防効果として同等に機能するって勘違いを助長させる。。。。。。

『マスク正しく装着しないと、ウイルス感染予防効果は期待できません』。。。。なんて注意書きは“甘い”!!

『家を出てから帰るまで、一回も外しちゃダメ。完璧を期さなきゃ、しないのと同じです』くらい、書けないもんかねぇ・・・・。

たとえ似た状況でも、完璧を期さなきゃ結果が得られない事(デジタル的?)と、適当でも適当に結果が得られる事(アナログ的)が、あるって事を知ってりゃ、、、、、、、、


まぁ、いいかっ。

| | Comments (0)

赤いアフロ --- 片頭痛があると乳癌リスクが小さくなる

20090803_macdonald片頭痛持ちの体質(遺伝子レベル)が乳がんを発症しづらくしているのか、片頭痛を起こしている病態(神経系、内分泌系、免疫系)が乳がん細胞に影響するのか、片頭痛の治療薬が乳がん細胞を叩いているのか、はたまた、神経系、内分泌系、免疫系を介して抗がん作用を発揮しているのか・・・・・?

機序は不明としながらも、筆頭著者で乳癌疫学者でありフレッド・ハッチンソン癌研究所(シアトル)の公共衛生部の準会員でもある Christopher Li, MD, PhD は、生殖ホルモンの変動との関連に言及している。片頭痛はエストロゲンレベルが低下した時に発生することが多いと。


・・・・・・最近、この手の知見には、あまり『へぇ~』とも感じなくなってきている。これって、生物の多様性の一つだと考えるようになったからだ。

ヒトの体を古典的な平均値で“測る”のは“万人”に解りやすかったから、これだけ、疫学的な解析が現代の医療界で幅を利かせているのだが、本来、個の医療には向かないのは、ちょっと考えればわかることだ。

怪我や交通事故で負った身体的な傷害では、施術が必要な事は論を待たないが、身体の中から発生してくる“障害”は、万人に共通の適切な方法は無いといっても良いのかもしれない。

いや、施術(投薬も含めて)する事に、統計学的なメリットはあるのだ。ただ、その恩恵を受けられる患者の抽出方法に問題がある、、、というより、決定的に稚拙なのだ。

しかし、これが解るという事は、逆に言えば、その個人が、将来どんな病気になるのか予測が可能になるということだから、医療が、今とはまったく違ったものになる。。。


人は、みな平等である。


この言葉を、医療の世界に持ち込む場合、もう少し、言葉を足すべきである。

そうすることで、現在の医療の世界にある、医学的には解決不可能な、もろもろの問題(モンスター患者も含めて)を、すこしでも減らすことが出来ると考えられるからである。

人は、医療を受ける権利は平等に持つが、同様の医療を受けても結果が同じ保証は無い。

2009年7月14日 提供:WebMD

偏頭痛持ちは乳がんのリスクが小さくなることが、追跡研究で確認された

Kathleen Doheny


【7月9日】片頭痛持ちの女性は、片頭痛を起こさない女性に比べて乳癌になるリスクが有意に小さいことが、最新研究で示された。

この最新研究は、やはり片頭痛患者は乳癌になるリスクが有意に小さいことを発見した2008年発表の研究を引き継いだものである。今回の新研究では、以前の研究よりも広い年齢幅から数千人増やして対象にした。

「片頭痛には女性を乳癌から保護する効果があるらしいことが示され、この保護効果は若年者でも高齢者でも同様であった」と新旧研究両方の筆頭著者で乳癌疫学者でありフレッド・ハッチンソン癌研究所(シアトル)の公共衛生部の準会員でもあるChristopher Li, MD, PhDが語った。

「片頭痛でリスクが26%小さくなった」と博士はWebMDに話した。この研究論文は『Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention』に掲載されている。


片頭痛と乳癌リスク:研究の詳細

前の研究の対象は、55歳から79歳までの乳癌女性1938例と健常女性1474例であり、片頭痛患者は乳癌リスクが33%小さかった。

新しい研究ではLi博士らは乳癌女性患者4500例以上(1994年から1998年の間に診断された者)と健常女性4500例以上とを比較した。被験者の年齢は35歳から64歳であった。また、新研究では対象地域が旧研究よりも拡がった。

女性全員には同じ質問票に答えてもらった。内容は、片頭痛、出産歴、ホルモン療法や経口避妊薬の使用、閉経状況無、肥満指数、アルコール摂取量、喫煙状況である。

Li博士によれば、医師に片頭痛の診断を受けた履歴があると答えた女性は、片頭痛歴のない女性に比べて、乳癌リスクが26%小さかった。

Li博士の得た結果では、このリスク減少は、閉経状況、片頭痛診断時の年齢、片頭痛治療薬の使用の有無、片頭痛の確立した「トリガー」で乳癌リスクの増大に関係するもの(飲酒、ホルモン補充療法)を避けているかどうかに関わらず維持された。

Li博士によれば、この新研究では、片頭痛で乳癌リスクが低下するその他の理由、例えば片頭痛患者は飲酒やホルモン使用の傾向が少ないといった説明の多くは除外している。「片頭痛は実際に乳癌リスク低下の独立した予測因子であると思われる」と博士はWebMDに語った。


片頭痛と乳癌リスク:なぜ?

片頭痛があるとどうして乳癌リスクが小さくなるのかは解っていないとLi博士は言う。

そのつながりの説明として考えられるものが生殖ホルモンの変動である。片頭痛はエストロゲンレベルが低下した時に発生することが多いとLi博士は論文に記述している。例えば、経口避妊薬を使用している女性は、ホルモン剤を使用しない週、すなわちホルモンが低下した時に片頭痛の頻度が上がることが知られている。片頭痛持ちの女性が妊娠すると、多くの者が、エストロゲンレベルが顕著に増大する妊娠後期までに頭痛が解消する。


片頭痛と乳癌リスク:展望

この研究の実施内容には特に問題がなく、しかも片頭痛と乳癌リスクとの間に関連性が見られたにしても、「両者をつなげるものは不明である」と米国癌協会(アトランタ)の医務部長代理であるLen Lichtenfeld, MDが語った。

博士は「ホルモンがそうだろうか?その通り」としながらも、その他の因子もあり得ると述べている。

博士は「閉経後の肥満女性は乳癌のリスクが高い。それは血中エストロゲンレベルが高いことに関係すると考えられている」と言う。しかし、片頭痛と乳癌リスク低下との関連性を明らかにするには、さらに研究が必要だとも博士は言っている。

片頭痛と乳癌リスク低下との間に関係があるかもしれないというのは理解できると、WebMDのためにこの論文を査読したミルウォーキーの臨床腫瘍専門医であるScott Maul, MDが語っている。博士によれば、エストロゲンへの生涯曝露量が大きいことは乳癌のリスク因子であることが知られており、片頭痛の中にはエストロゲンレベルの低下に連動して起きるものがあるらしい。「しかしすべての片頭痛がホルモンの変動に理由があるわけではない」と博士はWebMDに語った。

「結論を出せる研究にはほど遠い」と博士は言う。この研究の限界としては、常に不完全な記憶に頼らざるを得ない自己申告制である点が挙げられる。

また片頭痛は、研究されている乳癌関連の多数のリスク因子の一つであるとも博士は語った。


片頭痛と乳癌リスク:次の一手は?

Li博士もさらに研究が必要であることを認めている。Li博士のグループは次に、片頭痛が乳癌リスクを低下させることの基礎になる生物学的しくみに取り組むつもりであり、それによる発見が、片頭痛患者以外の者でのリスク低下がどうなっているかの解明に役立つのではないかと期待している。

当面は、片頭痛持ちの女性は片頭痛を持たない女性で推奨されているものと同じ乳癌予防法に従うべきだとLi博士は言う。「乳癌スクリーニングの受け方を変えるべきではない」と博士は語った。

Lichtenfeld博士も同意見であり、乳癌リスクが平均的な女性は40歳になったらマンモグラフィーを年に1回受診すべきだと述べた。


(C)2009 WebMD Inc. All rights reserved.


今、ドラクエⅨをやっている。過去のエントリーを見りゃわかるってもんだが、、、、

ドラクエには、主人公達に職業という概念がある。

私は、密かに、この職業が、医療の現場で“体質”を説明するのに“使える!!”と思っている。

戦士は成長するとHPは高くなるけど、MPはほとんど伸びない。打たれ強いけど、すばしこくないから回避が苦手。魔法使いは、HPは伸びないけど、MPがHPを越えるほど大きくなる。僧侶は、、、、バトルマスターは、、、、旅芸人は、、、、盗賊は、、、、

ドラクエの世界では、4人パーティを、攻撃力が強いからといって、全員、戦士にする人はいない。多様性のある個性を、バランスよく配置する事が大切なのだ。個々のキャラクターは、自分の職業に不満を持っているかもしれないが(持つわけは無いのだが)、勝手は許されない。許せば、全滅だ。

地球上に住む、ホモサピエンスとして、地球上で反映していくためには、全員が“戦士”であってはならないのだ。国が国として機能するためと言い換えても良い。

日本人全員が弁護士では、日本は崩壊する。日本人全員が医師でも同様。代議士がいて消防士がいて、運転士がいて、大工がいて、芸術家が、、、、、バキュームカーを運転する人から、ゴミ処理施設で働く人、お酒を造る人。売る人。看護師。。。。薬剤師がいて、はじめてうまくいく。地球上で生き物が存在する為には、そういう理(ことわり)があるんだから、、、、

体質が同じと考えるほうが、不自然である。病気のなりやすさが万人で同じわけが無いし、同じに見える(現代の検査で同じに見える)症状でも、原因は極端に言えば“千差万別”かもしれない。。。。


鉄の鎧を身に付けなくても“戦士”は打たれ強いのと同様、タバコを吸っていても癌にならない人がいて、高いコレステロールを放りっぱなしでも脳梗塞、心筋梗塞を起こさない人がいる。

ミラーアーマーを身に付けていても魔法を跳ね返す確率に差があるのと同様、薬を飲んでコレステロールを下げていても心筋梗塞になる人がいる。

赤いアフロをパラディンが装備できないのと同様、薬を使いたいがアレルギー反応が出る為に飲めない人がいる。


バーチャルなドラクエの世界では、誰が戦士で、誰が魔法使いなのかはわかるけど、リアルな世界では、誰が戦士で、誰がパラディンかわからない。

だから、赤いアフロを全員に与えている。。。。それが、現代の医療の現状。。。。


20090803_akai_afloところで、昨日、私の Wi-Fi ショップに“赤いアフロ”が入荷した。それも、一度に3つも!!!全部、買ったのは言うまでもない。(もしかしたら、レアじゃないの??普通に店頭に並ぶの???)

今朝の通勤電車の“宿屋の客引き(すれ違い通信)”の為、早速、装備して、ウケを狙ったのも言うまでもない。今回は、レアな地図も携えているし・・・・・。

あっ!今、凄い事、思いついちゃった!!魔法使いに装備させている“サングラス”を掛けて客引き・・・・・。すんごく、オチャメ!!!


うひょひょ!!俺のレベルも・・・・・(自画自賛)。

| | Comments (0)

ドラクエⅨ スーパースターへの転職方法

20090731_dq9superstarサーチュインと長寿の関係を知っている方なら、食事制限が単に“長寿”なだけでなく、脳萎縮、心臓病、糖尿病や癌などのの発生率減少にも繋がっている事を知っている。

だけど、このような“健康で長寿”も、『太く短く生きるか、細く長く生きるか?』との問いに照らせば、ほとんど同じ事なのかもしれない・・・・。

太く短く生きた人の人生50年を100とする。同様に、細く長く生きた人の人生100年を100とすれば、タイムスケジュールの中で、相対的に脳萎縮、心臓病、糖尿病や癌などの病気の発症年齢には違いはないだろう・・・・。


時間的に長く生きる事のメリットは、なんだろう??

長く生きれば、科学の進歩による社会の変化が見られる。車は空を飛んでいるかもしれない、そんな未来を見たいと思うことはある・・・・・。

だけど、子供の頃からの友人たちが皆死んでしまい、自分だけが取り残される・・・・、下手すりゃ女房・子供も先に死んじゃって・・・・・こんな事は想像したくない。

飢えて生きる(Starved to Life?)

Science July 10 2009, Vol.325

カロリー制限--普通に元気な個人の経口摂取するカロリーを30%程度減量する--により、動物実験では寿命が実際に延びている。

ウィスコンシン国立霊長類研究センターにおいて成体のアカゲザルに対し20年間カロリー制限を続けた結果をColmanたち(p.201)が報告している。

報告時点では普通に食事した対照群の生存率が50%であるのに対し、カロリー制限した方は80%が生存し、かつ齢に関連した病の発生開始時期が遅れることが分かった。

これらのデータはカロリー制限が霊長類の老化を遅らせることを示している。

もしもこのような食事制限に従うことが困難でさえなければ、サルの集団で明らかになったような脳萎縮、心臓病、糖尿病や癌の発生率減少を自分たちも享受したいものだと多くの人々が心を動かされるだろう。

Caloric Restriction Delays Disease Onset and Mortality in Rhesus Monkeys
p. 201-204.


ところで、“量子”とか“微分・積分”などの言葉が出てくると、とたんに『自分には、理解できない世界の話だ・・』と思ってしまう人は多い。

医学を実践する医療は、誰のものか?

医療は、1+1も解らない人も含めて、皆のものだ(1+1も解らないというのは大げさだが)。わかり易くなければならない。

物理学の世界で言えば、“ニュートン力学”の世界だ。

でも物理学は、別に“1+1も解らない”人は相手にする必要はなかったので、“量子”の世界や“相対性理論”の世界に進んでしまった。

いくら生身の人間を相手にするからと言って、極小の世界を語るには、ヤッパリ“量子”は必要になってくる。。。

の筈なのに、医学は“量子”を用いると、医療にならなくなるとでも思っているかのごとく、“量子”を目指していないように見える(この場合の“量子”はメタファだ)。医学の研究者は物理学の研究者と比べて100倍は多くいるだろうに・・・・??(名ばかりの研究者が多い?)

生物学が、未だ“量子”に辿りつけていないのだから、“ショウガナイ”のだが、生命の仕組みを“ニュートン力学”だけで説明するには、無理が出始めているのは事実だ。

カロリー制限が長生きの秘訣だと言っても、それは、そういう“遺伝子のタイプ”の人にとっての話で、100人が100人とも、同様に100歳まで生きられるというものじゃないって話も含めて。

次世代のコンピュータと言われている“量子コンピュータ”の時代になると、、、『インテル入ってる』の時代のコンピュータが“ニュートン力学”で理解出来たものが“量子力学”を知らないと理解できなくなる・・・・・・のだろう。

“量子コンピュータ”を理解しようとすると、“生命の仕組み”を現代人が見るように、わかったつもりでも“雲を掴むような”時代に突入するのだ。

量子歩行でぶらつく(Strolling Out on a Quantum Walk)

Science July 10 2009, Vol.325

ランダム歩行とは、歩行者が次のステップを右に出すか左に出すかをコインの表裏により決める歩行である。

歩行者の取り得る位置間の分布はよく知られており、情報処理のアルゴリズムを基礎付けたり、物理学あるいは生物学における拡散プロセスを記述し、株式市場価格の数学モデルにさえ使われてきた。

Karskiたち(p.174)は、1次元の光格子に閉じ込められたセシウム単原子を使い、量子によるランダム歩行である量子歩行を実行した。

波動関数の可干渉性のために量子系のランダム歩行は古典的なそれとは大きく異なり、原子の内部状態に依存して全く異なった分布を生成する。

その結果は、探索アルゴリズムや量子情報処理プロトコルに対する示唆を与えるかもしれない。

Quantum Walk in Position Space with Single Optically Trapped Atoms
p. 174-177.


海洋の有機物が堆積物として分解する過程で大量のメタンが発生する。このメタンはまた海底で、大量の嫌気性微生物のエネルギー源として、海面上の大気に出る前にほとんどが消費される、、、、って話を聞くと、『ミトコンドリアが進化を決めた』を思い出す。

原核生物が真核生物へ進化するには、真核生物がヒトまで進化するのに匹敵するような道のりがあった・・・・・。

別々の生命体であった古細菌とミトコンドリアが共生を始める環境が想像される。もっとも、そんな深海なんて、死ぬまで訪れる事は無いのだろうが・・・・。

電子はここで受容される(Electrons Accepted Here)

Science July 10 2009, Vol.325

海洋の有機物が堆積物として分解する過程で大量のメタンが発生する。

メタンは気候を制御する重要な温暖化原因ガスの一つである。

メタンはまた海底で、大量の嫌気性微生物のエネルギー源として、海面上の大気に出る前にほとんどが消費される。

海洋系でのメタンの嫌気的酸化には硫酸塩の存在が欠かせない。

硫酸塩は電子受容体として機能し、この反応の必須物質と考えられている。

Beal たち(p. 184) は、海底堆積物内での嫌気的なメタンの酸化が、硫酸塩と同様に鉄とマンガンによっても促進されることを報告している。

鉄とマンガンを使った嫌気的メタン酸化プロセスは重要なメタンの消費反応であるとともに初期生物圏におけるエネルギー源でもあった。

Manganese- and Iron-Dependent Marine Methane Oxidation
p. 184-187.


危険から逃避する行動は、単細胞の生物にも見られる。

高等な生物、たとえばヒトにとっては、“痛み”は、情報としてわかりやすい(誰にでも認識できる)。

生命の仕組みは、大変、複雑なのだが、時として、単純な法則に支配されているかのように見えるときがある。

痛みと“鎮痛剤”の関係がそれだ。“麻酔”なら、尚、完璧だけど。西洋医学の還元主義が助長される原因ともいえるかもしれない。。。。。

しかし、単純な中にも、なかなか理解しがたい現象が見られるのだ。

ケシの栽培は、ヒトの文化的側面だろう。生物の進化に影響を与えた時間からすれば、極々最近の話だ。栽培しなければ大量に生産できない。ならば、耽溺するほどに使用できない。使用できないならば、進化の過程で、ヒトの側の性質が、淘汰に影響を与えた筈はない・・・・のか??

何で、堪えられないほど、痛みを増幅する必要があるのか???


まぁ、パターンとしては、考えてみれば当たり前の事だ。

痛みの原因を継続して経験すると、ヒトは慣れてしまう。受容体を減少させるとか、いろいろな方法で。オピオイドも苦痛を鈍らせる方法の一つだ。生命の危険が無い(とヒトの脳が判断した)なら、痛みは弱いほうが良い。

で、痛みの原因がなくなった時、元の状態に戻す、この働きの結果だろう。

ただ、大量使用は経験が無かった・・・・・・。

オピオイド投与中止後の不可解な疼痛(Paradoxical Pain After Opioid Withdrawal)

Science July 10 2009, Vol.325

オピオイドは、疼痛の患者と薬物濫用者の双方によって広く用いられている。

オピオイドの投与中止により、オピオイドによって誘発される痛覚過敏、すなわちオピオイドによる不可解な疼痛の増幅のせいで、複雑なものになる場合がある。

Drdlaたちはこの不可解な疼痛、すなわちオピオイドによる疼痛経路におけるシナプスの長期増強(LTP)の誘導、を説明する助けとなるかもしれない新規な細胞性オピオイドの作用を検出した(p. 207)。

試験管内および生体内で、μ-オピオイド受容体刺激薬の投与中止により、侵害受容性C線維のシナプスにおける頑健な長期増強を誘発したのである。

これはそれらシナプスにおけるオピオイドによるシナプス前抑制とは対照的なものである。

オピオイド性LTPとシナプスの急性抑制は空間的にも仕組みとしても別のものであるので、オピオイドによって誘発される痛覚過敏をオピオイドの鎮痛効果を損なうことなく選択的に処置することは可能であるかもしれない。

Induction of Synaptic Long-Term Potentiation After Opioid Withdrawal
p. 207-210.


アミロイドとは、何ぞや??って問いに答えられそうな論文が、Science July 17 2009, Vol.325 に掲載されている。

たしかに、アミロイドって“構造”の事だから、なんだか解った様な解らない様な、そんな対象だと思う。

まぁ、蛋白質は“立体構造”をもって、初めて機能を云々することが出来るんだから、当たり前っいえば、当たり前なんだけど、『大昔からの、進化的に保存されたタンパク質構造のモチーフを示すもので、正常な細胞や組織の生理学に寄与する多様な機能を行っている可能性がある』って言われると、なんだか、スッキリした気分になるよねっ!!

分泌性アミロイドの多様な機能(Plethora of Secretory Amyloids)

タンパク質凝集とアミロイドの形成は、アルツハイマー病、パーキンソン病及びⅡ型糖尿病等数十の病理学的状態と関係している。

更に加えて、機能的な働きをするアミロイド系も僅かながら知られている:キノコ状のプリオン、細菌性タンパク質のカーリ(curli)、カイコ卵殻の絨毛膜タンパク質、及び哺乳類の皮膚の色素沈着に関与するアミロイドタンパク質Pmel-17等。

Majiたち(p.328,6月18日号電子版)は、内分泌ホルモンのペプチドとタンパク質が分泌顆粒中にアミロイド様の状態で貯えられていることを提唱している。

かくして、アミロイドの折りたたみ構造は基礎的な、大昔からの、進化的に保存されたタンパク質構造のモチーフを示すもので、正常な細胞や組織の生理学に寄与する多様な機能を行っている可能性がある。

Functional Amyloids As Natural Storage of Peptide Hormones in Pituitary Secretory Granules
p. 328-332.


ミトコンドリアが寄生(ミトコンドリアと共生)するようになった初期の真核生物は、ミトコンドリアの遺伝子を自分に取り込んで(ミトコンドリアからすれば、宿主に任せられる所は、全て任せて身軽になり)、ミトコンドリアを制御(ミトコンドリアからすれば利用)して、“生きていく事”を享受する事になる。

ただ、ミトコンドリアは、宿主が必要とする“エネルギー”をATPという形で作るとともに、宿主の“生殺与奪(せいさつよだつ)の権”だけは、手放さなかった。

宿主からすれば、“自殺する具体的なツールを提供してくれる奴”であり、決定は俺がするってことなんだと思うけど・・・・・。宿主(文民)によるミトコンドリア(軍人)の“シビリアンコントロール”みたい????


というように、文字により辿れる“歴史学”と比べても、遜色ない面白さが“進化論”って感じ??

冷酷な殺し屋RIP(The Grim RIPper)

Science July 17 2009, Vol.325

細胞はアポトーシスとネクローシス(necrosis:壊死)として知られている異なるプロセスにより細胞死を迎える。

アポトーシスの制御についてはネクローシスよりもよく理解されている。

TNF(tumor necrosis factor:腫瘍壊死因子)で処理された細胞のネクローシス制御に関与する遺伝子産物のスクリーンにおいて、D.-W.Zhangたち(p.332:6月4日号電子版)はタンパク質キナーゼRIP3を同定した。

TNFとアポトーシスを抑制するカスパーゼ阻害剤で処理された細胞において、7つの代謝酵素がRIP3と相互作用しており、そのうちの幾つかはミトコンドリアと関係している。

活性酸素種の生成はTNF誘導のネクローシスに必要であり、RIP3の欠乏により活性酸素種の生成が減少した。

このように、RIP3はエネルギー代謝と細胞死の機構を結びつけるようなメカニズムに関与しているようだ。

RIP3, an Energy Metabolism Regulator That Switches TNF-Induced Cell Death from Apoptosis to Necrosis
p. 332-336.


と、とりとめのない事をズラズラと書きなぐったが、目下の私の、一番気になっている事は、ドラクエⅨのスーパースターへの転職の方法だ。

それ以外は、、なってみたけど、、でも、使えないんだよねぇ・・・・。レンジャー以外は。レンジャーはいいよぉ!!ブーメランで、シャインスコール、、、これ、最高!!

サンディに『こんな時間かけて「女神の果実」これしか集まってないの?寄り道しすぎ!』なんて、生意気な事言われて、思わず、DSを床に叩きつけるところだったけど、早い時期にレンジャーに成っておいて、、ヨカッタよぉ~。

いまじゃ、口ずさんでます。サンディのメロディ。

| | Comments (0)

遠慮なく罵りなさい!そうすれば痛みが和らぐかもしれない

20090727_fresh_pretty_cure「罵ることは何世紀にもわたって行われており、ほぼ世界に共通する人間の言語現象である」・・・・。

ほんと、何世紀っていうか、何千年、何万年?(資料が無い?)も続いているよっ・・て感じ。例えば、国取り合戦、戦国時代、兵士達は敵を罵りながら、竹やり持って突っ込んでいく。

罵る事で、自分の戦闘意欲を掻き立てる。ボヤボヤしてたら自分が殺されちゃう。


ホメロスの叙事詩《イリアス》では、名だたる武将同士、刃を交える前に自分の出身地や父親の名前を交わすが、名だたる武将ゆえに、“罵ること”をせずとも自分を律し、最大の力を発揮できたとも考えられる。(単なる、詩の中の脚色なのかもしれないが)

日本でも、源氏と平氏の戦いを描いた詩には、このような描写がある。個人的には、平敦盛と熊谷次郎直実のやり取りが好きだが・・・・。戦国時代に入ると、策略というか、一騎打ちが廃れて、勝てば官軍の価値観が広まったみたいだけど、、、、

「何をしても勝てばいいじゃん」ていう価値観が、「相手を尊敬・尊重しながら殺す」価値観より“本能的”と言えるのかも。。。。

“相手を罵る”を野蛮と考えて、名乗りあったとしたら、不意打ち・罵りあいは“野蛮”に戻った・・・のかも。

中国・三国志の時代の戦い方は、名乗りあうものだったらしいが、元寇の時、日本人が名乗っている間に元にやられた・・・という話もある。

人間は、時代が進むと“野蛮”になる。。。合目的的といってもいいが。。。。行動が合理的になる。

ただ、イリアスのハリウッド映画バージョン“トロイ戦争”では、戦う前には名乗ってはいないし、三国志の映画版「レッド・クリフ」でも、名乗ってはいない。“トロイ戦争”で兵士を称える(鼓舞する)時、誰それの息子という言い方は聞いたけど。

2009年7月22日 提供:WebMD

罵ることは疼痛知覚を和らげるのに役立つ可能性があることが研究で明らかに

Caroline Wilbert


【7月13日】女性が出産時に夫に向って呪いの言葉を叫ぶというのは、長い間決まり文句になっている。今回、疼痛を感じている人々がしばしば攻撃的な言葉を使う理由を説明できるかもしれない科学的研究が行われた。

罵ることが実際に疼痛知覚を和らげる可能性がある。

これは『NeuroReport』に発表された新規研究の知見である。キール大学心理学科の研究者らは60名を超える学部学生を研究に登録した。学生には氷水の入ったバケツに手を2回入れるよう指示した。1回目は、被験者は罵りの言葉を何度も繰り返した。2回目はありふれた当たり障りのない言葉を繰り返した。

被験者は呪いの言葉を繰り返した時には、当たり障りのない言葉を繰り返した時よりも、長い時間、手を水につけていることができ、報告した疼痛レベルが低かった。

「罵ることは何世紀にもわたって行われており、ほぼ世界に共通する人間の言語現象である」と研究著者の一人であるRichard Stephensはニュースリリースで述べている。「それは感情をつかさどる脳の中心に侵入し、右脳に現れるように思われるが、ほとんどの言語生産は左大脳半球で行われる。我々の研究は、なぜ罵りの言葉が生まれ、生き残っているのかについて、可能性のある理由を示している」。

よくない言葉と疼痛知覚の低下が関連する理由は明らかではないが、罵ることによって、戦闘または逃亡反応を促す恐怖や怒りのような負の感情があおられる可能性があると、研究者らは信じている。罵っている時に人々の心拍数が上昇していたという知見は、この説を支持する。


(C)2009 WebMD Inc. All rights reserved.


イリアスにしても、源平の戦国絵巻にしても、三国志にしても、描かれているのは“有名どころ”であり、一平卒の話はどこにもない。人知れず死んでいく兵士達に、そんな“気概”なんぞ、あるはずも無い。

戦闘で死ぬのは、痛い・怖い。それを和らげる為に、敵を罵る。。。。。野蛮とかなんとかの価値観、すなわち文化以前の“本能”なのかも・・・・・。

ただ、本能なら、生殖細胞を通して次世代に伝わる筈だから、、敵を罵ると、“生き残れる”のかもしれない。敵を罵ると“力”が出て“敵に勝てる”、、、目の前の敵に勝って、家に逃げ帰り、そのまま女房や恋人と交わる・・・・・・。

現代は、戦争を始める時、宣戦布告するのが、ルールになっている。

やっぱり、勝つ為には“不意打ち”が合目的的であり、合理的な行動とは言っても、後ろめたさが付きまとったんだろう。名乗りあって正々堂々と戦う、、、、。

不思議な事に、女の子向けの《プリキュアシリーズ》でも、長々と名乗っている。

現在、放映中のシリーズでは、、「ピンクのハートは愛ある印。もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」、、、、なんて、3人分(先週からは4人に増えた)、やり終えるまで、“ラビリンス”の“ナケワメーケ”も文句も言わず(攻撃せず)黙って待っている・・・・・。

正々堂々もやりすぎると、なんか鼻に付くよねぇ。一騎打ちじゃないからなぁ、プリキュアは。特に感じるのかもね。


ところで、プリキュアの4人目、キュアパッションは、仲間になる前ラビリンスの女幹部“イース”だった。その時、プリキュアを罵りまくっていた。

罵る事の“効用”がこの論文通りだとすれば、“イース”の方が強い筈なのだが、何故か、プリキュアが勝ってた。。。。。この、生物学的に間違った結論を提示し続けると、、、、、、現実には、正々堂々と戦って散る事になる。この事を美化するには、ちょうど良いのだが、、、、


しかし、言葉を発する為に“左脳”の活動を活発にすると、疼痛知覚が鈍る・・・・、ホント、脳は複雑だ。

そういえば、、、、July 2009 Vol.5 No.7 MMJ で BMJ に掲載された『鍼治療の疼痛軽減効果は有意だが小さい』の解説の中で、自治医大の瀬尾教授は、こんな論文を紹介している。

主観的な鎮痛効果(痛み度)と客観的な生理的変化(fMRI:機能的磁気共鳴画像)との関係を鍼治療とプラセボ鍼治療で検討したものなのだが。。。。

対照群を「鍼治療+強い暗示群」、「鍼治療+弱い暗示群」、「プラセボ鍼治療+強い暗示群」、「プラセボ鍼治療+弱い暗示群」の4つに分け、痛み刺激を加えて、痛み度の変化と fMRI による評価を行った。その結果「鍼治療+強い暗示群」と「プラセボ鍼治療+強い暗示群」は主観的な鎮痛効果(痛み度)が同程度を示した。

面白い事に、fMRI では「鍼治療」が「プラセボ鍼治療」と比較して、痛みの関する大脳領域でのシグナルを著明に低下させていたにもかかわらずなのに。

というわけで、“鍼治療”と“暗示”すなわち心理的な影響は、異なるメカニズムで鎮痛効果をもたらし、その暗示による鎮痛効果も、鍼治療とプラセボ鍼治療において、お互いに影響を与えている・・・・・。


鎮痛、一つ取ってみても、かなりの数のメカニズムが存在する(のだろう)。そして、その“痛み”は、生物にとっては、必須のものだったりする。痛みを全く感じないヒトは、長く生きられないのだから。。。。アレッ?でも長く生きることに価値を見出さなければ・・・・・?

って、長く生きる事が“良い事”だって染み付いてるんだよなぁ・・・・。いつも、この価値観を否定しているくせに・・・・ねっ。イカンイカン。

| | Comments (0)

私が本当にそれをやったのか?(Did I Really Do That?)

Differentiation_of_monocyto《してはいけない行動による結果》を《速度超過による違反点数の付加と反則金(罰金)の科料》と置き換えてみる。

車に乗り込んで、高速道路に侵入したあたりで自分に言い聞かせる。「スピードで捕まると、点数くらって罰金だ」って。

その“自分への戒め”は、作動記憶(当面の作業のために短時間に保持される記憶)中に保持されているとすると理解しやすい、、と、この論文では言っている。

そして、というより、だから、、、『まさにそのために、通常は正しい振る舞いを行わせる監視能力が注意散漫になったり疲弊した時に、、、、、、』のだと。

・・・・・・と、理屈ではわかってみたものの、何で、自分の行動を自分で制御できないんだろう?????

Science July 3 2009, Vol.325

私たちの通常の行動は、私たちがまさにそれを為そうと意識的な努力をしているから起こるんだ、と私たちは信じている。

にも関わらず、私たちは時折、避けようと思っていたまさにその行動をしてしまうように思える。

このような皮肉な心理的プロセスについて、Wegner (p. 48) は最新の心理学的研究を報告している。

その研究によると、してはいけない行動による結果は作動記憶(当面の作業のために短時間に保持される記憶)中に保持されていて、まさにそのために、通常は正しい振る舞いを行わせる監視能力が注意散漫になったり疲弊した時に、例えば人前では言ってはいけないタブー的な考えが口に出てしまう、という見解が支持される。

How to Think, Say, or Do Precisely the Worst Thing for Any Occasion
p. 48-50.


犯罪者の肩を持つ為に、こんな内容のエントリーをするわけではないよっ!!

純粋に、単純に、『不思議だなぁ!!面白いなぁ!!』と思ったから。

私の行動は、私が自分で意識している“自分”以外に、もう一人の“意識できない私”が支配している。。。。《脳の中の幽霊》がいるかのようだ。

アクセルを踏んだのは、注意力散漫や疲弊以外に“スピードに対応して分泌されるエンドルフィン”っていうのもあり、そいつが、意識できない私を揺さぶった。。。。。

ところで、《作動記憶中の保持》を強力に固定できる“薬物”があれば、エンドルフィンなんて分泌されても、それに対抗出来る、、、、あるいは、分泌そのものを遮断出来る・・・・。のかなぁ??


でも、Nature 日本版 2009年6月11日号 日号に特別付録として制作された "SELECTED LIFE SCIENCE PRODUCTS Reviews from the users"のオンライン版にて参照できる『細胞の分化に機能する転写因子のネットワークを解明』を見る限り、人間の生理現象を、人間がコントロールしようなんて、夢のまた夢、絶対、出来っこないなぁって感じる。

上の図は、FANTOM によって解明された、単芽球から単球への分化過程の分子ネットワークだ。

理化学研究所 オミックス基盤研究領域 林﨑良英領域長らによる研究は、私にとって、“凄い”の一語に尽きる。漠然と、『そんなんだろうなぁ・・・・』って思っていたことを具体的に示しちゃったんだから。

単芽球から単球へと分化する、こんな“わずかな“現象にも、こんなに莫大な遺伝子の制御が働いてる・・・・・・。


巷に氾濫する《インフルエンザに対する免疫》の諸説・珍説なんざぁ、ぶっ飛ぶぜ!!


って感じだ。

リンク先の文章を、部分的に引用してみる・・・・・・。転写因子は、DNA のプロモーター配列に結合して下流の遺伝子の発現を促すスイッチとなるタンパク質である。今回、PMA 試薬(酢酸ミリスチン酸ホルボール)で刺激した単芽球が単球に分化する約96時間に現れるすべてのRNA を検索することによって、2 万9857 の全プロモーター配列と2000 の転写因子を同定した。そしてその中から、細胞分化に働く201 個の転写因子から重要な30 個を選び出し、その分子ネットワークを描いた。

これまで、細胞の分化をつかさどる分子ネットワークの全体像を、実験データのみに基づいて調べる方法は皆無だった。

ブレイクスルーをもたらしたのは、林﨑領域長らが独自に開発したCAGE 法(Cap Analysis of Gene Expression)と次世代シーケンサーの組み合わせだ。

CAGE 法は、mRNA を5’末端から約20塩基という短いタグにして切り出す技術である。mRNA の先端だけを短く同じ長さに切り出すことで、シーケンサーの読み取りの効率を飛躍的に向上させる。

林﨑領域長は、「CAGE 法はプロモーターの活性をゲノムワイドに調べる唯一の方法で、例えば次世代シーケンサー『SOLiDTM3』(アプライドバイオシステムズ社)と組み合わせると、200 個の細胞にたった1 分子だけ発現している遺伝子でも99.9955%の確率でとらえることができます。また、経時的な発現の変化をみられるのも強みです」と話す。


単球は、自ら非自己を貪食するとともに、獲得免疫系に情報を伝える役割を果たす免疫現象の細胞性の一部を担っている。免疫現象は大きく分けて細胞性と液性の因子があり、双方は綿密なネットワークで繋がれている。。。。。

と、言葉では簡単なのだが、その実態は、、、、、その実態の解明は、現代のサイエンスの最高峰の知見をもってしても、まだ、そのとば口にたどりついたばかりであるというわけだ。免疫現象の分子的な解明をエベレスト山にたとえるなら、まだ、登山道入り口というわけだね。

実態が解明できなければ、それをコントロールするなんざぁ、出来るわけもない。

まして、人間の体は、免疫系だけが独立して存在しているわけじゃない。神経系とも、様々な接続形態で繋がっている。相互に影響を及ぼしあっている。脳の機能一つとっても、機能する瞬間、膜の挟んだイオン透化以外に、遺伝子の発現を制御する因子が、数多く“動く”んだろうから。


私は、最近、漢方薬を見直している。


西洋医学、すなわち、還元論に基づく考え方は、ある程度までは、実態の説明に役に立つが、人間の体を文字通り“還元”していっても、殆どが説明不可能だ。(というか、マクロな現象を、先ず知っているから、還元していった時に見つけたものを、それが原因だと感じるわけで、最初に、還元された個々の事象を示されるだけだったら、それをマクロな生理現象に“翻訳”できんのか??)

がんの遺伝子一つに注目しても、それで、疾患をコントロールできない。

どうせ、解らないのなら、人体を“ブラックボックス化”して、入力する情報に対して、出力される情報を観察するっていう、経験則が、より重要なんじゃないかと。。。。


人間の体は、ネットワークの産物だと思う。

インターネットに巣食う“不健全サイト”を人間の病気に擬えてみる。

人間の医者に相当するコンピュータ技術者は、技術的に排除が可能だと考え、それを実行するだろう。しかし、現実に、駆逐できていない。

それどころか、技術とは関係のない部分の方が、効果をあげる場合すらある。例えば、親の教育とか、子供の教育とか。。。。これは、医療における漢方薬みたいなもんだろう。何処に効いてるか解らないけど、要は、“不健全サイト”の悪い影響さえ排除できれば良いんだから、いろんな方法があってよい。

漢方薬は、その何千、何万の成分が、遺伝子の発現にかかわるネットワークの何処かに、働いている。どこかは、現時点では全く解らないけど・・・・。


スピードを出し過ぎないように運転する。だって、捕まったら損するもん!!

誰でも、そんな気持ちを持って、車に乗り込むはずだ。

その“戒め”を強力に堅持する為に、漢方薬は使えないかなぁ!!なんてねっ!!

| | Comments (0)

医療従事者向けN95マスク・防じんマスクDS2 フィットテストビデオ

20090707_aston_one77昨夜は、娘と七夕の飾りつけをせっせと作っていて(作らされて)、今日は、すこし首筋が痛い・・・・・のだが、インフルエンザ騒動は、まるで台風一過のような静けさだ(意味不明)。熱しやすく冷めやすい日本人気質をよく表していると思う。感染症に対してこんな事じゃイケナイんだけど、まぁ、ショウガナイ。その昔、寺田寅彦が指摘しているように、日本人は、適切に恐れる事が出来ないのだ。

さて、時代はエコだ。

そんな時代に、アストンマーチンは One-77 を発売した。名前のごとく 77台の限定生産だ。価格は100万ポンド(1.5~2億円)でV12気筒7.3リッターエンジン搭載、最高出力は700psオーバー、0-96km/h加速は3.5秒をマークする。

恣意的なマスコミや環境問題に一家言ある有識者などは、格好のネタにする。

『こんな時代に、なんと空気の読めない・・・・・』
『時代錯誤も甚だしい・・・・・』

などと。

だけど、考えてみて欲しい。One-77 を買うには手付金3000万円をポンと払い、納車時には残り全額を支払う。こんな人達が購入者だ。その半分の車は、実際には動かされる事は無く、コレクションとして飾られるという。まして、一般庶民がしているように日常の足として、あるいは通勤の足として、使われる事は皆無であろう。

化石燃料消費による CO2 排出の絶対量は、どれほどのものだろう??

この車が与える環境への影響は、一体どれ程になると言うのだろう??

私は、この車の生産に対して環境への配慮がどうのこうの、購入者の環境に対するモラルがどうのこうの・・・との方向に話を持ち込むマスコミや有識者の姿勢が、豚インフルエンザの時の報道姿勢と酷似していると、寒気を覚えた。

実際の被害より、イメージで話を飛躍させるのだ。プリウスと One-77 を直接比較するみたいな。

そして、一般庶民は科学的常識の欠除(何が肝心要なのか理解できない)により、このような扇動の餌食となり暴徒と化す。

やがて、のどもと過ぎた頃には、(リスクの評価を出来ない、理解不能の事だから仕方ないのだが)無関心となるのだ。。。。。エイズやプリオン病のごとく。


マスクの着用に関しては、当時のテレビ映像で見る限り、まともな物を使用し、まともな装着法をしている人は、皆無であった。

『マスク着用で感染が予防できる』という“文字通り”この文脈だけの、情報と言うにはあまりにもお粗末な“噂話”を頼りに暴徒の如く販売店に押しかけ、我先に買い漁った人達がいたのは記憶に新しい。

企業の対応にしても、また、然である。フィルターとして機能してないような装着法であっても、つまり、形だけあれば社屋への出入りを許す、装着なしなら出入り禁止みたいな姿勢・・・・これ、すなわち、人を思い、感染を防ぐにあらず、責任逃れの以外のなにものでもない。

行政の対応にしても然である。とんでもなく過剰反応で意味の無い行動をとった事だけをみても、責任逃れと言われても仕方が無い。

もっとも、企業と行政は、世論(せろん)が怖いから、同情の余地はある・・・・・。毅然とした態度で対応・・・・・、ババ抜きのババを引くような行為を、誰がやるのか、、、、誰もやれないから。。。。。しょうがない。


“頭に血が上っている状態”では、『マスク着用で感染が予防できる』という文字通り、この文字数以上の情報を与えても理解してもらえないだろうが、今なら、冷静に“聞く耳”を持ってくれるかも知れない。
(熱くなった頭に解らせるには、『マスクは効果が無い』と言うしかなかったのも同様。これ以上の文字数は右耳から左耳にぬけてしまっただろうが、今なら文字数は増やせるかもしれない。結局、『予防できる』から始めても『予防できない』から始めても条件を付けて詳しく説明していくと、同じ意味になる。同じ現象をどのように表現するかの違いなのだ)


マスクは“道具”である。

だから、正しい使い方がある。

正しい使い方をしないと、本来の機能を果たせない。

電源を入れないパソコン、ソフトウェアを起動しないパソコンが、なんの役にも立たないのと一緒だ。

そして、道具に100%はない。

正しく使っても限界がある。

正しい使い方と、それを使う場所、使う状況によって、又、使う人によって、使う環境によって、その有効率は変化するのだ。

これらを踏まえて、秋口からと予想されている、もう一つの感染の山に備えるのも大事な事だと思う。

医療従事者の末席を汚(けが)すものの一人として、正しい情報を伝える・・・・・なんて、殊勝な事を言うつもりはさらさらないけど、こんなビデオがあるって、私も最近知ったので、ここをご覧の方に、情報のおすそ分け、、、、って感じで、エントリーしておく事にする。


見るも見ないも、その人次第だけど、私には役に立ったよ!!!

だから、私の職場では、N95 マスクを何種類か購入して、フィッティングテストして、(もし、強毒性なら)秋以降の流行に備えようと思っている。。。(管理者の責任!?)


だけど、まぁ、一般の人が雑踏の中や電車や職場での感染する機会と、そんな状況での感染防御率でメリットがあるかどうかはわからないんだけどね。それが、「マスクでの市中感染予防のエビデンスはない」という結論になるわけだが、医療機関のようなハイリスクに場所では、恩恵はあるんじゃないかなぁ!!

ところで、最近、YouTube 動画を貼り付けてるエントリーが多いんだけど、職場でのインターネット接続環境によっては見られない人もありそうだ。

そんな人は、、、、、、プロキシ回、、あっ、まっ、がんばってくだされ。

| | Comments (0)

ダブル交配は質が低下(Two's a Crowd)

20090703_gender_free子供を作りたくなかったら、、、、、、。

夫には言えないが、妻だけが子供が欲しくない場合、夫に隠れて不特定多数と交われば、子供が出来にくい。


今、通勤電車での読書は、渡辺淳一。

20年以上も前の一時期、渡辺淳一に凝っていたことがあり、その時、買い漁って、まだ、読んでなかった本を読んでいる。『1Q84』は、まだ買ってない、、、ってゆーか、まだ買えないから。

で、渡辺淳一の“濃い男女関係”ものを読んでいるせいか、真っ先に、こんな事を考えてしまった。

これが、普段なら、『少子化は、女性の性のモラルの変化だ』となったであろう。

こんな事を言ったら、ジェンダー関係(なんだそれ?)の論客にコテンパンにされそうだが、生物としての性の分化と進化の結果だから仕方がないよなぁ!

結局、昔ながらの“淑女”が子供を得るには必然だったのだ。(微妙な差だけど大きな差なんだよ・・・きっと)

Science June 26 2009, Vol.323

オスとメスがそれぞれの適応度を最大にするために競い合うというこのプロセスは、彼らの子孫の適応度にも影響する。

性の選択の多くは、一妻多夫(polyandry:メスによる複数の交配)に由来し、この一妻多夫の進化を説明する幾つかの拮抗する仮説が出されている。

Bildeたち(p.1705)は、潜在的なメスの選択と性的拮抗作用の根底にある二つの理論を明白にするため、カブトムシ類(seed beetles)においてダブルの交配実験を行った。

予想に反して、遺伝的な適応度が高いオス(メスと一回の交配をした時に生まれる子供の数に基づいた尺度による)は、メスが高、低の遺伝的適応度を持つオスの双方とダブルで交配すると子供の数が少なくなった。

このように、交配後の性の選択は低い適応度を持つたオスの遺伝子型に有利となり、メスは複数のオスと交配する時には遺伝的な代償というリスクを負うことになる。

Postmating Sexual Selection Favors Males That Sire Offspring with Low Fitness
p. 1705-1706.


ただ、勘違いしないで欲しいのは、私は、少子化自体を“悪”で改善しなくてはならないなんて、これっぽっちも思っていない。それでなくても日本は人口過剰だと思っているのだから、減る事は大歓迎だっ!!!

だから、女性の性のモラルの変化をとやかくいうつもりは、さらさらないっ!

私が気に入らないのは、将来の福祉政策に日本人の“あたまかず”を当てにしていることだ。極端な話、これって、“ねずみ講”と一緒だ。未来永劫、人口が増え続けるなんてありえない。当たり前の話だ。

今、やらなきゃならないのは、将来の人口に依存しない福祉政策、具体的には“税制”の構築だ。

これを考えずして『少子化担当大臣』なんてナンセンス!!これを税金の無駄遣いと言わずしてなんとしょう。イライラを通り越して、あきれ果てる。

ってゆーか、政治家や閣僚に、半数は理系、それもライフサイエンス出身者を入れる法律を作るところからやらなきゃ始まらないよなぁ。キャリア官僚だって、理系が少なすぎる。

そうすりゃ、ポスドク問題もすこしは解消・・・・・(なのかっ?)


まぁ、それは置いといて、科学的な常識を持ち合わせない、裏を返せば事実を知りたくない、知ったところで何も出来ないから敢えて知ろうとしない、理系から逃避する無責任な人間(※注)が増えるってことも、ある意味、大きな流れの中の予定された事なのかも。

“性の解放”、とくに女性の性の解放は、個体数が増えすぎないようなフィードバックとして機能しているのかもしれない。

個々の女性に、『昔の女性のように・・・』と言ったところで、どうにもならない。

どうにもならない、、、、、、事自体が、神の思し召し・・・・・。なんちゃって。


戦争や病気で人が死ななく(死んでる国、地域もあるけど)なって、まだ、100年も経っていない。

そんな時代を予想していたかのように、出生率が減少する・・・・・・・。

私は神の存在なんてものは信じていないけど、自然の摂理を“神”と呼ぶなら、今、こうして無限とも言える偶然の積み重ねの結果の存在である我々人類は、擬人化したそういう存在を考えるのも、自然なのだろう。(脳がそういう機能を持っていたとしても不思議じゃない)


宗教を政治の道具に使うのでなければ、“神”を認めてもいいんだけどなぁ。


※注:移植医療を感情論だけで議論する人達を指す。しっかり議論したいなら、ライフサイエンスを学んでからにしてほしい。誰だって、愛しい人には生きていて欲しい。でも死ぬのは生き物の宿命だ。ドナー臓器がレシピエント(移植を受けた人)の体の一部になる事はありえないのだ。生物学的に。延命治療として議論するならともかく、確立された治療法だと錯覚している人を巻き込んでのイメージ操作的な議論は、吐き気がする。

読売新聞の世論調査で、15歳以下の臓器提供に“是”の人が7割超えるって出てた。

脳死を人の死とする。そこまでは当然だろう。だけど、その後がイケナイ。。。

そのうち、臓器提供しない人は「人道的じゃない」って言いかねないよねっ。いやだねぇ、世も末だよ。(臓器提供を人道問題に摩り替えるのなら、医療に宗教を持ち込むのも“是”とすべきだ!マスコミよっ!)


まぁ、この手の問題は、どちらが正しいと答えを出せるものじゃないから、ややこしいんだけどね。

人は見たいものしか見ないように出来てるし、自分は正しいって思う生き物だから。

(しかも、正しい、正しくないと判定する問題ではないんだよね)このへんは、わかっちゃいるけど、マスコミの正義感や人道的な論調に、嫌悪して反射的に行動しちゃうんだよねぇ・・・・。こういうエントリーみたいに。。。。

脳:見たいものだけを見る

Nature vol.460 (7251), (Jul 2009)

ヒトは、視野の中で興味を引く物体をすばやく見て取る能力が非常に優れている。

健常人に一連の写真を見せ、その中から人か車のどちらかを見つけさせる際の機能的磁気共鳴画像に関する研究で、この現象が視覚系によって達成される仕組みが明らかになった。

取り組んでいる課題にかかわらず、対象が視野のどこにある場合でも、また意識的に見ていない場合ですら、脳は目的とする物体がそこにあるかどうかを即座に決定する。

興味深いことに、脳内では外界が完全に表現されているという我々の主観的経験とは違って、現実の世界の情景の神経表現は、現在行っている行動に直接関係のある物体に限定されることが実証された。


Letters to Nature p.941


オマケ・・・・

私は、悔しくってしょうがない。特に、ポルシェに負けるところ・・・・だって、GT-2 を持ち出すなんてずるいよ。公平をきすなら スペックV を持ってこなきゃ・・・・。

ZR1 Drag Race King - Spanks GTR, 599, and GT2

でも、ブカッティには、誰も勝てなてから・・・・・、これ見て溜飲が下がったけど・・・。

Top Gear Bugatti Veyron vs Mclaren f1

と、いつでも正直なオレでした。チャンチャン。

| | Comments (0)

「脳死は人の死」案、衆院通過

20090619_braindeath「脳死は人の死」案、衆院通過まで“脳”の話題でエントリーを繰り返してきた。

いんな意見があると思う。だが、日本は民主主義で法治国家であるのだから、多数で決まった事(まだ、参院で可決されてないので・・・)は、受け入れるのが、この国の国民の務めだろう。絶対嫌なら、亡命でもすれば良い。。。。

だが、そういう私も「脳死は人の死」を、移植医療の為に成文化するところに、憤りを感じる。嫌だ。気持ち悪い。私の脳は、そのような感情を惹起している。弱者のエゴと弱者を利用して善人面する行為を助長するだけにしか感じられないからだ。

だから、私は、自分が死んでも臓器を提供するつもりはない。これは、意思表示だ!(私の臓器が子供に使えるかどうかは疑問だが、自分の子供になら自分の臓器が使えれば躊躇なく提供するけれど)

また、本心から他人に臓器提供したい人に、とやかく言うものではないので、あしからず。(“死”を考える時点で、それは個人の価値観であり、宗教である。多様性があるのが自然。決して医学・生物学、サイエンスで画一的にすべきではないと思っている。脳に“宗教モジュール”があることを証明するのが科学だとしても・・・)


ただ、どうして、こんな“究極の利他行動”を私は嫌悪するのか?と、自分なりに考えてみると、結局、現在の日本の人口、地球上の人類の総数、これが多すぎると、本能的に感じているからかもしれない。

リュック・ベッソン製作総指揮の『HOME 空から見た地球(リンク先は音が出るので注意!)』を見たのだが、私には、人口過剰で地球は壊れつつあるという事だけが、強烈に伝わってきた。

そもそも、ヒトにも、個体数に対するセンサーが存在していておかしくない。

過剰であれば、減らす方向に作動する。。。。。

戦争と平和?(War and Peace?)

Science June 5 2009, Vol.323

進んだ道具や楽器、芸術などの発達を含む現在の人類の行動様式は、人類に段階を追って出現してきたように見える。

最も初期の手がかりは、7万年から9万年前のアフリカにおいて見られるが、ヨーロッパでは4万5千年前ぐらいと遅れて出現している。

最近の議論の的となっているテーマは人類の社会性の起源とその意義である。

人類の初期の発展期中において、利他主義的な振舞いの利益は、その損失を上回ったのであろうか (Mace による展望記事を参照のこと)?

Bowles (p.1293) は、人間グループ間の紛争のモデルを構築し、考古学的および民族学的なデータから結果が分かれる境界となるパラメータ値を大まかに算出した。物議をかもすものではあるが、戦争状態は、利他的振舞いが現れ、永続することを強化したかのように見える。

Powell たち(p.1298) は、ひとつの人口モデルを与えており、それでは、現代的な行動の発達は、臨界的な人口密度への到達と、安定な文化の伝播に求められる移動性の行動様式に依存する可能性があることを示している。

このモデルは、アフリカとヨーロッパにおける人口ダイナミクスに関する遺伝的な推測と整合しており、これらの文化的な変化は、単に認識的進化の進展を反映しているのではない可能性があることを示唆している。

Did Warfare Among Ancestral Hunter-Gatherers Affect the Evolution of Human Social Behaviors?
p. 1293-1298.
Late Pleistocene Demography and the Appearance of Modern Human Behavior
p. 1298-1301.


まさに、『現代的な行動の発達は、臨界的な人口密度への到達と、安定な文化の伝播に求められる移動性の行動様式に依存する可能性があることを示している』であり、『戦争状態は、利他的振舞いが現れ、永続することを強化したかのように見える』だ。


ヒトは、人口過剰だと感じれば、利他行動は少なくなるように脳が変化し、人口が少なくなる(=戦争などなど)と感じれば、利他行動を多くするように変化するのだ。戦争をしている時のほうが、人間は他人に優しくなれる・・・なんて人間賛歌するつもりは無いけれど、単なるフィード・バックとして機能している!逆に現在の日本は、平和すぎるから、人間関係が殺伐として・・・・・。

まだ、十分に検証されてはいないのだろうが、十分、納得できる考察だ。


今現在、本心から『他人に臓器提供したい人』と思っている人は、その人の五感から入力される刺激が脳に伝わって、具体的に意識できるまでの過程が、私とは違うのだろう。日本、もしくは地球における人口を多く感じるか、少なく感じるか、、、ヒトは大脳皮質の肥大と共に、その感受性を多様化させたのだ。

培養細胞が、生育環境を感知して増殖をストップする過程に、個体差はないけれど、ヒトの場合は、高度な知恵が、そのセンサーに多様性を与えた・・・・・。何か利点があるのだろう・・・・。それが人類の進歩の原動力になっているのかも・・・・・。

人類の進歩の原動力が、地球にとって、地球に生存する人類以外の生命にとって、好ましいかどうかは、甚だ、疑問ではあるが・・・・。
 
 
 
追記:午後に追記する。
たまたま、『gooニュース畑』なるサイトを覗いたら、一般庶民の移植医療の勘違いの甚大さに気づいた。これは、国会議員にも言えることだから、ビックリだ。

これが世論(せろん=よろん)を形成し、法律を作っているのかと思うと・・・・。

例えば、心臓移植。これが“延命治療”といわれる所以は、ウィキペディアにすら出ている事だが、5年生存率という言葉があることからもわかると思う。

一般庶民や勘違い国会議員の言葉、『これで命が助かる人が増える・・・・』は、確実になにか勘違いしていると言える。移植を受ければ、あとは健常人と同じ余生が送れると。5歳の子供に心臓移植して、みんな80歳まで生きられると思ってるみたい・・・・・。

もしかして、、、、ヤラセのアンケートなの?ここって??俺は釣られたの??

| | Comments (0)

脳相のインスリン分泌に個人差はあるのか?

20090615_nervous_systemいつの頃だったからか忘れたんだけど、ゴルフの昼食時、一口食べると強烈なめまいを感じるようになった。毎回ってワケじゃなく、前日の睡眠時間に関係があるような記憶もないし、昼食に選んだ食事と関係があるわけでもなかった。

初めての時は、かなり動揺した。

---このまま、倒れるんじゃないのか??

でも、10秒もしないうちにケロっと治ってしまって、あれは一体、何だったんだろう??と。

その時、一緒にラウンドしていたのは、普段お世話になっている医師。相談しようかどうか躊躇したのは、心配をかけたくないし、後で調べて何もなかったらカッコ悪いし・・・もし、back9でぶっ倒れても一緒だから死ぬこたぁないだろう、、、、などと複雑な心境だったから。結局、直ぐ治っちゃったのもあって、テーブルは別の話題へ。

その後、何度か、経験?を重ねていった。。。。。


調べもしなかったのだが、インスリン分泌に必要な刺激は血糖値以外にもあるだろうと、以前から漠然とは考えていた。しかし、ゴルフの食事前の“フラフラ・クラクラ”と関係があるとは、全く考えもしなかった。

度々、症状が出るようにはなっていたのだが、それ以外は、何てこともないわけで、いつしか、この症状を「低血糖なんじゃないのか」と疑うようになった。

それでも、こんなに早い反応するもんなのか?だって、料理が運ばれてきて、一口食べたら、5秒もしないうちに“クラクラ”くるんだぜ!って、否定したい部分もあったし、どうせ、調べてもわかんないだろうな・・・・・・なんて。

そうこうするうちに、食直前の“クラクラ”感の頻度も低下し、、、、あってもすぐ治るから、全く動じなくなり、、、、すっかり、忘れていた。


そんなエピソードを急に思い出したのは、ちょうど MMJ で人工膵臓の記事を読んでいたからだ。JAMA にこんな話題が載ってたよって紹介記事なのだが。

完全自動化したクローズドループ型投薬システムとしての人口膵臓を実現するには、いくつかの問題を解決しなきゃならない。その中のひとつが、、、、インスリン投与のタイミングである、と。
正常な膵臓からは、ヒトが食べ物の匂いをかいだり考えただけでもインスリン分泌が始まる。このように、生体のインスリン分泌機構は、一手先を読むように糖代謝状態に対応している、と。これをどうするか???と。


脳相の分泌は味覚神経を介する甘味情報により迷走神経を介して反射性に生じるものであるが、実際に血糖値が低下始めるにはどれ位の時間がかかるのか??

秒単位のシビアなものなら、私がゴルフの昼食前に経験した“クラクラ”感が再現されちゃうんじゃないのか??

まして、脳相のインスリン分泌にだって個人差があるだろう。その個人差をも忠実に再現できるコンピューターアルゴリズムを開発できるのだろうか??

古い記憶が目覚め、私なりにも知りたい事がいくつか出てきたワケだが、JAMA ですら、こんな内容を話題にしてるんだから、ネットで調べても出てくるわけはない・・・・・よなぁ!!


出てくるわけはないと言えば、こんなのも!!

薬剤師の世界では、調剤ミスを減らす工夫として『薬棚への張り紙で規格の注意喚起』なんてのを見かける。当局に『工夫してますよ』っていうデモンストレーションとしての効果はあるのだが、、、、

この工夫、調剤ミス予防に本当に効果があるのは、最初の1週間だけ。あとは、全く効果ない。そこで探したいのが、その事を示した“ズバリ”のエビデンス。。。。なのだが、、、ねぇだろうなぁ。

ネガティブな証明って誰もやりたがんないもんなぁ・・・・・。

それを良い事に・・・かどうかは知らんけど、こんな事を大真面目に書いてある雑誌がある。読んでるだけでもイライラしてくるワケだが、無料で配布される雑誌だからしょうがないのかも。こんなものを信じる薬剤師がいないことを祈るのみだ。エビデンスがあれば、雑誌に投書するんだけどなぁ・・・。(ヒトの脳の仕様だよ!ビジュアル系注意喚起の効果が無くなるのは!!こんなことも知らないで薬剤師やってんじゃねぇ~よ)


祈るのみといえば、宝くじ。

いやー、ほんとに、大きな事は言わないから、30万円、当たらないかなぁ・・・・って、結構、マジで祈っている。

当たったら、『NISMO R35 Sports resetting』を速攻でレンタルするつもり。

なんで、お金払わないの?って事なんだけど、ハッキリ言って、サーキット走行をするつもりのない私には、猫に小判。ドブに捨てるようなもの。だから、強いて言えば、スピードリミッターを自主的に付けさせるという行政の無言の圧力への抵抗。

そんなに、高尚?な理由なら、自腹切ってやればいいのに!    って??

まっ、それも、カッコ付けた理由で、ほんとは、、、付ければ、320km/hまでいけるんだぜ・・・っていう、子供じみた欲望だ。

こんな事、妻に言えない。320km/h 出せるようになりたい・・・・なんて。

だから、行政の無言の圧力への抵抗だと。

でも、これでも、「どうしてあなたが国相手に?」となるだろうなぁ・・・。

というわけで、宝くじ当たったら、妻には内緒で・・・・・・なのだ。
 
 
 
p.s.違法なスピードを出している時には、手に汗をかいている。しかし、想像しただけでは手に汗をかかない。が、スピードを出していない時に、《ウーウー》とパトのサイレンを聞くと、手に汗が出てくる、、、、、。コレって、一体・・・・。

| | Comments (0)

R35 GT-R のCピラー

20090609_checkershadowしかし、不思議なのは自虐的歴史観の人達だ。

地球上の生物は、遺伝子がそうさせる為に利己的な振る舞いをする。(自分勝手という意味ではないので、念のため!)さらに、互恵的な利他行動も遺伝子によって為される。

日本を守る事がすなわち自分のためになるのだから、直接的には不利益な場合であっても国を憂う心と行動は、生物としてごく普通のことだ。そして、日本の国籍を有しているなら、よほどの事が無い限り死ぬまで日本国に保護される。遺伝子の利己的な行動というのは、自分が犠牲になっても、自分の子や兄弟姉妹とその子達など、自分と同じ、あるいは近い遺伝子が残せるのなら、そういう行動をするということだ。

中国や韓国を大事にしても保護してくれない。自虐的歴史観のあなたには何もしてくれないんだよ!

そこんとこ、わかってんのかなぁ??

まぁ、自虐的歴史観の人達は、こんな簡単な“生物”の基本的事項よりも、ナショナリズムだ、軍国主義だ、帝国主義だ、天皇制がどうだこうだ、、、とか、この程度の言葉でしか人間の行動を理解しようとしないから、何を言っても無駄なんだろうけど。。。(麻生さんや中川さんの言っている事のほうが、自然なんだけどなぁ)

たかだか1000年か2000年だか知らないけれど、こんな程度の時間、人間が考えた“浅知恵”や「歴史から学ぶ」とか言ってる事で、人間の行動を理解して、制御しようなんざぁ、笑止千万だ。200万年も地球上で暮らしてるんだぜ!人類は。

時代は変わって手に取る武器は変わっても、本能的にやる事は同じなんだよ。

丸腰で立ち向かい殺される事に、“男の本懐”とか“男のロマン”なんてのを感じているのなら別だけどね。

そうじゃないとしたら、生存本能の無い新しいタイプの人類かも。この遺伝子が蔓延ったら、間違いなく人類は滅亡するだろうなぁ。地球上に生命が誕生して30億年かけて身に付けた生きる力を放棄するタイプだからね。

あっ!!だけど、地球をシャーレに置き換えて考えてみると、生育できる限度数を越えて、人類は存在しているんだよなぁ!!戦うって事は、そういう事だからね。地球上に人間が100人しかいなかったら、争いはしないよ。女をめぐって争う事はしてもね。

だとしたら、自ら個体数を減らすために、こんな“へそ曲がり”な考え方をする“脳”を持った個体を出現させて、人類の地球上での減少を遂行している・・・・・。


と、話の“まくら”が長すぎたけど、今、再び【火星の人類学者】を読み終え【脳の中の幽霊】を読んでいる。

脳は不思議だ。

これらを読んでいると、“知覚”の脆弱さが良くわかる。

『この目で見たんだから』と言われれば、普通なら、この状況は“絶対”の事象として扱うわけだが、【脳の中の幽霊】を読んでいると、不安になってくる。(上の絵の、AとBのマスの色が同じといわれて、あなたは信じられる?)

今の自分の生きている環境、大雑把には、この目で見た通りなのだろうが、ディテールは?と聞かれたら、ハッキリ言って自信がない。

そこに注目が行っていない視覚情報は、遺伝子が作り上げている可能性すらあるからだ。

それに、“注目”という行為が、曲者だ。絶対的に、厳密な定義が出来ない。

人は、注目して、それを認識しないと、見た事にならない。このプロセスは、まだ、ほとんどわかっていないらしいが、非常に複雑だという事だけは、かろうじてわかっているのだとか。

20090609_dalmatian結局、“見る”というのは、脳で行っているワケで、網膜の視細胞への光刺激は電気信号に変えられ視神経を伝わり、脳で構築される・・・・っと。このプロセスは、誰でも知っての通りなのだが、盲点を補完する仕組みを説明できる人はいない。

20090609_blind_spotあるはずの無いものが見えちゃうんだから、どうなってんだいこりゃ!って感じだ。

20090609_illusion意味付けされちゃうと、別なものに見えちゃったりして・・・・・。


私、GT-R を購入した理由に『世界的に評判が良い』『ポルシェに勝てる』ってのは、もちろんの事だが、もうひとつ、表向きの理由に出来ないことがある。恥ずかしい話だが、R35 GT-R のCピラーの形状に取り付かれてしまったのだ。

なんか、“足フェチ”みたいで、カッコ悪いので言い出せなかったのだが、途中で折れているあの形状がなかったら、絶対、買っていない。

他の色々な理由は、買うための後押しはしてくれた

でも、絶対的な買う決め手になったのは、あの何とも言えない形状のCピラーなのだ。アレを所有したい欲望に勝てなかったのだ。あの形状は、私の脳のどこかを強烈に刺激しているのだ。それだけは間違いないのだ。

その視覚情報が、脳のどこかを刺激して、そこからの二次情報が別の所に投射して・・・・・・、結局、物欲に行き着いた・・・・・。


物欲、欲望は生きる力だ。これがなくなると、人間は生きていられない。

20090609_checkershadow_proof生きる欲望を否定するかのような、自虐的歴史観は、視覚や聴覚、その他の感覚器からの入力によって、そのように感じる事になってしまったのだろうか???その知覚情報をどのように処理するのかは人によって違うんだろう。同じ現象を見たとしても、さらに同じ本を読んだとしても、脳の刺激される部分は違うのだろう。
(上の絵の証明)


単に、スノッブで自意識過剰で反体制がカッコイイって思っている・・・・・だけかもしれないけれど。。。。。って、コレじゃ馬鹿じゃん。

| | Comments (0)

抗原原罪

ルーベンス【楽園のアダムとエヴァ】サブタイトル『インフルエンザワクチンと免疫の問題』

原罪(げんざい、羅: peccatum originale)とはエデンの園において人類の始祖であるアダムとイヴが最初に犯したとされる罪、およびその罪が人間の本性を損ね、あるいは変えてしまったため、以来人間は神の救い・助けなしには克服し得ない罪への傾きを持つことになったという、キリスト教の多くの教派において共有される思想。

・・・・旧約聖書に書いてある(あるのか?私は読んだ事ないからなぁ)リンゴを食べちゃったエピソードの事だが、免疫現象にも、これと似たような現象がある為、免疫学では古くから言われている言葉である。


・・・・ってゆーか、免疫現象自体が、生命現象そのものである為、現在でもわからない部分の方が多い。その為の、わからないなりの説明とも言えるのだが・・・・。


上、ちょっと抽象的なんで、言葉を変えると、、、、現在の生命科学は、試験管の中では、きっちりとロジカルに現象を説明でき、また、再現性もあるのだけれど、いざ、そのロジックを“生身の人間”に適用すると、なんだが・・・・・思ったようにならない・・・・。

という事である。

だから、臨床は100%にならない。個人差を差し引いても・・・である。

その現象の理解が理論的に正しかったとしても個人差があるわけだが、その理論そのものが、100%に至ってない、あるいは部分的にしか解明されていないが故、間違っているということもあるわけだからね。

がんの免疫学的な治療法が、占い並みの有効率なのも、そういうことだ。

ちなみに、弱毒性のインフルエンザスイルスでさえも死んでしまう人がいると言う事が、免疫学的な個人差によっている例になるだろうか!また、強毒性のウイルスに感染しても死なない人もいるわけで、これも、免疫学的な個人差と言える。サイトカインストームを起こして死んでしまう感染症のパターンには、その原因がスーパー抗原である場合と免疫学的な個性である場合があるが、インフルエンザの場合は人間の側の個性が問題ってことはわかっている。。。。。。(のかな!?)


何で平等じゃないんだ?

って疑問には、平等だったら、今頃、地球上に人類はいないと答えておこう。インフルエンザに対するデメリットは他のウイルス感染にはメリットになるかもしれないという事を、ココでは気づいておいてもらう事にして、、、、、
 
 
 
さて、本題。前回の続き。

インフルエンザワクチンは効果があるのか?


これも、うまくいった場合には、期待通りの効果が得られるけれど、いつも、期待通りに行くとは限らない。


言葉を変えると、現代医学は、100人中100人に対して、理論的な結果を誘導できるほど、生命現象を理解していないということになる。

そして、その不確実性は、現在、判っている範囲で、ウイルスの特性、疫学の事実や抗原原罪説等で説明されている。

まず、一つ目。インフルエンザウイルスは、抗原性を変異させながら免疫を逃れているウイルスのひとつであるということ。だから、流行すると思われる株を想定して毎年接種しているワケだが、、、、

何故か、人間は、この変異の激しい部分に対して、反応する(抗体を作ろうとする)んだよねぇ!!

前回示した Science April 10 2009, Vol.323『インフルエンザとの戦い(Fighting Flu)』のように、変異の少ない部分に対して抗体を産生できるようになれば、詳しい生命現象を知らなくても、期待する結果を得る事が出来るようになるんだけど、、、

で、インフルエンザウイルスの変異率の高さは、RNA ポリメラーゼが“低性能”である為に、1000塩基に一つの割合で複製ミスを犯すところから来ているといわれている。遺伝子変異率から見るとインフルエンザの一年はヒトの百万年分に匹敵するとも言われているくらいだから、その凄さがかわるだろう。なんたって人類は、二百万年前に地球上に誕生したんだからね。

一回の予防接種で一生免疫が得られる“麻疹”や“日本脳炎”の原因ウイルスが、どれ位の変異率なのかは、調べた事はないけれど、人体が、ほとんど変異しない部分に対応するのなら、一回で生涯の免疫が得られるのである。


二つ目。インフルエンザワクチンを接種すると、確実に抗体産生を誘導できるのか?という現実がある。

疫学の事実として、ワクチン株に対する抗体の上昇率は低いと言われている。2回接種するのはその為なのだが(近年では、成人は1回で済ましている事が多いが)、、、、それに、高齢者の場合は、胸腺がない事(だから、ポリクローナルにプライミングされた状態にある)も大いに関係しているのだろうけど、特異的な上昇率は低い。

それと毎年の流行を予測しているわけだが、その予測の確認はフェレットでやっているんだよねぇ。知ってたぁ?フェレットだよ、フェレット!!そののデータをヒトに当てはめてるんだよねぇ・・・・・・・。まぁ、他に方法がないならショウガナイけど、、、、それに、的中したとして、その量で臨床的な効果が得られるのか???(理論的には完璧ながん免疫療法が効かない理由のひとつには、これと同じパターンが考えられる?)

そんなこんなで、インフルエンザに罹患しなかったのが、本当にワクチンのおかげなのかどうか、、、、、、私自身、予防接種を受けるようになったのは、子供が出来てからなんだけど、それ以前は、罹患していたかと言うと、記憶にないんだよねぇ。

私自身の免疫学的個性により、ウイルス感染しても症状が出ない体質だとしたら、ウイルスの運び屋になってしまう。家族に染すのを防ぐ意味で、予防接種をしてるというのが、目下の理由なのだが、、、、


三つ目。現在のワクチン投与経路の問題。

現在のインフルエンザワクチンは、その投与方法が筋注だ。その為、人体は胸腺依存性抗原として処理する。その結果、産生される抗体は IgG クラスだ。

この抗体は、病原体感染の最前線で活躍できる抗体ではない。

消化管の免疫を見れば、一目瞭然なのだが、100兆個を越える微生物に曝されながら、これを、ほぼ、完璧なまで消化管内で食い止めているのは、何を隠そう、IgA クラスの抗体が分泌されているおかげなのだ。

粘膜から粘液中に放出され、免疫グロブン全体の8割を超える割合で産生されている、感染防御の専門家が IgA クラスの抗体だと言える。

では、IgG クラスは何をやっているのか?

最前線をかいくぐって人体内に侵入したウイルスを、免疫系を総動員して排除するために活躍している。いってみれば、感染後の重症化を防止するという役割で考えるのが適当なのである。最近は、この辺を理解している人も増えたみたいだが。。。。「発病しないではなく、発病しても軽い」って、患者さん自らが言っている事を耳にする機会が増えたもんねぇ。

インフルエンザウイルスの感染部位は“気道粘膜”なのだから、気道粘膜で分泌型 IgA クラスの抗体産生を誘導できるワクチン投与が理想的なのだが、、、、何故か、今まで、なかったんだよねぇ。

米国では、CDCのホームページで、経鼻ワクチン Flumist のQ&Aがあるから、発売されているみたいだけど。。。。

臨床的な効果があると仮定して(among children aged 15-85 months にはスゲー良いみたいだけど、大人では???みたいだから)、経鼻ワクチンと筋注のワクチンの併用が、私的には一番だと思うのだが、対費用効果を考えれば、経鼻ワクチンに分があるのは論を待たないだろう。強毒性ウイルスじゃない限りねっ!!


四つ目。これが、冒頭に書いた“抗原原罪”が関与する部分だ。

ワクチン接種後の抗体の上昇は、もちろんワクチン株に対して反応したものである。これは、疑いのない事実である。

だが、その誘導された抗体が感染を阻止する抗体として働くかどうか?という疑問は残されたままなのだ。

結局、フェレットとヒトは違うよ!ってところにも関係してくると思うんだけど、抗原としてワクチンを投与しても、期待する抗体が選択されない・・・・・。

抗原と抗体は、鍵と鍵穴の関係。フェレットで予測は的中したと確認されても、人体で作られる抗体が、鍵と鍵穴の関係とは、微妙に違ってしまう・・・・・。

抗原原罪

1.概念

免疫系の正常な働きによって抗体やエフェクターT細胞が獲得されると、それらは同じ抗原に対して反応するナイーブリンパ球が活性化されるのを抑制する。

これは抗原にさらされていない個体に特異抗体やエフェクターT細胞を移入することで観察される。

既に免疫されている個体に特異抗原を投与してもナイーブB細胞は反応を示さないが、他の抗原には正常に反応する。

2.現象

“原罪”とはアダムとイブに象徴される人間が生涯負わされる罪(sin)のことである。アダムとイブの冒した罪をじっくり考える暇もないほどめまぐるしく移り変わる今の世の中で、免疫学で呼ばれている“抗原原罪”という現象はワクチン研究者にとって大きな重荷になっている。

この現象は最初に受けた強い印象がいつまでも記憶されるように、工夫を凝らして作った型の数々のワクチンをいく度接種しても産生される抗体の多くは最初に接種したワクチンの型に対するものである。

事実この現象はインフルエンザウイルス、デングウイルス、マラリアなどで認められている。

病原体に感染するとナイーブT細胞によって免疫応答が開始され、病原体の排除のためエフェクターT、B細胞(障害性T細胞、形質細胞)が活性化し、病原体が駆逐されると記憶T、B細胞に再度の病原体の感染防御を託し死滅する。

同じ病原体が侵入すると記憶T、B細胞はナイーブT細胞の活性化を抑制し、ただちに免疫応答する。

しかし、インフルエンザウイルスなど初感染時から変異した病原体が感染すると、記憶T、B細胞は最初に免疫応答するはずのナイーブT細胞の活性化を抑制するので、最初に感染したウイルスの記憶に基づいたエフェクターT、B細胞を活性化させる。

その結果、最初のウイルスに存在した共通のエピトープだけに抗体が産生され二度目以降に感染したウイルスの変異したエピトープには抗体はあまり産生されない。

最初の記憶は消えないのである。

インフルエンザウイルスは毎年少しずつ姿を変えて出現するので、感染するとまず初感染時の免疫記憶がよみがえるため、変異ウイルスは生き延びて新たな流行が拡大するのである。


ということで、予測バッチリのワクチン(抗原)を投与しても、それにバッチリと対応する型の免疫グロブリンが得られない事があるんだよねぇ、困った事に!!


免疫現象は、初感染なら、一からステップを踏んで行われる。しかし、コレでは現在進行形の感染に対応できない。時間的に間に合わない。その為、同じ病原体の次の襲撃に対処するため、その抗体を作るB細胞を長期に渡って、体内に残しておくように高等生物の免疫系は進化した。

通常のB細胞は、2週間から1ヶ月位の寿命なのだが、この記憶B細胞は、生涯、行き続けるらしい。前回、紹介した論文 Nature vol.455 (7212), (Sep 2008)『免疫:生涯働き続けるインフルエンザ抗体』を参照。

この記憶B細胞が体内にいるおかげで、2度目の時は、すばやく対応できる。インフルエンザの様な変異しやすいウイルス以外の場合は!

というわけなのだ。

抗体は、抗原とピッタリと合う型でないと役に立たない。

しかし、なまじ、以前に似たような経験をしていると、免疫系は“すばやく対応”を信条としているため、記憶B細胞で対応しようとしてしまう。。。。


くぅ~、泣けるねぇ!!


でも、多少は効くのかもしれない。理論的には効かないはずだけど、ちっょと効いてしまうのが、臨床だからねぇ!?

理論的には、立体異性体の関係にある鳥とヒトのシアル酸ではあるのだから、お互いに感染する事は無い筈なのに、感染するのも臨床だしねぇ!

試験管レベルの理論は、完璧なんだろうけどねぇ!


ということで、善良な市民を、益々、混乱させてしまうエントリーでした。

| | Comments (0)

タミフルやワクチンはインフルエンザに効くのか?

ミケランジェロ【ピエタ】まず、タミフル。

非常に難しい質問です。何を以って効くとするのか、、、、『効きます』と答える側と『効くのですか?』と質問する側、特に質問する側が患者であった場合は、間違いなく、答える側と想定しているレベルに食い違いはあるだろうなぁ。

例えば、『5日間の発熱が3~4日間に短縮する』という事を“効く”とするなら、タミフルは効くということになるだろう。

ただ、『効くのですか?』とわざわざ聞くときは、重症化して死んでしまう場合にも『効くのか?』という事を知りたいはずだ。


現在、わかっていることを書き出してみると。。。。。

タミフルは「インフルエンザ脳症」(インフルエンザの重症化)を予防しない。

インフルエンザウイルスの“強弱”とは関係なしに重症化する場合は、サイトカインストームによるものであり、タミフルやリレンザなどノイラミニダーゼ阻害剤は、単に増殖したインフルエンザウイルスが細胞から離れるのを阻害するだけだから、病院にいって、タミフルを処方してもらう段階、すなわち、検査してインフルエンザウイルスの存在が判明する段階では、すでに病態形成が進行しているわけだ。

発熱をみてからタミフルを服用する頃には、軽症例ではウイルス量は減少し始め、サイトカインストームが生じるような例では、すでに病態形成が進行しる。

いずれにしても、病勢の減退や進行に、タミフルは影響を与えない。軽症の場合楽にはなるけど。

よって、インフルエンザウイルスの“強弱”とは関係なしに重症化する場合は、タミフルは『効かない』と言う事になる。


では、強毒性のウイルスだった場合は、タミフルは効くのか?

まず、その前にちょっと前に香港で流行したH5N1型鳥インフルエンザウイルスの毒性のパターンを見てみると、、、
このウイルスは、通常のインフルエンザウイルスと異なり、インターフェロンやTNF-αの抗ウイルス作用に対して耐性を有していることが確認されている。これも、強毒性といって差し支えないだろう。だけど、人から人への感染力が少ないから、公衆衛生学的には脅威ではない。個人的には脅威ではある。だから、この場合は罹患の確率の問題で『怖くない』という感覚になる。罹患するけど重症化しないし・・という『怖くない』ではない。

新聞等でもご存知のことと思うが、インフルエンザウイルスが人の細胞に吸着するために使う鍵のようなものが、HA(ヘムアグルチニン)で、これには16種類が知られている。一つの細胞に入り込んで増殖し、その細胞から脱出し他の細胞へ向かう為の鍵のようなものが NA(ノイラミニダーゼ)で、これには9種類が発見されている。

ヒトに感染する HA は H1~H3、NAはN1とN2が確認されている。

鳥のH5は特別な例外を除いてヒトには通常感染しない。

ちなみに、鳥に感染する H1 のウイルスはヒトには原則的には感染しないといわれている。この為、今回の騒動が起きたものと思われる。(基本的に、なんで騒ぐのかわからないし、マスコミのネタだと思うが・・・・)

その理由は、HA(ヘムアグルチニン)の鍵穴(錠前とでもしておく)であるシアル酸(SA)が鳥とヒトのでは立体異性体の関係にあり、鍵穴(受容体:galactose)への結合方法が異なるためである。そのため、一部の例外を除いて原則的に相互に感染しない。
ただし、症状が出ないすなわち不顕性感染はありえる。結合が少ないので病気の程度が軽いというわけだ。空港でチェックしても意味が無いのも、冷静に考えれば事前に判ること。
で、このインターフェロンやTNF-α耐性は、NS1遺伝子が関与していると考えられる。ということは、宿主(この場合ヒト)の持っている自然の抗ウイルス作用が全く働かず、ウイルスの増殖速度は、とっても速い・・・・・・。

当時、香港ではタミフルを2倍飲んでも、、、効かなかった。。。。と報告があった。


もう一つの、いわゆる典型的な『インフルエンザウイルスの強毒株と弱毒株』--Q&A-- にある強毒性の場合、人から人への感染力が多い、少ないは、この変異が規定するわけではない(?)。(シアル酸認識部位じゃないんだから・・・でいいんだよね??)

だから、理論的にはウイルスの量を減らせる、すなわち新たな細胞に吸着して進入する事を阻止できれば、病態形成の進行を食い止められそうである。

ただし、このタイプの強毒性ウイルスが感染後、発熱などの症状が出のまでの間に、全身の細胞に到っていれば、「効かない」ということになる。この辺がどうなのか、私にはわからない。

まだ、他にも書いておかねばならないこともありそうだけど、、、まぁ、いいかっ!夜も更けてしまったし、明日は娘と遊ぶ約束をしているし、さっさと、、、、、


というわけで、次に、ワクチンだが、、、、ふわぁ~、頭がぼぉ~と、してきてる、、、これじゃ続けらんない、、、、、。

というわけで、ワクチンに付いては、明日か明後日か、、その内、思いつくままに書くことにする。

ワクチンが予防効果があるのか無いのか、これも色々な要素があって、一言では言えない。

要は、このエントリーの目的は、インフルエンザ騒動を機に、自分の頭の整理、、、、、それと、ここ【マリンパの雑感】を読んでくださる方が、マスコミの単純で安直な“決め付け(誘導)”に流されないために、、、、、わけわかんなくさせ、、、、さらに不安に陥れる・・・・・・・・・・って事なのか・・・・

(。_゜)☆\(ーー;)バキッ

って、冗談はさておき、次回までに、下の引用でも読んで、暇を潰しておいてくだされ。

免疫:生涯働き続けるインフルエンザ抗体

Nature vol.455 (7212), (Sep 2008)

1918年のH1N1型インフルエンザの世界的大流行を生き延びた人たちの血液から、このインフルエンザウイルスのタンパク質に対する中和抗体が単離され、免疫応答の持続性についての新しい基準が得られた。

血液標品は、1918年当時2歳から12歳だった、現在91歳から101歳の生存者32人から集められた。

すべての血液標品が最近再構築された1918年ウイルスに対して血清反応性を示し、また一部の標品からは、記憶B細胞を単離して、培養・増殖させることができた。

このB細胞は1918年ウイルスのタンパク質の1つに対する抗体を産生し、この抗体は1918年ウイルスの致死性感染からマウスを防御した。

このことは、1918年のウイルスに似た新興ウイルスの治療にこのような抗体が有用である可能性を示唆している。

Letters to Nature p.532


インフルエンザとの戦い(Fighting Flu)

Science April 10 2009, Vol.323

現在のほとんどのインフルエンザのワクチンは、主要表面抗原の赤血球凝集素(HA=antigen hemagglutinin)上の超可変領域(hypervariable regions)を標的として抗体を誘発し、特定のインフルエンザ系統と宿主細胞の結合を妨害する。

最近になって、もっと広範に有効な中和抗体が報告されたが、これによってもっと一般的な治療法が可能になるかも知れない。

今回、Ekiert たち (p. 246, および、2月26日の電子版も参照)は、中和スペクトルの広いヒト抗体CR6261が2つの異なるHAと複合体を形成している抗原結合領域の結晶構造を決定した。

2つのHAとは、1918インフルエンザウイルス、他の1つはH5N1トリインフルエンザウイルスである。

結晶構造から、中和のメカニズムが明らかになった。このような結合エピトープ(抗原決定基)を分子レベルで理解することによって、ワクチンや薬剤の設計方針の助けになるであろう。

Antibody Recognition of a Highly Conserved Influenza Virus Epitope
p. 246-251.

| | Comments (0)

見たいものしか見ない

20090508_looking人は、見たいものしか見ない。どんなに客観的に見ているつもりでも。

これは禅問答でもなんでもない。どんなに自分が客観的に見ているつもりでも、その「自分が見る」という行為が、すでに、主観的なのだ。

これは、物理学では、随分以前から“観察者”という“主観”で認識されてはいたものの、それ以外の分野では、あまり意識されては来なかった。

それ故、大衆はその道の大家と言われる権威者の“主観”に惑わされることになるワケだが・・・。
 
 
 
さて、マスコミの報道姿勢こそ、インフルエンザウイルスよりも“警戒レベル6”だなぁと感じる今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか?

神経:ニューロンの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

Nature vol.459 (7243), (May 2009)

感覚ニューロンに動物の次の判断を予測する能力があるかどうかについては、10年ほど前から大きな関心が寄せられており、感覚ニューロンの活動が何らかの仕方で適切な判断をもたらしているという見方が強まりつつある。

しかし今回、H NienborgとB Cummingは、サルにビデオ上での両眼視差識別課題で選択を行わせる研究から、こうした見方が単純すぎることを示した。

彼らの実験データからは、因果関係はむしろその逆であって、まず判断がなされ、その判断自体が感覚ニューロンの応答を変化させることが明らかになったのである。何を見ようとするかによって、見えるものが変わるのだ。


Letters to Nature p.89


ところで、騙し絵というのを見たことがあると思う。

人間は、身の回りのことを自分の目で“ありのまま”見ているかのように思っているが、網膜からの情報は、電気信号に置き換わり、脳が像を“再構築”している事を実感できる“絵”だ。

この論文は、その事を説明するためのものではないが、自分の周り360度の像のうち、注意を向けられるのは“全て”ではなく、実はごく一部の像しか見ておらず、尚且つ、視覚情報を脳で再構築する際に、生まれてから養った経験(シナプスの取捨選択)で補っているため、そこに、『見たいものを見てしまう』という状況を生むことになるという事を説明できる。

実際は凹んでいるにもかかわらず、凸んでいるように見えてしまうのは、「その形なら、それは凸んでいる」と判断した(生まれてから養った経験による)後に見るために、視覚神経から得られる筈の“凹んでいる”と判断できる情報を除去してしまう・・・・・・。


マスコミは人の注意を向けさせる術は知り尽くしている。神経生理学的なことは知らなくても、人は「見たいものしか見ない」という事を経験上、知り尽くしているのだ。

そして、「見たい」と思わせる術も知り抜いている。


豚インフルエンザウイルスの報道で、まず、大事なのは『強毒性か弱毒性か?』だ。逆に言えば、『強毒性か弱毒性か?』により、伝えなければならないことは天と地ほどの差がある筈だ。

しかし、WHOがどんなに『警戒レベルは病原性の強弱とは関係なく、感染地域の広がりを示す値である』『今回の豚インフルエンザウイルスは弱毒性だ。パニックになるな』と言ってみても、マスコミにかかれば、その情報は付け足しのように『尚、WHOによれば、、、、との見解を示しています』と、サラリと軽く扱われてしまう。


人が「見たい」と思わなくなるような“報道”は、彼らにとってみれば“背任”に当たる行為なのかもしれないけれど、『人の知る権利』などと大層な御託を並べるのなら、自分達の行為にも“モラル”を持ってもらいたいもんだ。。。。。。

マスコミにとってみたって、一時的に自分達の利益に反することになったとしても、廻りまわって自分達の利益になる筈(互恵的利他行動)。こんな目先の利益ばかり追っていると、最後に相手にされなくなるぞっ・・・・っと。

| | Comments (0)

プリオンはアルツハイマー病にも関係する

20090227la_manne_ou_les_israelites_これは、一体、どう考えればよいのだろうか???

この二つの疾患は、最近、コンフォメーション病と一括りにされたばかりだが、共通点はどちらも蛋白質の立体構造の変化によって引き起こされる病気であり、直接、関係があるとは思われていなかった。

ところが、、、、、、コレだっ。

可溶性アミロイドβ(Aβ)ペプチドオリゴマーが脳の組織内に増えるという現象が、『神の存在を考える時』で考察したように、人の寿命に仕組まれている生理的な現象だとすれば、神経細胞の生死に関わる PrP もそれに一役買っているってことで、特別な“不思議”という訳ではなくなるのだが、、、、、(注)

そもそも、PrP がαヘリックス構造からβシート構造に変化するのに、遺伝子の塩基配列の変化は必要ない。塩基配列が変化するんなら、死ぬのもわかるんだけど・・・。

この変化が無い正常な立体構造の PrP は人生の終わりにおいて、脳機能の低下を助けるんだから、死に行く個体にとっては当然の役割を果たす、、、、、わけだけど、この立体構造が変化する事により、Aβ の情報が正常に伝わらなくなるって事は、どう考えればいいのだろうか???

立体構造が変化して、正常な機能、すなわち、個体に引導を渡す事が出来なくなってしまった場合には、その個体に確実に“死”を与えるために、脳神経細胞にダメージを与えるって視点に立てば、PrP は、個体の死を確実にする為の機能を持った蛋白質だと言える。


人類は、アポトーシスという現象を知るまで、また、精巧に仕組まれた蛋白質の分解系を知るまで、細胞で作られる蛋白質っていうのは、全て“生きる為に必要なものばかりだと思っていた。

「計画的に死ぬ」「計画的に分解される」って事を細胞レベルで、分子レベルで語るときには、さほど“罪悪感”“違和感”を感じずに済んだ。しかし、このような神により仕組まれた現象を、“人生”に当てはめるのは、、、、、かなり、、、、、、だ。


注:正常プリオン蛋白の生理機能も徐々に判明しつつある。遺伝子操作で人工的にプリオン欠損マウスを作り出したところ、出生直後は正常に発育するものの、発育するにつれ運動失調や長期記憶、潜在学習能力の低下が認められる。したがって、正常プリオン蛋白は神経細胞の発育と機能維持に何らかの役割があると考えられている。

医学:プリオンはアルツハイマー病にも関係する

Nature vol.457 (7233), (Feb 2009)

アルツハイマー病では、可溶性アミロイドβ(Aβ)ペプチドオリゴマーが中心的な役割を果たすという仮説は十分に立証されているが、Aβオリゴマーが神経細胞に影響を及ぼす際の基盤となる仕組みは明らかにされていない。

可溶性Aβオリゴマーに対して高い親和性をもつ細胞表面受容体が神経細胞上に存在することの証拠がいくつか示されており、これがアルツハイマー病の病態の中心となると考えられている。

今回、細胞のプリオンタンパク質PrPCがその受容体候補であることが突き止められた。

脂質ラフトと会合する細胞膜糖タンパク質であるPrPは、Aβオリゴマーと高い親和性で選択的に結合し、ペプチドの有害な作用を仲介する。

今回の結果は、PrPCに特異的な薬物がアルツハイマー病に対する治療薬となる可能性を示しており、また、感染性プリオン病とアルツハイマー病との予想外のつながりを示している。


Letters to Nature p.1128

News and Views p.1090


狂牛病の牛肉を食べると発症すると考えられている、Variant-CJD は、本来やっちゃいけない行為、共食い、を禁じた神の戒めなのかも。

いやいや、Variant-CJD を発症した人が“共食い”をしたわけじゃなく、牛が牛を食べたという事を言っているのだが、、、、、。いやいや、牛が牛を食べたんじゃなくって、人間が牛に牛を食べさせた・・・・・・・、罰が、何の落ち度も無い人に Variant-CJD 発症させた・・・・・。

経済性を優先させた、、、、金儲けに走って、、、、、
 
 
 
共食いをする生物種が地球上に、どれ位いるのだろう?『やむにやまれず』やってしまったなんてのは、どんな種でもありそうだけど、それが常態化しているのって、いないんじゃないのかなぁ??

だとしたら、共食いを常態化するって事は、コレを禁じた神による“罰”として、予め、“死”に直結する蛋白質に立体構造の変化を来すように仕組んであった。。。。。
 
 
 
    ウー c(`Д´c)

考えているうちに、恐ろしくなってきた。こんな事、大っぴらに言うもんじゃねぇ~よな。

良い子ちゃん的な発言を繰り返す奴らには、強烈な関節技を決めまくっている私だが、さすがに、気持ち悪くなってきた。これが、いわゆる“死を恐れる”基本的な“生存本能”なんだろうなぁ・・・・・。

人の死を“可哀想”だとか“哀れむ”ってのは、高等な脳機能なんだと思う。悲惨な人の屍体を見て、“哀れむ”よりは“気持ち悪くなる”“怖くなる”というのは、本能に近い反応だろう。

“可哀想”だとか“哀れむ”って言ったような“気持ち”を操る“良い子ちゃん”には、関節技のをお見舞いするけど、“気持ち悪くなる”“怖くなる”のは、対応のしようもない。


ってなわけで、ここに書けないような、気持ち悪いことを一杯考えた私は、書き続ける気力が萎えてしまいました・・・・。そして、一つ、不思議な現象が気になり始めました。

それは、旧約聖書、モーゼがエジプトを出発してから色んな所で食糧難になった時、朝になるとその辺、一面に落ちていた“マナ”って食べ物の事だ。

これって、一体、何なんだろう??もしかして、死んじゃった仲間じゃないだろうねぇ?!

| | Comments (0)

ゴマフアザラシと RNA

20090223_gomafuRNA は DNA の特定の領域(遺伝子)が転写されて、核内から細胞質へ移動し、蛋白質を作る情報の媒体として機能する。

これは、高校で習うことだ。

このような蛋白質を作る情報の媒体となるものを、特に mRNA と呼んでいる。通常、RNA は転写されて直ぐに核外へ移動するため、RNA を標識して(顕微鏡で見えるようにする為、色を付ける)分布を調べると、核の部分には何も見えず、ちょうどドーナツの穴のように見える。

今まで知られていた RNA では全てこのドナーナツの穴のように見えていたため、RNA は転写されると、すぐに核の外に移動するもんだ!!という事が常識となっていた。

しかし、最近発見されたある種の RNA は核外へ移行せず、核内に留まり、何かをしているらしい・・・。この RNA に注目してみると、ドーナツの穴はあいてない・・・・・。発見された当初は、かなりの衝撃・・・・・だっだ。


ところで、つい最近まで、DNA 上の蛋白質に翻訳される部分、すなわち遺伝子は全塩基の2%に過ぎないため、残りの塩基配列は存在自体が意味の無い、すなわちガラクタ(ジャンク)だと思われていた。

ところが、2005年、理化学研究所の林崎らにより、DNA の全体の、ななな、なんと、70%にも及ぶ領域が転写されていたことが解明された。

転写されるってことは、DNA → RNA と RNA が生成されるわけだが、これらのほとんどが蛋白質の設計図とならない、いわゆる“ノンコーディング RNA (ncRNA)”として存在することが明らかにされたのだ。さらにこの ncRNA の中には、機能を持つものも含まれていて・・・・。

miRNA などがその代表で、エピジェネティックな遺伝子発現制御を担っていたり、、、、

今現在わかっている RNA で核内に留まるものは4つ知られているのだという。

核内に留まるんだから、mRNA として機能するわけもなく、まだ、その実態は闇の中とのとこだが、その4つの中の一つ、Gomafu と名付けられた核内 RNA の研究がブレークスルーになりそうな気配を漂わせている。。。。

Gomafu は“ゴマフ”と発音する。

核内に居残る Gomafu の分布を顕微鏡で見た時の印象(ドーナツの穴の部分の模様)がゴマフアザラシの模様に見えたところから、Gomafu と発見者の中川により命名されたそうだ。

この研究がブレークスルー・・・・というのは、実は Gomafu は別のグループにも発見されていて、MIAT (ミアット) と命名されていた。

MIAT は、その1塩基置換により心筋梗塞発症率が上昇する遺伝子として同定されていたのだ。もちろん、その転写物 (RNA) が、核内に留まるということはわかっていなかったのだが・・・・。

つまり、“心筋梗塞発症率が上昇する”という表現形が、その遺伝子が核内にあって影響を及ぼしているということなのだ。

蛋白質の機能として心筋梗塞発症率に影響するわけじゃない・・・・(翻訳は核外)
miRNA として mRNA の翻訳段階で影響を与えているわけじゃない・・・・(miRNAとして機能するには核外)

一体、どのようにして影響を与えているのか・・・・?
 
 
 
ここ何回かのエントリーは小説『坂の上の雲』をネタにしている。この本は海軍連合艦隊の参謀として活躍した秋山真之とその兄で陸軍の騎兵隊を指揮した秋山好古、それに同郷の正岡子規を主人公にした物語だ。


最近、この小説が、私の脳内を占拠している。。。。なにかあると、この時代のこれらの登場人物の役割みたいなものを、生命科学に登場するキャラクターに置き換えて思考遊戯を楽しんでいるのだ。

東郷平八郎がゲノム(遺伝子を含む)とすれば、旗艦の艦橋はさしずめ“核内”で、参謀の秋山真之は、核内にあって、表現型に影響を及ぼす ncRNA 、miRNA は前線の佐官級将校かなぁ・・・・・なんてね。

秋山真之の影響力とその意思・情報・命令の伝達は明らかにされているのだが、Gomafu の場合はどうやっているのか、皆目見当も付かない・・・・。


サイエンスが“核心”に迫ると、その実験は美しくなり、自然現象を表現する“式”はシンプルに美しくなる(と表現する人がいる。私には難しすぎて美しいのかどうか、よくわからないが・・・。『世界でもっとも美しい10の科学実験』は何だか美しそうだけど・・・)。

物理や化学の世界では、どうやら、それは正しいことのようだ。しかし、生物学では、“核”に迫れば迫るほど、どんどん、複雑に混沌としてくる。

生物学では、物理や化学のように混沌から抜け出せるのだろうか???

| | Comments (0)

神の存在を考える時

20090221_god_fatherサイエンスの分野でも謎を一つずつ解き明かしていくと、その現象に緻密な意図を感じる時がある。

たまたまの偶然の所業だとはわかっていても、そこに人知を超えた“あるもの”の存在を感じざるを得ない時がある。

地球の始まりや、もっと遡って宇宙の始まりも“説”としては知ってはいるが、理解は不能だ。クオークやレプトンである電子やニュートリノがキーワードになり、ノーベル物理学賞に南部陽一郎、小林誠、益川敏英の3氏が選ばれた昨年、分からないなりに「素粒子物理学と核物理学における自発的対称性の破れの発見」、「クォークの世代数を予言する対称性の破れの起源の発見」なんてのを理解しようと努力したりした。

しかし、直感的に言って、神様(別に神という名前じゃなくても良いけど)を想定した方が、分かりやすい。インテリジェント・デザイン説に傾倒しちゃう人がいるのは無理も無いのかもしれない。

事実、地球には、神を信じて生きている人の方が圧倒的に多いのだ。

発生:チェックとバランス

Nature vol.457 (7232), (Feb 2009)

胚の発生の際には、まず神経細胞が過剰に作られ、これらのニューロンとその長い突起(軸索)の多くはその後、自然退縮の過程で除かれる。

Nikolaevたちは、アポトーシスを誘導するタンパク質DR6(デス受容体6)が、この自然退縮過程の調節因子の1つであることを突き止めた。

DR6はAPP(βアミロイド前駆体タンパク質)に結合することで作用する。

膜貫通タンパク質であるAPPの機能はまだわかっていないが、ヒトの遺伝学研究でアルツハイマー病との関連が疑われている。

ニューロンの典型的なアポトーシスではカスパーゼ3が必要だが、DR6/APPが誘導する退縮はこれとは異なり、カスパーゼ6の活性化が必要である。

この知見は、APPの細胞外断片がDR6とカスパーゼ6を介して働いて、アルツハイマー病の神経変性の一因となっている可能性を示唆している。


Articles p.981


人の一生は、精巧に仕組まれている・・・・・・・・のかもしれない。

発生の段階に限らず、傷(組織損傷)の治癒過程をみても、まず、一旦、過剰に作られて、必要の無い細胞を脱落させるという過程を経る。(皮膚の傷がふさがる時も、一旦は盛り上がるけど、そのうち平らになるでしょ!)これは生物の基本だ。

で、生まれる時、すなわち発生の段階で使う遺伝子を、老化して最後の段階でも使う・・・・・・・・。仕組まれているって感じない?

神経組織を構築する時に使った遺伝子は、一旦、眠りについて、再び人生の最後で、また使われるのだ。

人生の最後に APP に活躍の場を与えられるためには、その個体の体(脳以外)が『もう、限界だよ』というシグナルを発しており、それを受けてシステムが動き出す・・・・・、そんなシナリオを考えてもいいのかもしれない。

アルツハイマー病にならなかったひとは、体が『まだまだ、余裕あるよ』って言ってるか、或いはシグナルが届かない人なのかも。。。。老化に対しては『まだまだ、余裕あるよ』って言っても、病気で死んじゃえば“脳”は死ぬ準備を始めない・・・・・。

生きて、行き続けることが現代人にとって何よりの“幸せ”だとすると、死を否定するしかなくなる。しかし、我々には、予め死が予定されている。。。。。。


二つの選択肢、すなわち、片方は無残な“死”、もう片方は物質的にも精神的にも肉体的にも全てに恵まれた幸せな“生”から一つを選ぶとすれば、誰だって“生”を選ぶだろう。

しかし、死ぬも“地獄”だけれど、行き続けるのはもっと辛い“生き地獄”だとしたら、どちらを選ぶだろうか??


意識がハッキリとしている状態で、肉体が朽ち果てても死ねない、、、、、これじゃやりきれない。アルツハイマーは神が与えた慈悲・・・・・。

こう考えれば、死は必ずしもネガティブに捉えなくてもよくなる。人はこういう状況に置かれた時、受け入れざるを得ないもの、すなわち死に対して、神の御心なんてものを思い描いちゃうのかも・・・・。
 
 
 
話は変わるが、一つの方向からしか物事を見ないと本質を見失うことがある、善と悪はいつもでも相対的であるという事を示す例では次の論文が適当かもしれない。

小さな殺害者(Little Killers)

Science February 6 2009, Vol.323

血小板はコラーゲンに曝されて活性化されると傷ついた血管をふさぎ、そして又、マラリア寄生虫に粘着して、マラリア寄生虫を細い末梢血管内への隔離を促進し、大脳病理学に寄与している。

これらの一般的な粘着性の性質は、また血小板が病原体攻撃の初期段階に対する前線防御ラインへの価値ある支援部隊であることを意味している。

McMorranたち(p.797)は、感染の後の段階での病理学的役割にもかかわらず、血小板がマラリアの初期段階に対する生得の宿主応答に重要であることを示している。

アスピリンを含めた血小板凝集抑制剤により、in vitroでの熱帯熱マラリア原虫における血小板の致死的な効果が除去される。

血小板の欠損を持つマウスは類似のマラリア原虫の感染により急激に衰えていく。

二つのケースで、血小板は感染した赤血球にくっついて、寄生虫を殺す。

Platelets Kill Intraerythrocytic Malarial Parasites and Mediate Survival to Infection
p. 797-800.

---みのもんたに告ぐ---

『血液サラサラは絶対的な“善”ではないんだよ。ところ変わればマラリアで死んぢゃうんだからね』

この場合の生死の選択は、片方は“不幸な死”、片方は“幸せな生”だから、生きる事が“善”とした価値観の上で、『・・・・ところ変わればマラリアで死んぢゃうんだからね』と“死が悪である”と言っているところに注目!!

生きる事が“善”としての定義がなされないで、理論が構築されていく“違和感”は、、、、次の如くだ。
 
 
 
司馬遼太郎の『坂の上の雲』を読んでいる。・・・・面白いのだが、この作者は自分の価値観を小説に頻繁に登場させる。その価値観に違和感を感じる事が多々ある。(違和感があっても、小説は面白いから読むんだよねぇ。作者の好き嫌いには関係ないし。っていうか、私、小説家の好き嫌いって、、、、ほとんどない。身近な人じゃないから、好き嫌いの対象にならないっていうか・・・なんだろうね?)

違和感の原因は何だろう?と思い、ちょっと考えたのだが、『この世の中で“死”は“絶対悪”で、生きていることはそれだけで“絶対善”で“絶対幸福”である』という価値観が無意識に、或いは立場上言わざるを得ない為にあるのではないか?との結論に至った。

司馬遼太郎ファンの人からすれば『そんな単純なものではない』という事になるのだろうが、彼の小説にちりばめられた“持論”をこの視点で見れば、証明に破綻することは無いはず。

戦争を忌み嫌っているが、全てのロジックの根底には『この世の中に“死”ほど不幸で“悪”なことは無く、生きていればそれだけで“幸せ”である』が流れていると感じるのだ。作者は戦争に行き、その後小説家として大成功し、富にも名声にも恵まれたのだから、『生きていればそれだけで“幸せ”である』って感じるのは当然だろうし。

しかし、現実の世界では、天涯孤独、頼る人も頼ってくれる人もいない、手に職があるわけでもなく、戦地で名を馳せる以外には、野垂れ死にするしかない人がいるのも事実だ。そんな人が戦地を死に場所に選ぶのは、ある意味、尊厳死と共通のものがあるのではないか?

戦争は“絶対悪”であるとの価値観を公には言わざるを得ないとしても、人間が地球上の一生物種として誕生してしまった以上、どんなに悪であっても、いれを受け入れる事が現実的には必要だ。

戦争を美化する必要はないけれど、それが避ける事の出来ないものである以上、死んでいく当人の精神面が充実するような“嘘”は、必要悪なんじゃないのかな?と私は考えている。例えば、発見した時には、すでに末期の癌だった人につく“嘘”を誰が“絶対悪”だと言えるのだろうか??明治の時代、天皇を神にすることが、そんなに悪だとは思えないんだけど・・・・・なぁ。


『癌の発生は人間にとって不可抗力だけど戦争は違う』なんてのはロマンチストの発想だ。

結果が同じ“死”なら、兵隊が国や軍の指導者に騙されようがそんなことはどうでも良い。というか、騙されていたほうが、幸せなんじゃないの!

それに、国や軍の指導者が国民を騙す(洗脳)ことを“絶対悪”と評価するのは、100歩譲って認めたとしても、その指導者達を“無能”呼ばわりするのは“違和感”を感じざるを得ない。それじゃ、死んでいった人達は、ただの“馬鹿”や“キチガイ”の犠牲になったってことなっちゃうじゃんか。それじゃ、浮かばれないよなぁ。

それに浮かばれないだけじゃなく、“戦争は馬鹿がいるから始まる”みたいな事も持論のようだけど、馬鹿ってのもある意味相対的なもので、絶対馬鹿なんてのはいないんだよねぇ。

作者が考える“聡明な人”だけで国家を作るために地球上から“馬鹿”を抹殺して、一から始めても、その“聡明な人”の集団内でも序列が付く・・・・。また、『馬鹿が・・・』と始まるんだよねぇ。

自然界の 1/f 揺らぎは集団内に、あるスケールに則せば序列をつける。それは遺伝子の多様性の結果であり、生物が生物であり続ける為の必然だ。

頭の良い人だろうに、こんなこともわからないのか・・・・という根本的な違和感もあるのだ。

もっともこの違和感は、偉人と呼ばれる人を“無能”呼ばわりするのは、小説家として大衆の受けを狙ったものとしてみれば自然だから、こんな意図を悟られない為に大層な理屈を展開しているのかもしれないって考えれば、すぐに晴れるんだけどね。

敢えて偏った価値観を展開することで、世の中に議論の場を提供する為、価値観、主義、思想を鮮明にさせる為という事を狙ったのかもしれない。これは重要なことだ。日本人は議論が嫌いみたいだけど、異なる意見をぶつけ合うことが、排他的にならないためにも重要だからね。リチャード・ドーキンスも『悪魔に仕える牧師』『神は妄想である―宗教との決別』でかなり偏好した主義主張を展開している。『神と科学は共存できるか?』のスティーヴン・ジェイ・グールドとの論壇は、かなり面白いし。


まぁ、これらを含めて、凡人の私には作者の心中は何処なのかは知る由もないのだが・・・・。


p.s.
Bicycle20ps3_800この写真は以前、そのインパクトの余り海外の掲示板やブログで貼られまくりそれを見た外人さん達は、あり得ないと一様にビックリしたそうだ。

さもありなん。人間の心から、タブーと世間体と道徳心を取り払えば、価値観なんてこんなもの。多様性、あるんだよなぁ・・・・・。戦争、紛争、テロ・・・おこるよなぁ・・・そりゃ。

当然、私には、何にびっくりしているのか見当も付かない・・・・。治安の良さってありきたりだよね?

| | Comments (0)

バッタと日本人

20090209_grasshopperセロトニンは、発生生物学的に見るとかなり古い神経伝達物質だ。消化管のクロム親和性細胞から分泌されることを見てもうなづけるだろう。生き物に、まだ神経系などという“高級”なシステムが備わる前の“単なる管”だった時期から、生態防御の要として活躍しているんだからね。

間違って毒を食らったとき、それを“嘔吐”しなきゃマズイわけで、クロム親和性細胞は毒の感知器で、その情報の媒体はセロトニンってわけだ。(抗がん剤で吐くのは当然だよね!)

時は数十億年が経過し、セロトニンは中枢神経系でも使われるようになって、動物の行動や精神活動に色々な影響を与えている。

群れるべきか、群れざるべきか?(To Swarm or Not to Swarm?)

Science January 30 2009, Vol.323

サバクバッタ(desert locusts)が行う無害な"単生" ("solitarious")の形態から"群生" ("gregarious")相への劇的な変質は、密集度に依存する表現型可塑性(phenotypic plasticity)の最も奇妙で象徴的な実例の1つであり、経済的に大惨事をもたらす実例の1つでもある。

Ansteyたち(p. 627; Stevensonによる展望記事参照; カバー記事参照)は、個体の行動変化と、この例では集合と集団移動へと至るような、群構造の根底変化とを関係づける神経化学的メカニズムを明らかにした。

表現型変化(phenotypic change)を引き起こす鍵は、どこにでもある神経伝達物質セロトニンであり、この化合物はバッタの個体群密度を測っている複合した知覚信号(sensory cues)に反応して合成される。

セロトニンは相互嫌悪するバッタから相互誘引するバッタへと切り替えるが、これが集団形成に必須の第1段階なのである。

Serotonin Mediates Behavioral Gregarization Underlying Swarm Formation in Desert Locusts
p. 627-630.
ECOLOGY: The Key to Pandora's Box
p. 594-595.


この論文を読むと、バッタはセロトニンが少ないと“一匹狼”みたいな振る舞いをし、集団で行動するようになる為には、セロトニンが必要なんだと・・・・・。

そのセロトニンを作るか作らないかは、個体群密度を測っているセンサーからの信号によっていると・・・・・。


私、バッタが群れを成すというのは、天変地異によって“大量発生”してしまった単なる結果であって、それについて深く考えたこともなかった。これがセロトニンというキーワードで結びつつかなければ、私の中では、なんていうことの無い単なる現象だったのだが・・・・・。生命の根冠をなす伝達物質と結びついたとなると・・・・・。

この論文には、“密集度に依存する表現型可塑性の最も奇妙で象徴的な実例の1つであり、経済的に大惨事をもたらす実例の1つ”として取り上げられている。

コレって要するに、『人口密度が高くなりすぎると、大惨事になる』って事を言っているんだろうか??

だとすると、現代社会の“悪い面”がフムフムと納得のいくところがいくつか思いつく。(現代社会が殺伐として悪い面がクローズアップされるのは、決して、小泉元首相のせいではない・・・・まぁ、今回は小泉さんと政治の話はおいといて・・・・)

暴走族やサッカーのサポーターは、なんだか、バッタの群れに見えてきたワケだ。セロトニン出てるから“群れ”たがり、でもって彼らは“躁状態”なわけだから無茶をやる。うわぁ!!納得ぅ!!

で、最近の子供達は、仲間はずれにされることを極度に恐れるのだとか!?携帯電話を持っていないだけで仲間はずれにされちゃうらしい。そして、仲間内で“繋がっていない”ことが極度の恐怖なのだとか!?一日メールが来ないと不安でたまらなくなるのだそうだ。

セロトニンが出すぎている結果、群れたがる。一時、連絡がつかない(相対的にちょっと減る)と不安になる。・・・・のだろうか?


昔は単行本を小脇に抱えた大学生をよく見かけた。喫茶店で、一人、物静かに読書するのが、私の子供の頃の“大学生”のイメージだった。

『愛と誠』(梶原一騎原作・ながやす巧作画の漫画)に出てくる高原由紀が木に寄りかかって『初恋 (ツルゲーネフ)』(だったのか?)を読んでいる描写に『おおっ!!高校生っていうのは大人だなぁ』なんて小学生か中学生の頃に感心していた。

フォーク・ソングなどにも“孤独を愛する”なんてかっこつけたセリフがあったような・・・・(これはこれで蹴っ飛ばしたいけど)。


一人の時間を作って、考え事をする時間を作って、、、、ってのは、現代の若者の間では“流行らない”のは、要はバッタのセロトニンと同じ・・・・・・。

で、日本の人口減少に歯止めがかからないのは、増えすぎた反動で、若者の気質がこういうものなのは、人口密度、、、っていうか、地方の若者が東京に集まりすぎ、その情報・行動様式(だけ)がマスコミを通じて地方にばら撒かれる・・・・・・。


人間には個体群密度センサーが備わっていて、そこからセロトニンが出ている。

バッタとなんら、変わりがない。


う~~~~~~~む、とんでもなく、

『なんだかなぁ』

な結論に達してしまったぞっ、本日は・・・・・・・・・・・・・。チャンチャン。

| | Comments (0)

DNA メチル化から見た加齢

20090202_antiage歳をとると色々な病気になるんだけど、一口に『歳だからねぇ』といわれて釈然としなかった人も多いだろう。誰しもが自分の経験(観察)から、これを否定する人はいないだろうけど、他人(医療従事者も含め)から言われると“カチン”と来る人などもいるから、微妙な問題なのだが・・・・。


それに、アンチエイジングなど言われている施術などには、かなりの数のまやかしも存在するのだが、その検証のための基本的なエビデンスが得られたので取り上げてみたい。

JAMA Vol. 299 No. 24, June 25, 2008 に掲載された『Intra-individual change over time in DNA methylation with familial clustering.』がそれだ。


遺伝子の塩基配列の違いによるその表現型の違いは、一生の間、変化することは無い。これは、中学校か高校で習うはずだ。で、ちょっと前まで、遺伝子そのものの型(塩基配列)が、その発現される機構をも含め、全てを規定していると考えられていた。

ところが、最近のエピジェネティクスの進歩により、その発現される機構は塩基配列とは関係ない部分によっても規定されるということがわかってきた。これがわかってくる前は、一卵性双生児の“死因”の違いが“科学的”に説明できないでいたのだ。

この論文では、歳をとるといろんな病気になるってことを、DNA のメチル化から説明している。同一の人の DNA を、最大16年の間をおいてメチル化の具合を調べたのだ。さらに特定の家族でメチル化の変化の度合いに格差があることも報告している。


私、常々、感じていたのだが、人間って、成長のスピードにはほとんど個人差は感じられないけど、老化には、かなり個人差があるなぁって。

多分、エピジェネティックな原因がそうさせてるんだろうなぁって思ってたんだけど、すばり、そういうことだったと証明してくれたのが、この論文だ。


だから、みのもんたなどが、安直に『これをすれば誰でもアンチエイジング』なんて言葉を発するのを苦々しく思っていたんだけど、これで、すこしは『ふざけんなよ!』とこき下ろす科学的な根拠が得られたわけだ。

ただ、メチル化の制御を人間がコントロールできるほど、この辺が解明されているのかと言うと、答えは NO だ。どうすれば、“若い”時のメチル化の状態を維持できるのか・・・・・?


う~む、残念!ながら、みのもんたには言いっ放しで逃げられそうである。
 
 
 
話は変わるが、『人生50年』などと言われた時代、その当時の環境やらなんやらが、実際に50年くらいで、現代の人生の終わりくらいの DNA メチル化の状態になっていたとしたら、、、、、

逆に、現代の『人生80余年』が、このメチル化の変化だとしたら、、、、、


私が薬剤師になりたての頃、、、、
フレミングにより抗生物質が発見され、臨床的に使用されるようになった時期と相関して、感染症での死亡が減った。しかし、このデータには、抗生物質が行き届かない農村部や未開の土地に住む地域でも、同様であった。
という話を聞いたことがあった。

その答えとして、医薬品や医学の進歩だけでなく、公衆衛生や労働環境、栄養なども、病気の進展に大きな影響があるのだというものが用意されていた。

今なら、DNA methylation が、その理由の一つに加わるんだろうなぁ。


そのうち、血圧下げたり、コレステロール下げたり、、、ってことやらないで、DNA メチル化の状態を維持・修飾することが、治療のメインになったりしてね・・・・。

| | Comments (0)

ニコチン蓄積の仕組み解明 禁煙用たばこも可能?

20090121_amount_of_tar『吸った気分はそのままに、ニコチン中毒からの脱却を・・・・・』。。。。。

ニコチンが葉に蓄積される仕組みを解明し、『植物を使って抗がん剤などを効率良くつくる手法が期待できそうだ』まで言及しているのに、どうして、あと一歩踏み込まないんだろう??

《ニコチン以外の有機化合物を運ばせるのも可能とみられ、、、、、》なら、α4β2ニコチン受容体作動薬(アゴニスト)を産生させ、葉に蓄積させれば、“チャンピックス”みたいなタバコも作れるだろうに。。。。(肺胞からの吸収を解決しなきゃならないけど)

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2009年1月20日】


 タバコの根で合成されたニコチンが葉に運ばれて蓄積される仕組みを、京都大の矢崎一史(やざき・かずふみ)教授らのチームが解明し、20日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。

 ニコチンは導管を流れる水と一緒に根から葉に向けて移動。NtJATというタンパク質がニコチンを取り込み、葉の細胞内にある液胞という袋にため込んでいた。

 この働きを邪魔すれば、ニコチンを含まない品種のタバコが開発できそう。矢崎教授は「吸った気分はそのままに、ニコチン中毒からの脱却を助ける禁煙用たばこができるかもしれない」と、話している。

 チームは、タバコの葉で活性化している遺伝子を調べ、このタンパク質を見つけた。

 ニコチン以外の有機化合物を運ばせるのも可能とみられ、矢崎教授は「植物を使って抗がん剤などを効率良くつくる手法が期待できそうだ」としている。


とあるサイトでこんな事を書いてあった。

---禁煙したのにタバコについてあれこれ言うのは・・・---

---別れた彼女に『今の彼とうまくいってんのか』と聞くようなもんだ---


絶句した。ガ━━(゚Д゚;)━━━ン!!!!!

禁煙して、早、6年。仕事絡みとはいえ、未だに禁煙・喫煙をネタにこんなこと書いてる俺は、別れた彼女に『今の彼とうまくいってんのか』と聞くようなヤツだと思われてんのかぁ????

      ウー c(`Д´c)

まぁ、それはさて置き、昨年末、中学・高校の同級生と忘年会をやった。(毎年やっているんだけど、ここだけでしか逢わないやつもいる)

タバコを吸わないのは私を含めて2~3名なのだが、一人、面白いヤツがいて、そいつは普段はタバコを吸わないのだが、でも、お酒の席では吸うと。

『普段、仕事中とか吸いたくなんねぇの?』と聞くと、、、、
『いや、ぜんぜんならねぇよ』と。

それで思い出したんだけど、後輩にも同じヤツがいる。山形に住んでいるそいつも、同じように飲んだ時だけしか吸わないらしい。酒を飲んでない時は、気にもならない・・・と。


私、自分で禁煙のプロセスを分析するにつけ、自分はニコチン中毒ではなかったと思っている。ニコチン補助剤は一切使わずに済んで、あっさり止められたからだ。

もしかしたら、エタノールの分解酵素と同じで、脳内のニコチン性アセチルコリン受容体の数の制御に関連する遺伝子には、かなりの多型があるんじゃないのかと、ひそかに思ったりしている。

それに、民族的な偏りもあるのかも。。。。

お酒(アルコール)の代謝能力には純然たる民族的な偏りがある。

それと似たような偏りがあるとすれば、、、、、、


日本人では、アルコール中毒(依存症)になっていなくとも、飲酒する人は多い。しかし、アルコール中毒ではなくとも、お酒を飲まないとするのは難しい。

こんな事を言い出すと、お酒は習慣(しゅうかん)であったりお付き合いの慣習(かんしゅう)であったりするが、タバコは断じて違う!医療人としての認識が甘い!とお叱りを受けそうだが・・・・

同様に、タバコもニコチン中毒でなくても吸っている人は多いのでは??って思うのだ。

お酒と同様、ただ、なんとなく吸っていて、それをやめられない・・・・。

そういうと、『お酒の効用に似ているって言いたいのか?』と言われそうだが、“昔の彼女”云々ってフレーズから、かつての彼女とのデートのシーンを思い出すと、『お酒の効用に似ている』って思わざるを得ないのだ。


私だけかどうか、わからないが、、、、


彼女と二人きりになって間が持たないって時に、例えは、二人でお酒を飲みに行ったり、喫茶店でお茶したり、あるいは車でドライブしている時などに、タバコに火をつけて、、、ってのには、結構、助けられた。

私は、ニコチン性アセチルコリン受容体の数が少ないタイプなのかもしれない。

基本的に周りに気を配らないタイプだし、人付き合いが好きな方ではない。

しかし好きになった彼女とのデートで、そんな風に思われて“恋も冷めちゃう”なんて事態には陥りたくは無いから、“本能的”にタバコってアイテムを使って“装っていた”のかも。

タバコを吸っていれば、無言でもカッコイイし・・・・なんて。


それが、あながち間違いではないとしたら、日本人の喫煙者の中には、ニコチン中毒じゃない人も多分に含まれる?

民族的に差があるとして、依存症に効くのがチャンピックスならば、日本でのその効果は・・・・?

とすればα4β2ニコチン受容体作動薬入りのタバコなんて、意味無い・・・・・・のか?

| | Comments (0)

ニコチン依存症と自閉症に同一蛋白質が関与

20090119_smoking自分の周りに関心が無い事を“自閉症”の特徴(だから周りとコミュニケーションする言葉を覚えない)とすれば、その対極が、ニコチン依存症・・・・・。

なんか、色々と想像しちゃうよね。

お仕事ブログと同じ書き出しで、こっちで“藪睨み”を利かせる事にする・・・・・。

最初に断っておきますが、私は自閉症に対するネガティブな印象は持ってません。また、偏見もありません。。。。が、ネタにすること自体が気に障る方がいらっしゃるかもしれません。そんな方は、以降を読まない事を願います。

〔米オハイオ州クリーブランド〕オハイオ州立大学(OSU、コロンバス)薬理学科のRene Anand准教授らは、2種類の脳内蛋白質がニコチン依存症と自閉症に関連しているという知見から、ニコチン依存症の緩和に有効な薬剤が自閉症患者にも役立つ可能性が示唆されたとワシントンで開催された米国神経科学会(SfN)の年次集会で報告した。


■コリン作動薬の使用が可能か

 研究主任のAnand准教授は「ニコチン依存症と自閉症の双方にβニューレキシン-1蛋白質が関与しているが、同蛋白質は特定のニコチン性アセチルコリン受容体をシナプスへと誘導してニューロン間と全身への信号伝達を助ける役割を果たしていることがわかった」と報告した。

 同准教授は「過去の研究から、自閉症患者では脳内のニコチン性アセチルコリン受容体が不足しているが、ニコチン依存症患者ではこの受容体が過剰に発現していることが示されている」と説明。「今回の結果から、ヒトの発達過程の初期にニコチン様物質を使用すれば、これに関係する脳回路の適切な発達が助けられ、自閉症に伴う異常を大幅に軽減することが可能ではないかと推測される」としている。

 この方法では自閉症の完全治癒には至らないが、同准教授によれば、現時点では自閉症の根本原因に対処する薬剤が全く存在していないため、ある程度の助けにはなるとしている。

 同准教授らは、コリン作動薬の使用を検討しており、同薬を小児向けに改変すれば自閉症児の脳内βニューレキシン-1蛋白質の濃度を増加させることが可能ではないかと見ている。

 同准教授は「ニューレキシン濃度が上昇すると、ニコチン性アセチルコリン受容体が増加するだけでなく、シナプスの正常な形成と成熟に重要なその他の蛋白質も増加する。自閉症患者と喫煙者には逆の問題が存在しているようだ。つまり自閉症患者では同受容体が欠如しており、そのためにニューレキシン濃度が低下しているようだ」と指摘している。

 さらに「ニューレキシンによる神経細胞内のニコチン性アセチルコリン受容体の誘導を変化させる薬剤をたばこ依存の抑制に使用することが可能かもしれない。今回の知見は自閉症だけでなく、ニコチン依存症においても有意義なものとなった」と述べている。

 今回の研究はOSU、ルイジアナ州立大学(LSU、ルイジアナ州バトンルージュ)、ペンシルベニア大学(ペンシルベニア州フィラデルフィア)と共同で行われた。


さて、ニコチン性アセチルコリン受容体が少ないと、周囲への関心が薄れるとすれば、これが多ければ、周囲への関心は高まる・・・・・・。

周囲への関心は高まる・・・・この言葉で思いつくのが、まず、回りに対する“気配り”。


自閉症やアスペルガー症候群の特徴は、周りに関心が無いこと・・・・、男の脳の特徴を際立たせたもの・・・・・なんて講釈を垂れているサイトも見かける。私も大いに納得するところがある。

女性の自閉症やアスペルガー症候群は男に比べて少ない。。。。

軽い自閉症やアスペルガー症候群では、天才を輩出することが多い。内に篭って研究に没頭するからかも。似たような理屈で、“おたく”は圧倒的に男が多い。


女性は周りに対する“気配り”にかけては、男性より秀でている事に異論のある人はいないだろう。

---じゃ、女性の方がニコチン依存症になりやすい??

ニコチン依存症に“なる or ならない”を単純にニコチン性アセチルコリン受容体の多寡に求めることは意味は無い。喫煙という行為は、文化的側面が多分にあるからだ。古では『おんなこどもには勿体無い』とか・・・・・。最近では美容面から・・・・・。


そこから導き出されるのが、男社会において、良好なコミュニケーションを取るために、喫煙の習慣が始まった・・・・・・。

ニコチン性アセチルコリン受容体が少ないために、周りに無関心な状態が現れる・・・その状態から関心を持つ状態へ変化させる為に、コリン作動薬の使用が有効ならば、男のコミュニケーション能力の向上のために、タバコは有用だった・・・・・。


まぁ、周りに関心があることが“良い事”なのかどうか?の判断は難しいだろうけど。

関心がありすぎれば、可干渉、あるいは他部族との争い・・・・今の言葉では“戦争”。。。

関心がなさ過ぎれば、そもそも、集団での生活が不可能・・・・。極端な例に偏らせると、人類は地球上で生きていけないから、こんな想定はナンセンス。


程々に周りに気配りするために、程々の喫煙。


喫煙していた頃は、喫煙エリアでの一服が、仕事仲間との“良い”コミュニケーションの時間だった・・・・・・。

喫煙の効能?をこんな風に言う人がいる。

核心を突いているのかも!?(ニコチンを含んだ植物が地球上に存在する事が、他の生物の機能の足りない部分を補完するって事で)


ところで、先ほど喫煙を『文化的側面がある』などと書いたが、タバコ規制枠組み条約(FCTC)が発効されたことを受け、医療関係者の中には、『・・・・タバコを嗜好品と誤認したり、依存を習慣と混同する社会通念も依然根強く・・・・』なんて認識の人が増えている(らしい)。

私なんぞは、こんな“喫煙擁護”っぽい事を書いてるんだから、ぶっ飛ばされそうである。


どちらにしても、何かを“悪者”にして“排除”すれば、問題解決するっていう短絡的な考えは、私には馴染まないんだよねぇ・・・・。前エントリーの『軍人=悪』みたいな表現も含めてね。(でも、日本人は好きなのかも。こういうの。水戸黄門とか好きだしね)

それに、最近の世の中、なんだかギスギスしている。喫煙率の低下と反比例しているような気がするんだけど、誰か、統計とってないかなぁ・・・・・。

| | Comments (0)

体験から学ぶ

20090117_michelangeloNature vol.457 (7227), (Jan 2009) に面白い論文が掲載されている。

『ある出来事に遭遇した場合の脳の適応能力が、以前に似た体験をしているとよくなることは誰もが知っているが、、、、』って事の仕組みがわかりかけてるよ!って内容なのだが。。。。

これって“適応能力”を“反応”って言葉に変えれば、巷で流行っている言葉“トラウマ”も説明出来そうだよね?!

片方は人間にとって好ましいもの、片や、人間にとっては好ましくないものだ。

結局、自然現象(人間の行動をマクロな視点で観察した場合も含めて)を、自分に都合の良いものだけ選別するって、非常に難しいってことの証明のように感じたんだけど。。。

脳:体験から学ぶ

Nature vol.457 (7227), (Jan 2009)

ある出来事に遭遇した場合の脳の適応能力が、以前に似た体験をしているとよくなることは誰もが知っているが、最初の体験が神経回路の中でどのように表現されるのか、またそれが再学習にどう寄与するのかは、よくわかっていない。

マウスの一方の眼を一時的に閉じるというモデルは、こうした問題を研究できる系の1つである。

新しい体験(片眼視)は、視覚皮質にある神経細胞の樹状突起棘の成長を促す。

Hoferたちは、片眼視と両眼視の時期を交互に導入して、その後の神経細胞の形態を数日間追跡し、体験によって起こる構造的変化動態を記録した。

その結果、長く持続する樹状突起棘の密度が片眼遮断に応答して増加し、体験終了後も突起棘は増えたままになることがわかった。

しかし、2回目の遮断では、さらなる棘密度増加が引き起こされなかった。

したがって、最初の体験が構造に「痕跡」を残し、それがさらなる刺激に応じて使われると考えられる。

Letters to Nature p.313


お正月休みの最終日、ぶらりと出かけた本屋さんで『坂の上の雲』を見つけた。今年の年末から3年にわたって放送されるNHKの“超大作”ドラマの原作なのだそうだ。

私は、ほとんどテレビを見ないのだが、海外のドラマは良く見ている。『24』『プリズンブレイク』『ヒーローズ』『CSI』などなど。つい先日は『ローマ』を見終わったところだ。

だから、“超大作”ドラマって言葉には弱い。というわけで、ドラマを楽しむための下準備として原作を読んどきましょ!って、買ってみたのだ。


出だしから快調に面白いのだが、第2巻に入って、ちょっと“心にもやもやする感じ”が沸いてきてしまった。

具体的には、日清戦争前、伊藤博文が派兵“一旅団”を承認したあたりからだ。小説では軍部の参謀が“一旅団”の人数をごまかす事が、“悪い”事として描いている。(著者の持論なのだろうが、戦争を賛美する感情を減衰させる効果狙ったにせよ、読み物的にもちょっと五月蝿い感じがした)

私は“いち小説家”の価値観をどうのこうのと言うつもりは全くない。面白い小説を世に送り出すのが、作家の仕事なんだから。けれど、この考え方を“正当”と捉えてしまう“単純な読者”がいるであろうことは、人気作家なれば配慮してほいしところだ・・・(小説ごとに、とちらかに偏らせた作品を書き、後は読者の判断に任せるって事で。でも、もしかしたら、殆どの小説家が作品に持論を展開しない中で、この作者の作風が人気の秘密なのかも知れんが)。


そういう描写は、言葉にはなっていないが、私が感じるところ『文民は軍事作戦にも口を出すのが当たり前』ってことになると思う。

要するに、この辺の価値観が、例えば、田母神論文を『シビリアンコントロールを揺るがす行為だ』とかなんとか言ってる根拠になっているのでは?

シビリアンコントロールって、ただ一点、問題解決に武力を使うかどうかの決定権の事なんじゃないの?ならば、日本じゃ“やる・やらない”を軍人が決定するわけじゃないんだから、シビリアンコントロールは揺らいじゃいない。


企業に例えれば、そのプロジェクトを進めるかどうかの判断は“社長”“役員会”がするけど、具体的な“開発や戦略”は現場の研究者や技術者に任せるのが当然だよね。

やるって決めた後、シロウト“社長や役員”が口を出しても良い結果なんて出るわきゃない。

その前に、『やるかやらないか』を“さんざん議論して”て決めるんだから、口を出すって事は、その判断に自信が無い証拠になっちゃうってもんだ。


ましてや、外交。お互い、手の内を晒しながらやりあうなんて事はしない。

武力を行使する前までに、考えうる限りのオプションを展開する。最後が武力だ。そうなれば、勝つ事が目的になる。

武力を小出しにして威嚇することを、文民のコントロールなんて言うようでは、北朝鮮のやり方を肯定するようなもんじゃないの?伊藤博文が『派兵について小数ならOKだけど、それじゃ数が多すぎる』って描いていることが事実だとしたら、ちょっとマズイんじゃないのかなぁ。陸・海軍大臣は議会に縛られるけど、参謀は天皇の直属だから・・・なんてどうでもいいけど、トップが最終的に判断したら、後は専門家に任せろってぇ~の。


そんなこんなで、具体的なもやもやなんだけど、、、日本では研究者や技術者が正当に評価されない事が、トップや周辺のシロウトがいつでも口を出せる仕組みを“善し”としていることにあるんじゃないのかと。。。

ここに繋がるから、ちょっと“心にもやもやする感じ”なのだ。彼らに潜在的に存在する“専門家(スペシャリスト)”を軽んじる風潮、総合職(ジェネラリスト)が、一段上で仕事をしているっていう認識、、、、


突発的に生じたテロへの対応に、大統領自らがF16戦闘機からのミサイル発射の指示を出すシーンなどが『24』では描かれている。こんな場合には、一発のミサイルが、その後、どのような展開を招くのかわからないから、いちいち、大統領の判断が必要だろう。

しかし、例えば、日本では中東に於ける後方支援を行うことに決定するまでには、十分、議論を重ねることが出来るはずだ。遊びに行く場所じゃない。命の危険がある場所に行くのだ。後方支援はやるけれど、銃弾は使っちゃダメってのは、シロウトが研究に口を出すのと同じなんじゃないの??

銃弾を一切使わせないためには、『行っちゃダメ』にしなきゃならない。

行かせるんなら、『責任は俺が取るから、現場での指揮は任せた』ってやらなきゃ。


せめてもの救いは、年末の“朝まで生テレビ”、田母神論文反対派が論陣をはったのだが、電話アンケートでは6割を超える人が田母神論文に賛成だと。(ヤッパ生がいいよねぇ・・・・、あっ?ちょっとエッチ??)

さらに言うなら、大衆は、なんとなく知っているのだ。ナショナリズムなんて言葉を使って、戦争の是非を問おうとする事への違和感を。

そうなのだ。集団には、色々な個性を持った個体が存在する。全体の利益となる協調行動への参加者より、利益だけを受け取る不参加者の方が得になる時に、何故ある種の協調的行動が持続するのかと言うことを。

残念なのは、著者が人が生物として繁栄するためには(価値観においても)多様性が生まれることが必須で、国の為に犠牲になるという行為が、悪意の満ちた洗脳集団(暴走した軍部)による結果ではなく、生物の“集団としての本能”だということを知らなかったことだ。

下記の引用論文にもあるように、このような行動原理は、まだ、解明できたわけではない。だけど、解明できてなくても、人間はなんとなく感じるのだろう。うまく言葉に出来ないことでもね。

戦争への突入などという、ある種、集団ヒステリーのような心理状態を、どう説明して良いのかわからなかった時、ナショナリズムと言う言葉で切れ味良く説明されれば、溜飲を下げてしまうのも無理は無いのだが・・・・・・。

逆説的な生産者(Paradoxical Producers)

Science January 9 2009, Vol.323

全体の利益となる協調行動への参加者より、利益だけを受け取る不参加者の方が得になる時に、何故ある種の協調的行動が持続するのかは不明である。

合成細菌系(生産系と非生産系の二つの大腸菌系統)の研究から、Chuangたち(p.272)は、集団中の構造的不均一により生産者が局所的に不利益をこうむる可能性があるが、全集団を通して見れば生産者は選択優位性を持つということを主張している。

この研究は、自然母集団のパラメーターがどのようにもつれ合っているのか、そして何ゆえに統計的な結果が曖昧となったり、誤解を導くのかを示している。

Simpson's Paradox in a Synthetic Microbial System
p. 272-275.


生物としての人間の環境(エコロジーの事じゃないよ)への対応は、大脳皮質で考えているようだけど、極限に置かれた時に、名案!と膝を打つような対応は、見方を変えれば、“悪”と評されるのと表裏一体なのは仕方の無いことだ。

人間は、善と悪のそれぞれに、別々の神経回路を使っているわけじゃないんだからね。
 
 
 
さて、“心にもやもやする感じ”はあるものの、『坂の上の雲』は非常に面白い。今まで、司馬遼太郎氏の小説は読んだことが無かったので、この“淡々”とした描写が新鮮だし。

また、機会があれば、べつの作品も読んでみたいぞっ。

| | Comments (0)

PML-RAR と p21 の接点

20090106_mandelbrot哺乳類の造血幹細胞は、その一生の間に行う複製の回数がおよそ80~200回くらいに限られているのに対し、白血病幹細胞は、ほとんど無限の自己複製能を維持しているようにみえる。

それを実現しているのが、p21 だったと、Nature vol.457 (7225), (Jan 2009) に投稿されていた。

APL すなわち急性前骨髄球性白血病では、染色体転座t(15;17)の結果、PML-RAR という“非生理的”な分化を担う受容体が形成される。生理的な分化を担う RAR に PML がくっ付くことで、どうして“がん化”するのか知りたい人は、まめ知識 No:465【細胞機能のエピジェネティックな制御】あたりを参照

この PML-RAR が p21 の発現レベルを上昇させることが、白血病の幹細胞が無限に分裂できることを支えているというのだ。
  ・
  ・
  ・
  ・
  ・
はっきりいって、青天の霹靂だ。最近では、生命現象ってのは整然となんかしてなくって、まるっきり混沌だと認識するようになったから、ちょっとのことじゃ驚かないんだけど・・・、これは、私の中での p21 の働きが、まるっきり“逆”っていうか、、、いや、逆じゃなくって、その結果が、私がイメージしてきたところの“逆”であって・・・・・(p53 の立場は。。。)。

細胞:がん幹細胞の自己複製

Nature vol.457 (7225), (Jan 2009)

哺乳類の造血幹細胞は、その一生の間に行う複製の回数がおよそ80〜200回くらいに限られているのに対し、白血病幹細胞は、ほとんど無限の自己複製能を維持しているようにみえる。

この大きな違いがどこから生じるのかを解明する手がかりが得られた。

白血病幹細胞の自己複製に、細胞周期阻害因子であるp21が必要であることが発見されたのである。

PML-RARがん遺伝子は、急性前骨髄球性白血病の患者のほとんどで活性化されている。

マウスモデルを使った実験で、造血幹細胞でのPML-RARの発現がp21の発現レベルを上昇させ、それが細胞周期の停止やDNA修復につながることが示された。

このことにより、静止期の白血病幹細胞のプールが維持されて、過剰な増殖による枯渇が防がれる。

p21が存在しないと、白血病関連がん遺伝子による白血病誘発開始や維持が起こらなくなる。

この研究は、p21が、静止期のがん幹細胞の根絶に基づく抗がん治療の標的候補であることを明らかにしたものだ。


Articles p.51


p21 が機能すれば、CDK が抑制される。CDK が抑制されれば、Rb はリン酸化されない。Rb がリン酸化されなきゃ、E2F が遊離されない。だから、S期に必要な遺伝子群の転写が開始されない。

ってことで、p21 は私の中では“がん抑制”、簡単に言えば“正義の味方”のイメージだったんだけど、同じ仕組みで、白血病の(幹細胞の)維持を支えていたなんて。。。

正義の味方が、実は、裏で悪いこともやっていた・・・・・・。でも、人の世を見ても、絶対の正義なんてものは存在しなくて、すべて二面性を持っていることを考えれば、当然のことなのかもしれないけど。


しかし、視点を変えれば、がん化=不死(不老かどうかは私にはわからない)なわけで、都合の良い“不死”は歓迎されて、都合の悪い“不死”は忌避される。


ということは、そもそも、言葉の定義の問題なわけだ。


固形癌と血液のがんを十把一絡げで取り扱うから、イメージが先行しちゃう。がんを十把一絡げで取り扱う時代は、終わったのだろう。

p21 をターゲットにしたら(この APL の場合は抑制するんだろう)別の癌にとっては住み心地の良い世界を提供することになりそうだから、“がん”と名の付く病気は別の名前にして末尾に“がん”と付けないようにすることから、始まるのかもしれない。

そういう意識改革を、この論文は迫っているのかも。今年を占うのに最適?!(かなり藪睨みだなっ!)


地球を一人の人間になぞらえれば、あっちを立てればこっちが立たず。イスラエルをなだめすかしても、ハマスが武装を維持している間は、こっちだって・・・・・。人間が“がん”って呼んでる状態だって、白黒はっきりしない。

なんか、マンデルブロ集合のフラクタル図形を見ているみたいだよね。自然現象ってそういうものなのかも。

| | Comments (0)

倫理観って何だろう?

20081224_moral『テレビゲームは高齢者の知力を高める可能性』

こういう臨床試験の結果がニュースになるって事からして、“テレビゲーム”ってのが偏見に満ちた目で見られている証拠だ。(別な意図を感じるが、それは後ほど)

ゲームをする道具が何であれ“戦略的なゲーム”ならば、同様の結果が得られるだろうに!テレビゲームに限らず。逆に言えば“テレビゲーム擁護派”にとっては、ゲームの内容も問わず『ほら見ろ』って根拠にされかねない。戦略的なゲームだとしても、攻略本などを読んでゲームすれば、それは、ゲームをクリアすることだけが目的になってしまって、副次的な“知力を高める”効果なんて望めない。。。。そんなことはチト考えればわかることだ。

“戦略的なゲーム”の対照に“シューティングケーム”を選ぶのもいいけど、“戦略的なテレビゲーム”と“戦略的なカードゲームやボードゲーム”、そして、“戦略的なテレビゲーム”を攻略本を与える群と与えない群。そんなところまで踏み込んで“テレビゲーム”と“知力を高める可能性”を考察してもらいたいもんだ。

テレビゲームは高齢者の知力を高める可能性

提供:WebMD

高齢者はストラテジーゲーム「ライズ・オブ・ネイション」で遊ぶことによって記憶力、推理力が向上するとの研究

Miranda Hitti


【12月12日】高齢者はストラテジーゲームで遊ぶことによって記憶、推理などの「実行」という知的機能が改善する可能性がある。

新規研究による同知見は『Psychology and Aging』に発表されている。

この研究では、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(University of Illinois at Urbana-Champaign)の近隣に住む健康な高齢者(平均年齢69-70歳)39名を対象とした。研究開始時点では、被験者の中にテレビゲームをする人はいなかった。

まず、被験者に種々の知的機能検査を行った。次いで、被験者を2群に分けた。

次の2カ月間にわたり、1群の被験者はライズ・オブ・ネイション(Rise of Nations)というストラテジーゲームを15セッション行った(各セッションは90分間継続)。比較のため、他群の被験者はテレビゲームを行わなかった。

ライズ・オブ・ネイションでは、各プレーヤーはひとつの国を選び、より多くの領土を獲得し、都市を築き、都市の中に「ワンダー」(という特殊建築物)を築き、インフラを管理し、敵から防御し、外交交渉や諜報活動などを行う。地政学的に策を練り、同時に複数の作業をこなしつつ、狡猾さと虚勢を併せ持つ必要がある--『マキャベリ』と『ナポレオン』が合わさった内容となっている。

「商人が必要である。自国を守るために軍隊を必要とし、教育と食物にある程度の資源を費やしていることを確認しなければならない」と研究を行ったChandramallika Basak, PhDはニュースリリースで述べている。「このゲームは資源の管理と運用の計画性を重視している。多くの高齢者は独力で自分の資源を計画および管理しているので、このことは高齢者にとって重要であると思う。


テレビゲームの効果

この実験の終了時点で、被験者全員に再度、知的機能検査を実施した。

テレビゲームをしなかった人たちに比べて、ライズ・オブ・ネイションを行った人たちでは、作業記憶、短期記憶、推理、タスク切替能力に大きな改善が認められた。

比較群がゲームに参加しないのではなく他種のテレビゲームで遊んだ場合に結果が違ったかどうかわからない、と同研究者らは記している。

同研究者らはライズ・オブ・ネイションの製造元との関係はないと報告している。この研究は米国立老化研究所(National Institute on Aging)の助成金による援助を受けている。

video-game-may-sharpen-older-minds

(C)2008 WebMD Inc. All rights reserved.


でもって、脳を活性化するって状況、すなわち、戦略的なテレビゲームをする最中に、その効果を最大限に出来る可能性のある薬物の投与を試してみるってのはどうだろう??

それこそ、脆弱な倫理観なんてぶっ飛ぶかもしれないよね。


「脳を増強する薬」合法化を主張する『Nature』論説』っていう記事が、今、しずかな注目を集めている(のか?)。

生命倫理観っていうんだろうか?そういうものに対する感覚は、一般の方より“残酷で冷酷”な方向に振れているって、私は自分のことを分析しているけれど、この記事をちょこっと読んだときには、その科学者達の行為や大学教授達の思考ロジックには、ついていけなかった。

読んでいて、非常に違和感を感じたのだ。

一部、引用すると・・・・

Nature誌の論説は、これらの批判に次のように反論している。まず、脳の働きを高める薬が不正とみなされるのは、規則で禁止されているからであり、そもそも禁止する必要はないという。こうした薬が自然に反するという指摘については、そうであるなら医学や教育、住居も自然のものとは言えないと主張する。

この主張はさまざまな意味で説得力がある。自然に反するという理由で、殺菌された牛乳や歯科麻酔、セントラル・ヒーティングを否定する人はいない。また、脳が変化した場合、その原因が薬、教育、健康的な食事のどれにあるとしても、神経生物学のレベルではどの変化も同じであり、これらを道徳的に区別するのは恣意的といえる。


しかし、ゆっくりと思考をめぐらせば、ゲームの効果のアジュバントとして高齢者に投与するんなら、なんら問題ないんじゃないの??って

人間にとって『規則で禁止されている』事って、みんなで破れば怖くなくなる。ってゆーか、本能だ。


人間が法律を作ったのは、古代ギリシャやローマ帝国の歴史をみても明らかなように、集団で生活する上で必要に迫られたからだ。人間、みな価値観が違う。そんな人達が集まって集団としての利益を最大限にする為には、ルールが必要だった。

そのルールを守るのが“倫理観”だろう。

現代社会で“倫理観”“モラル”の低下が叫ばれて久しいが、逆に言えば、ルールを作る人達が本来の目的を逸脱してルールを作ることが目的化してしまい、必要のないルールが多すぎるからなのかもしれない。

『赤信号、皆で渡れば怖くない』ってのは、赤信号で渡れば車に轢き殺されるんだから、これを根拠に信号無視して渡るのは、ただのバカだけど、『赤信号をなら渡らない事がモラル』なんて理由にすれば、破りたくもなるってもんだ。

ローマの時代は成文化された法律は少なかった。当たり前だけど。だから、人は成文化されてないことは“常識”に従った。殺されるのを喜ぶ人はいないんだから、モラルでもなんでもない。

現代人は、『良かれ』と思ってやったことだろうけど、事細かに取り決めごとを成文化した。それが仇になって、『じゃ、法律に書いてなければ、なにやってもいいじゃん』ってなってしまったのだろう。

赤信号で渡ることは、『モラルじゃなくって死ぬからだ』って現実を突きつけてやった方が、人のためになると思うんだけど・・・。それくらい、自分で考えろって!


同様に、高齢者は先が短い・・・これが現実だ。これを突きつけないでいるから、世の中、話が拗れてくる。

薬を使わないって、法律で決めるんじゃなくって、まさにメリットとデメリットを秤にかけて、デメリットが大きければ使わない、メリットが大きければ使うでいいんじゃないのか?

高齢者は残りが短いんだから、その間、脳機能が高く保てれば、最良ではないのか?高齢者に先が短いことを告げることが、何故、社会的な悪とされちゃったんだ?

為政者やマスコミは一般庶民に考える機会を与えないから、どんどん庶民はバカになる。自分で考えさせれば、すなわち、脳を使えば知力が高まるって、研究者達は訴えているのに、事実を、そういう意図通りには伝えない。

それでいて、バカを救うのは、バカの味方は、弱者の味方は、我々だ!、、、、ってやる。

その良い例が、『脳を使えば、知力が高まる』って当たり前の事を、さも、特別なことのように報道する姿勢だ。(先に書いた意図的な報道)


ルール違反に見合う罰則がないならば、ルールは破られる方向に向かうのが、人間の性だ。

ルール違反は伝染しやすい(Contagious Rule-Breaking)

Science December 12 2008, Vol.322

他人があからさまに社会規範(ルール)に反するのを見ると、“皆がやっているのになぜ自分だけ”と思い、その人もたやすくそのルールを破るであろう。

では、他人があるルールを破った場合、人は他のルールあるいは法律さえも破る可能性が高くなるのであろうか?

Keizerたち(p.1681, 11月20日のオンライン出版参照)は、6つのフィールド実験をオランダのGroningenで行った。

その実験では、被験者はごみの投棄、落書き、禁止されている場所での花火など社会的違反行為を見たり聞いたりした後、他のルールを守るか違反するかを選ばなければならない。

ルール違反の痕跡がある場所では、ルールを破りたい気持ちが高まることが実証され、落書きを見ることでごみの投げ捨て、窃盗が倍増した。

The Spreading of Disorder
p. 1681-1685.


モラルの崩壊は、人間に内包するものなのだ。

ルールを守らせたいなら、秤にかけたメリットとデメリットを“考えさせなければ”ならない。

くどいけど、赤信号で横断歩道を渡れば“死”が待っている。死にたくなきゃ、赤信号で渡らない事だと。現代の風潮は、赤信号で轢き殺されても車の運転手を悪者にする。これじゃ、ダメなんだよね。

偽善に満ちたマスコミの垂れ流すバランス感覚に毒されたバカな庶民の目から鱗を落とす、、これが、WebMaster's impressions の存在意義・・・・なんちゃって!

ここへのエントリーは、これが今年最後かもしれない。また最後に、かなりの“藪睨み”を利かせてしまったかも知れないけど、まぁ、これが私の個性ってことで。

(p.s. 最後とかいっときながら、また、書くかもしれないけど・・・ワハハハハ)

| | Comments (0)

インベーダーって何?

20081210_polymorphism『インベーダー』って聞くと、ドッ・・ドッ・・ドッ・・ドッ・・・、キューンキューン、フニュフニュフニュフニュフニュフニュ・・・・・、『やったぜ!UFO 300点』・・・・・・って熱くなるのは、アラフォーの世代かなぁ!?

私の場合は、高校1年の時に大ブレークでした。名古屋打ちをマスターしたつもりの私でも、最後の一匹には泣かされ、喫茶店で粘ること1時間・・・・・・散財しまくって、、、って話ではなくって。


大方の予想通り、個の医療は薬物治療における副作用防止から始まった・・・って話。

その遺伝子多型の診断薬の名前が、、、なななんと、『インベーダー』なのだ。正式な名前は「インベーダー(R)UGT1A1 アッセイ」だ。2008年11月1日付で保険適用(保険点数2000点)となった。

この手の商品は、これからバンバン出てくると思われるが、個の医療としての遺伝子治療は、まだまだ、当分、先の話だろう。

しかし、診断キット、製品としては、2005年にアメリカで使用開始されている。なのに、何故、日本での導入が遅れたのか??

この診断薬で治療するわけじゃないんだから、副作用もへったくれもないのに??

あっ、その前に、何を調べる診断薬なのかを説明しておこう。

“イリノテカン”って抗がん剤は、いろんながんに使われているんだけど、その代謝(解毒)酵素、すなわち、UDPグルクロン酸転移酵素(UGT1A1)の遺伝子には多型が存在する為、同じ量を投与しても“イリノテカンの効き方”が違うっていう現象に、臨床医たちは悩まされていた。効かなくてもマズイけど、効きすぎれば“致命的”だからだ。

この“インベーダー”は、UDP グルクロン酸転移酵素(Uridine diphosphate glucuronosyltransferase,UGT)の分子種の1つであるUGT1A1 遺伝子多型のうち、抗がん剤「塩酸イリノテカン」の代謝に関与すると報告されているUGT1A1*28 とUGT1A1*6 を判定するのだ。ちなみに、遺伝型*28と*6を持つ患者は代謝活性が低く、“イリノテカン”の作用が強く出てしまうタイプだ。

で、この多型を調べる方法を“インベーダー法”と呼ぶ。

ちなみに、グルクロン酸転移酵素 (UDP-glucuronosyltransferase : UGT) は、薬物、異物あるいは内在性物質であるビリルビン、ステロイドホルモン、胆汁酸などにグルクロン酸を付加する反応を触媒する酵素で、べつに特別なもんじゃない。


閑話休題。厚生労働省は、何故、保険適用を渋ったのか????

いろいろと考えてみたけれど、メリットしか考えられないので、意味不明だ。『個人の遺伝子を調べる事』を利用した医療が日本で初めてなので、もし、万が一、想定外の事が起きたら、新聞・マスコミの格好の餌食になるからビビったのか??

そう言えば、BTJ 11月号に、『東大医科研論文捏造報道はフェアだったのか?』と題して、朝日新聞の姿勢を問う文章が掲載されている。朝日新聞に事実誤認があっただけでなく、事件そのものの“悪質性”などを考慮すれば、取るに足らない事なのに、相手が“天下の東大”だということだけで、記事のボリュームは常識を欠いていたと。(アメリカじゃトリビューン社が潰れたっていうし、そろそろ、朝日も危ないかな!こんな三流週刊誌並みの記事を書いてるようじゃね)

こんなことされりゃ、厚生労働省もビビるわなぁ。なにしろ、日本で初めての事をするわけだからねぇ。

というわけで、最初の一歩は誰しもが踏み出したくないっていう、日本人の特質からくるものだったのだろうか??

それとも、単に“保険適用”しなかったのは、保険の財源の問題??

何にしても、投与する前から、副作用の発現がある程度予測できるのには越したことは無い。正式な手順を踏んで取得した医薬品を使っての副作用は“救済制度”がある。この制度による支払い金額が、年間、どれ位になるのかは調べたことも無いけれど、そんなものと天秤にかける事じゃないだろう。


現場の人間に取っちゃ、副作用が出たら、取り合えず、矢面に立たされる。その上、最近ではそれを理由に脅されるケースもあるらしいし。

そういうわけだから、現場の医療人の士気に関わる事を考えても、この手の診断薬はバンバン保険適用されることを望みたい。そして、存在の必然性も無いくだらない医薬品は、薬価基準からバンバン削除してもらいたい。


・・・・と、本日は、日記ふうにかいてみました。

| | Comments (0)

ブロッコリーは喫煙者の友?

20081206_smoking不思議なんだけど、タバコを吸いたいヤツは自分の意思で吸ってるんだから、放って置いてあげればいいと思うんだけど、おせっかいを焼きたいヤツが、世の中にはゴマンといる。

この手のデータをせっせと集めるのも、その手の一味に違いない。

がんになるのは当人にとっては、“all or nothing”のはずなのに、それを確率論に摩り替えて、意味の無い疫学調査に意味を持たせようとしている。。。。と私なんぞに下衆の勘繰りをされても仕方が無い。

そして、この手のデータは“みのもんた”や“あるある大辞典”のかっこうのネタになる。

だが、まてよ!この不況の時代に、消費活動に弾みがつくのなら、なんでもアリなんじゃないのか??って思いも頭をよぎる。別に、野菜を食べ過ぎても害にはならないだろうからね。自分で判断すりゃ良い。


その昔、ギリシャにおいてペロポネソス戦争の時代に活躍したアテネの偉大な政治家ペリクレスは何が一番優れていたかと言うと、民衆に『この国の政治は、自分たちが直接動かしている』と思い込ませたことによるのだとか。

結局、偉大な政治家は、民衆に騙されている事を悟らせずに手玉にとる事が出来るのだ。翻って、今の政治家はどうだろう?答えは誰の目にも明らかだと思うが。。。。

“みのもんた”や“あるある大辞典”などを筆頭に、マスコミも同様だ。やっていることは、民衆の思考停止を招くことだけ。

たしかに、民衆の思考を停止させれば、御しやすいのかもしれないけれど、民衆は馬鹿ばっかりじゃない。自分で考える人もいる。だから、ボロが出る。

しかし、民衆自ら『俺達ゃ、頭使ってるもんねっ』って思わせておけば、反発する人間なんぞは現れない。しかし、これは高度なテクニックを要する。私自身も、ペリクレスがどうやって何十年も“陶片追放”を免れたのかわからない。まぁ、だから偉大なんだろうけど。(ペリクレスがいなくなったとたん、アテネはスパルタにやられ、スパルタはテーバイに取って代わるも、どっちにせよ都市国家の域を出られず、船頭多くしてギリシャはまとまらない。やがて、王政のマケドニアに支配される。支配したのは、ご存知アレキサンダー大王の親父ってことだもんねぇ)


で、身近なところから民衆にあたまを使わせるには?って考えたら、『タバコの害は自分で考えなっ!』ってところに行き着くわけだ。(って、俺だけじゃねぇ~よな?)

おせっかいはやめた方がいいんじゃねぇのぉ??


ところで、日本人は別な意味で思考停止を“善し”とするところがあるって思う。自分の事も自分で決めないで、大勢の流れに身を任せる・・・・・。先進国の中でAIDSは増え続け、アルコール消費量も増え続けているのは、思考停止しているから以外のなにものでもない。
 
 
 
話は変わるが、最近知った事で、面白いことがある。裁判員制度が気になっているので、その周辺を調べていて hit したものだ。

私のところに、裁判員候補者としての連絡が来たのかどうか、それは言えないが(『来た』とも『来てない』とも言えない。だって、言ったらいけないんだよね?)、最近、こんな事(「裁判」と「判決」の違いなんての)を知ってしまったので、考えさせられたのだった。

ソクラテスは青年に害悪を及ぼしたという罪で裁判にかけられ、死刑を宣告された。ソクラテスはその裁判に不服だったが、弟子達に脱獄を勧められた時、「この裁判は受諾し難いが、その判決を受諾しなければ法治国家は成り立たないから判決には従う」と、従容として毒を飲んで死ぬ。。。。

というエピソードは、みなさんもよくご存知だろう。

"Japan accepts the judgments of the International Military Tribunal for the Far East and of other Allied War Crimes Courts both within and outside Japan"という文章は、どうだろうか?ご存知だろうか??なんとなくわかったかもね。

そう、サンフランシスコ講和条約11条の原文だ。

で、Japan が accepts した judgments の judgments は、どう訳せばいいのだろう?

当時の外務省はこれを「極東国際軍事裁判所並びに国内外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾する」と翻訳したそうだ。その為、多くの日本人が、日本は「東京裁判」そのものを受諾したと思っている。

と、えらそうに書いたが、実はこれは受け売りで、上智大学名誉教授 渡部昇一氏 の考えだそうだ。


で、私も、英語の翻訳サイトで上記文章を和訳させてみた。

まずは、エキサイト翻訳。
『日本は極東への国際Military Tribunalと他のAllied戦争Crimes Courtsの判断を日本以内と日本の外に受け入れます。』

次に、Yahoo Bable Fish 翻訳
『日本は他の同盟戦争犯罪の極東のための国際的な軍事裁判の判断を受け入れ、日本の内のそして国外の両方を招く』

まぁ、どちらの翻訳も日本語としては“酷い”ものだが、どちらも、judgments を“判断”と訳しており、決して“裁判”とはしていない。


どうして、外務省は judgments を“裁判”としてしまったんだろう??


文脈から考えて、判決=裁判 となるだろう・・・・って事なのか??

戦犯たちは、1946年4月29日に起訴され、1948年12月23日に死刑執行されたという、非常に政治的な裁判だ。負けたんだから政治的な制裁の意味があるのは当然だと思うし、立場が逆だったら、アメリカの原爆投下を“非人道的”として断罪しただろうから、ソクラテスが判断したように、世界の秩序を守るためには、日本が“判決”を受け入れるのは当然だと、私も思うのだが、、、、

その他諸々、証拠の捏造、隠匿、証人の証言を途中で打ち切ったりと裁判自体の進め方や日本だけが非人道的・・・云々に関しては、到底、受け入れてはならない筈だ。なのに、外務省はどうして、全てを受け入れるかのように“裁判”としてしまったんだろう??
(逆に見れば、諸外国は『日本は judgments を受け入れただけなのに、何故、あんなに卑屈なんだ?』って思うのだろう)

もしかして、全てを受諾して『はいはい、私達日本が、すべて悪ぅございました』と言っていれば、後のことは何も考えなくても良い・・・・・・・・。って事なのか?

だとしたら、恐ろしい。

それが証拠に?、田母神俊雄氏の考えは、政府もマスコミもこぞって否定しようとしている。“村山談話”だけに論拠を求めるのは、どう考えても無理があるもんねぇ!あっ!村山談話だけで納得する民衆を作るためにも、思考停止は必要・・・・・・。


閑話休題。ってことで、私は、何度も書いてるけど、小学校・中学校の頃から、肺がんで死んだ人の肺組織を見せつつ、『タバコを吸うと、こんなことになることがあります。まぁ、ならない人もいるから、後は、自分達で考えなさい』という教育しかないっ!って思ってるんだけど、どうだろう??


以下が、エントリーの元ネタです。

提供:WebMD

アブラナ科の野菜は喫煙者の肺癌リスクを低下させる

Miranda Hitti
WebMD Medical News


【11月18日】ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜をたくさん食べる喫煙者と元喫煙者は、そうでない喫煙者より肺癌になりにくいようだ。

これはロズウェルパークがん研究所(ニューヨーク州バッファロー)の研究者らが今日、ワシントンD.C.での癌予防に関する米国癌研究会議(AACR)で報告したニュースである。

「まず初めにすることは禁煙」と研究者のLi Tang, PhDはWebMDに話す。なぜならば、肺癌発症の「リスクを下げるためにはやはり禁煙が一番効果的」だからである。

禁煙に加えて、喫煙者と元喫煙者はブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、ケール、かぶら菜、からし菜、コラードグリーンなどのアブラナ科の野菜をたくさん、それも生で食べるとよいとTang博士は言う。

一方、絶対に肺癌にならない「魔法の野菜はない」とTang博士は注意する。しかし野菜を多く食べて損することはない。

Tang博士のチームは、948名の肺癌患者と1743名の非肺癌患者に喫煙歴のほか果物、アブラナ科野菜、その他野菜の摂取量について質問した。

喫煙者でも特に元喫煙者では、アブラナ科の野菜をたくさん食べていることが肺癌リスクの低下に関連していた。

だからといってアブラナ科の野菜が肺癌を予防したということではない。Tang博士の研究は観察研究で、アブラナ科野菜の肺癌予防効果を直接調べたわけではない。

しかしアブラナ科の野菜に含まれるイソチオシアン酸という成分に抗癌作用があることが他の研究で分かっている、とTang博士は指摘する。

Tang博士の研究で最もよく食べられていたアブラナ科の野菜はブロッコリー、キャベツ、カリフラワーであった。加熱によってイソチオシアン酸を活性化するのに必要な酵素が壊れてしまうので、これらの野菜は生で食べるのが一番いい、とTang博士は言う。

今年の2月、ブロッコリースプラウト抽出物中のイソチオシアン酸にラットの膀胱癌予防を助ける作用があると別の研究者が報告した。

また7月には、ブロッコリーを週に数回食べる男性は食べない男性より前立腺癌になりにくいことが別の研究で明らかにされている。

broccoli-a-smokers-best-buddy

(C)2008 WebMD Inc. All rights reserved.

| | Comments (0)

多数でも、それは間違い

20081111_aneuploidy民主主義では、多数が正しいことになっているが、この“正しい”の定義をしておかないと、勘違いも甚だしいとなってしまうというお話。

前提となる仮説が証明されないまま、なんとなく一人歩きして“正しい”とされてしまって、それを根拠にして新しい仮説を証明してしまう・・・・・・、医学の不確実性を証明するもってこいの事例だと、『ピン!』ときた知見を紹介して、進めてみる。


多くのがん細胞は異数体であり、間違った数の染色体を持っているが、異数性が実際に腫瘍化の表現型に寄与しているのか、あるいはそれを抑制しているのかは、はっきりしていない。

Science October 31 2008, Vol.322 では、『細胞増殖の抑制を引き起こし、培地中の細胞の不死化に対しては可変性のある効果をもたらした。』とある。

だが、Nature Reviews Cancer 8(11), (Nov 2008) では、TAp73 の機能を解明する過程で、異数性ががんの原因だから、異数性を抑制できる TAp73 は“がん抑制遺伝子”であると結論している。

どちらも、染色体異常になると“ヒトにおける流産・不妊”の原因になると解釈している。違うのは、がんに対してだ。

異数性と増殖(Aneuploidy and Proliferation)

Science October 31 2008, Vol.322

多くのがん細胞は異数体であり、間違った数の染色体を持っているが、異数性が実際に腫瘍化の表現型に寄与しているのか、あるいはそれを抑制しているのかは、はっきりしていない。

Williamsたちは、4つの異なる染色体のうちの1つのコピーを余分にもつ、マウスの胚性線維芽細胞の株化細胞を作成した(p. 703; Hernandoによる展望記事参照のこと)。

異数性は余分なコピー中にある遺伝子の発現をおよそ1.5倍増加させ、多く表現された特定の染色体には依存していなかったが、染色体のサイズには依存する細胞増殖の抑制を引き起こした。

異数性は、培地中の細胞の不死化に対しては可変性のある効果をもたらした。

こうした知見は、ヒトにおける流産や精神遅滞を導くこともあるプロセスについてのさらなる理解に道を開くものである。

Aneuploidy Affects Proliferation and Spontaneous Immortalization in Mammalian Cells
p. 703-709.
CANCER: Aneuploidy Advantages?
p. 692-693.


腫瘍形成:ノックアウト!

Nature Reviews Cancer 8(11), (Nov 2008)

p53相同体TAp73に腫瘍抑制機能があると考える研究者たちは、TAp73特異的ノックアウトマウスに関する最近の分析結果を受け、そろって安堵のため息をついた。

このタンパク質ががんに果たす役割を詳しく知ろうと奮闘するも、Trp73遺伝子座がコードする複数のタンパク質産物が、転写活性を示す「p53様」アイソフォーム(TAp73と総称される)と、そのドミナントネガティブな「宿敵」、発がん性アミノ欠失タンパク質(ΔNp73と総称される)の2種類に分けられるという事実に、阻まれてきた。TAp73の腫瘍抑制機能を支持するグループは大いに不満であったが、そのアイソフォームについては、p53との間に配列相同性以上の共通点を立証することが困難であることが判明した。というのも、がんにTP73遺伝子の変異がみられることはまれで、なおかつ、どちらのグループのアイソフォームもないTrp73ノックアウトマウスには、腫瘍が生じにくいためである。このノックアウトマウスに腫瘍が発生しないのは、同時にΔNp73がないためであるとする見方が多かったが、アイソフォーム特異的ノックアウトがない以上、理にかなった説明は難しかった。

しかし、Genes and Developmentに発表されたTomasiniらの最近の研究で、TAp73に腫瘍を抑制する機能が実在することが示された。TAp73特異的ヌルマウスを(エクソン2および3を欠失させて)作製したところ、野生型同腹仔の腫瘍発生頻度がわずか6%であったのに対し、TAp73ヌルマウスでは73%であった。しかも、TAp73が欠損している場合、発がん物質のDMBAを腹膜内投与してから大腸、肝、小腸および胃に腫瘍が生じるまでの潜伏期間が、有意に短縮した。このことから、TAp73には単独でがん化を阻害する作用があることがわかった。

では、TAp73は、どのように腫瘍抑制機能を働かせているのだろうか。興味深いことに、機序を推定する手がかりとなったのは、TAp73欠損コホートの不妊であった。TAp73欠損では、卵母細胞に紡錘体異常が目立ち、ゲノム安定性の維持におけるTAp73の役割が示唆された。この仮説と一致して、有糸分裂阻害薬ノコダゾールで処理したTAp73欠損マウスの胚線維芽細胞(MEF)は、細胞周期のG2/M期に停止せず、不適切な有糸分裂を続けた。さらに、ノコダゾールの長期投与により、TAp73欠損細胞に8Nの細胞集団が現れた。これは対照群にはみられなかったものである。さらに極めて重要なことに、その後の実験により、肺組織が胸腺組織に比べ、特にTAp73消失後に異数性となりやすい(TAp73ヌルマウスの肺腫瘍頻度が高いことを考えれば、説得力のある所見である)ことがわかり、こうした作用が組織特異的であることが示された。

この研究では、TAp73の作用が腫瘍形成にとどまらずゲノム保全にまで及び、がんおよび不妊の両分野に影響を及ぼすとしている。今回の成果より、TAp73が腫瘍抑制因子かどうかという疑問には、一応の終止符が打たれたようである。しかし、TAp73が、紡錘体の集合体に影響を及ぼしているのか、それとも細胞周期または有糸分裂の融合タンパク質を調節しているのか、という新たな疑問が浮上してきた。しかも、これらのデータは、遺伝的不安定性、異数性とがんのつながりに関して、いまだに続いている議論に、さらなる影響を与える。おそらく、TAp73は今後も議論を呼び続けるタンパク質の1つなのだろう。

doi:10.1038/nrc2527


私には、この二つの論文を評価するなんて、そんな大それたことなど出来る筈もないが、現象の解釈に差があることくらいはわかる。そして、それが、現代の医療崩壊、医療不信の根源であることを、医療を受ける側の知識の欠除、すなわち、結果(現象、表現型)から原因が特定できるという間違った認識であると、指摘するくらいは出来る。

私がこのブログで、度々、『戦争解釈のナンセンス』『歴史的認識は単なる思想』と断じるのも、やっぱり、同じ理由だ。


人は、アプリオリに結果から原因は特定できると考えがちだ。


“線形”な結果が得られる実験などでは、原因の特定は簡単だろうが、非線形であったり複雑系であったりすれば、原因の特定なんて出来るわけもない。

人体が“複雑系”であることを疑う人はいないだろう。発がん物質と呼ばれるものを体内に取り入れた後、発ガンする人としない人がいるわけだからね。

『太平洋戦争を侵略戦争だと認識しないと、また、戦争を引き起こす国になる』っていう証明も出来ない“説”をもって、未来の結果を予測するのは、『納豆を食べてダイエットが出来る』と同じくらい“非科学的”な論証だ。


歴史が政治的判断を下す“エビデンス”として不適切な事を理解していない人が多いのと同様、医学が不確実なものであり、結果は確率論的に分散することを理解していない人も多い。

民主主義的に多数が“正しい”と認識していても、間違いは間違いなのだ。赤信号は皆でわたれば怖くないかもしれないが、正しい行為で、安全ということとは違う。

いや、もしかしたら、理解はしているが『理解したくない』人の数もかなりに上るのかもしれない。身内が亡くなって、『何故、○○さんとこのご主人も同じがんなのに、うちの主人だけ死ななきゃならないの?』と。


ただ、こういうエピソードに際し、現代人がこのような反応、すなわち不確実性を許容できなくなったのは、教育とマスコミが原因であるのは間違いないだろう。

マスコミは期待値と結果を同一視してしまう愚かな人間を作り出す。

それは、特にスポーツにおいても顕著だ。『国民がこれだけ応援している(金メダルを期待している)んだから、金メダルを取れる』と。もっと低レベルでわかりやすいのは、サッカーのサポーターだ。彼らは自分達を12番目の選手だと思い込み、一所懸命、応援するんだけど、ひいきのチームが勝たないと怒りくるって暴発する。

期待値を高めても、それは結果には繋がらないということを学んでない。応援して勝ったら喜び、負けたら悔しがる・・・・ここまで。これが、教育。(サポーターなんて、日本人の民族性・宗教観に合わない制度と言葉を持ち込んだマスコミの餌食になるのも、また、教育がなされていない証拠だ)


私は、大昔の生活(3~4世代同居)の信望者ではないが、現代人が人の死に直面することが極めて少なくなった事もこれを助長しているんだと思う。


いわゆる“死生観”ってやつだ。

『(病気が)治ってほしい』『死なないでほしい』と期待値が高ければ、期待はずれの結果に納得できなくなってしまう。朝、起きたらおじいちゃんが冷たくなって死んでいた。病院でなく、我が家で死を目の当りにしたら、違った感情が沸いてくることは、想像に難くないよね。(少なくとも病院で医師を罵倒しない)

教育の現場に宗教をもちこまないから、人の死について語れない。さらに持ち込んだらいけないといって、道徳教育をやめちゃった弊害もあるのだろう。(森喜朗元首相と同じこと言っちゃうもんね)

現代の日本人の大多数は“宗教”という言葉に“胡散臭さ”しか感じないんだと思う。

“胡散臭さ”を感じるだけならまだしも、死をも否定したがる。本来、否定の対象じゃないのに・・・・。


自分のことを考えてみても、“宗教”を学んでも、奇妙奇天烈な価値観に偏好するなんてことは、絶対ない。むしろ、立場の違いを通して、想像力がアップしたとさえ思う。

注意:想像力というのは、相手の立場に立って考えるってこと。

相手の立場に立って考えるってことは、相手を哀れんだり、感情移入することではないので、勘違いなきよう!!相手を哀れんだり、感情移入すると、奇妙奇天烈な価値観に偏好しちゃうから、要注意だよ!


ところで、『赤信号、みんなで渡れば怖くない』って感覚が、マラソンランナーの“先頭集団”とか“2位集団”などを形成してしまう現象と同じで、人間の本能・・・・というより、物理学の普遍の法則に成り立っているという事を、最近、知った。

あっ、知ったというのは、“マラソンランナーがグループを作る”って事で、それと『赤信号・・・』は同じじゃないかと、私のやぶにらみ。

物理学者の蔵本由紀は、お互いに影響しあう振動がどのような全体像を示すのかを理論的に解明した事で有名だ。それを、ストロガッツ(『SYNC -なぜ自然はシンクロしたがるのか』の著者)らがマラソンランナーに例えて解説していて、私は、最近、それを知ったのだ。

詳しくは、自分で調べてもらう事にして、ようするに、生きているってことは“振動”しているって事で、振動は“シンクロ”したがるものらしい。

振動がシンクロしないと、生物のサーカディアン・リズムが生まれないし、遺伝子の発現が制御されない。

実験で、同レベルのマラソンランナーを走らせておくと、平均よりちょっと遅いランナーは“追いつこう”とし、ちょっと早いランナーは“逃げようとする”ところで“シンクロ”し、いつまでも集団で走り続ける。或いは、一周遅れで追いつかれたとき、また、併走しようとするのもこの振動がシンクロしたがるからなのだそうだ。レベルの差がそれより大きい場合は、先頭集団、第2位グループ、第3位グループと、いくつかの集団に別れ、レベルの差が激しい場合は、ばらばらに走るのだとか。

生物の脳波やさまざまなシグナルが、3峰性になる理由がこれで説明出来るのだそうだ。


だから人間はデフォルトで『赤信号、みんなで渡れば怖くない』であり、そうならない為に“教育”が必要ってことなんだろう。マラソンで集団を作るのはかまわないけど、赤信号で横断歩道を渡る(病院で暴れる)のはマズイよね。で、因果律についての知識を得る事が、大事だって事は、いうまでもないっ。

| | Comments (0)

ETC カード挿入忘れ

20081104_microbiome名前が付くと研究は進む。

語尾に“オーム”がつく言葉は、年々、増えている。最初は“ゲノム”だろう。

近年、ついに“マイクロビオーム”という言葉が誕生した。このオームのつく単語、過去にも、いろいろとエントリーのネタに使っている。
低出生体重児に関わるタンパク質と遺伝子』、『LTP と LTD はシステムバイオロジーから』、『やっぱり、重要なのは“制御”だ』などなど。


人間の個性をあらわすのに“フェノーム”なんて言葉はすごいと思ったけど、いまいちイメージしづらく、ヒトに常在している細菌との関わりを“メタゲノム”であらわすのも、わかる人にはわかるけど・・・って感じで、うまく表現しきれてない感じは拭いきれなかった。

やっと真打登場って感じの言葉が登場した。それが、マイクロビオームだ。


遺伝子だけでは説明しきれない“フェノーム”の多様性、たとえば、一卵性双生児の疾病罹患の差など、単に“原因は生活環境だ”としてしまうには、あまりにも漠然としすぎていたものを説明できるツールとして、研究が進むことになりそうだ。現在一人歩きしているプロバイオティクスと合流して、感染症治療は大きく変わる可能性もあるしね。


で、このブログでも“メタゲノム”の説明くらいはしたつもりだったけど、検索してもそれらしいのが見当たらない。今さらするのも“めんどくせぇ”から、簡単にするけど、、、

要するに、人類が地球上に存在する遺伝子の総体をどの程度知っているのか?って事において、『びっくりするくらい“少ない”んだよ』って教えてくれるものだ。

大きな動物はほぼ把握しているだろうけれど、微生物にいたっては、人類は、その1%も“掴んで”はいない。さらに、環境中の微生物だけじゃなくって、人体に共生している微生物すら、1%も理解していないのだ。(この際の“理解”の定義は、増殖などをコントロール出来るって意味)


たとえば、ヒトを生まれてから無菌の環境で育てたとしよう。間違いなく、粘膜免疫が発達せず、ひいては全身免疫までも影響を受け、アレルギー疾患が必発、自己免疫疾患も必発することだろう。人道的な面から実験は出来ないけれど、乳幼児期の多量・頻回の抗生物質暴露によりアレルギー発症が増加する現象から、腸内細菌叢の発達を妨げたことが原因なのかと?実験動物などでの検証を経て、腸内細菌の免疫に与える影響の重要性が示唆されるようになったのは、よく、知られている。

こんな切り口から(と私は思っているが)、ヒトゲノム計画から得られたヒト遺伝子の予想外の少なさを説明できる合理的な理論になろうとしているのが、“マイクロビオーム”だ。

人体に共生している100兆個もの微生物の遺伝子を全部知った暁には、それらが、ヒトの遺伝子を補完していることを、人類は知ることになる。

逆に言えば、ショウジョウバエと変わらない遺伝子の数で“人類”をやっていられるのは、人類と共生している“微生物のおかげ”だと。

ミトコンドリアを体内に取り込んだ、原始的な細胞が真核生物に“進化”できたのと比較できるほどその“共生”に歯切れが良いわけではないけれど、明らかに“持ちつ持たれつ”の関係の上に生命が維持されているのは間違いない。

そして、これらの共生している細菌の構成や機能、あるいは人体に与える影響や病気との関わりを調べるために、米国 NIH では、すでに2007年から『ヒトマイクロビオーム計画(Human Microbiome Project)』を立ち上げている。

近い将来、ヒトの遺伝子を語るときには、その人が親から受け継いだ46本の染色体にあるものだけではなく、その人と共に生きている常在菌の遺伝子プロフィールを含めて、云々するようになるのだろう。

一卵性双生児の片方が癌になり、片方が癌にならない・・・・・こんな理由が語れる日が来るのだろう。(現代医学では、まるっきりわからないからねぇ)
 
 
 
こんな言葉を知って『ほぉ~っ』と感心したりしている今日この頃、ショックな体験をした。

それは、昨日のことだ。

注意深い性格の私にとっては考えられない出来事なのだが、それは、ETC カード入れ忘れ状態で高速道路の入り口ゲートを通過してしまうという“自験”だ。

鼻の奥がジンジンして、瞼が重く、大きな声を出すとコメカミが痛むという状態が本日になりひどくなったのが、今回のエントリーと結びついた原因だ。


こんなチョンボをやらかしたのは、細菌、またはウイルスの遺伝子産物による脳機能への影響なのではないかと?


なんたって、後続車をゲート入り口で堰きとめ、高速を降りる人からは笑われるわけで、こんな後ろめたい思いと恥ずかしい思いとをしなきゃならない事態を予測すれば、絶対にカード入れ忘れなんてあるわけがなく、現に、いままで忘れたことはなかった。

ところが、、、、、である。

この経験で学んだことは、ゲートのバーは軟らかく、車に傷はつかないという事と、一旦、車体が通過しちゃったら、カードだけを通過したことに出来ないということだ。そういう処理が出来ないらしい。

私は大慌で ETC カード を握りしめ車から降り、係員の処理を待ったのだが、彼らには後続の車を通過させることが第一義で、私に対しては『このやろー、めんどくせぇことしやがって』と言いたげな表情で『危ないから、下がって待っててくださいっ』と。

やがて、高速道路の通行券をもって私のところにやって来て、『これ使って、降りてください』と。私は、『カードの処理はしてくれないんですか?』と言うと、『出来ません』と。


というわけで、細菌、またはウイルスの遺伝子産物が、私の脳の注意を散漫にさせたのと、こんなに不名誉な目に逢う事の予見を妨げた結果、私はカードを入れ忘れて高速道路に乗ろうとしたのだろうと考えたわけだ。


まぁ、こんなにも因果関係の薄い事象をこじつけようとする位、私は熱にヤラレている・・・・という事なのかもしれないが・・・。(ロキソニン、あんまり効かないのかなぁ??これだけの藪にらみを利かせられるのは、ある意味、効いている証拠なのかな??)

| | Comments (0)

『心底惚れた女が、実は男だった』って感じ?

20081011_bi_sexalおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!

癌という病気が“怖い”のは『転移するからだ』の“転移”は、細胞が“癌”になってから別の臓器に移動して、そこで成長するってプロセスを辿る事だとばっかり思っていた。

しかし、この論文によると、癌になる前から、たとえば、肝臓の細胞は肺に“移り住んで”いて、後から“癌”になる事もあると。

ひぇ~~~~~、これって、『心底惚れた女が、実は男だった』って感じじゃない!?

ガンの転移を再考する(Rethinking Cancer Metastasis)

Science September 26 2008, Vol.321

ほとんどの人のガンによる死亡は、原発性のガン細胞が体の新しい部位に伝播して拡散する転移によって起きる。

途中の血流中を生き延び、新規の組織の環境に定着することを含め、転移性細胞は複雑な一連の段階をうまく切り抜けなければならないので、転移はガンの進行における遅い段階で起きるとこれまで考えられていた。

Podsypanina たち(p. 1841,8月28日オンライン出版、および、Kleinによる展望記事参照)によると、転移プロセスの開始は以前考えられていたよりもっと前かららしい。

正常なマウスの乳房細胞を遺伝子操作して、ガン遺伝子発現のタイミングを実験的に制御し、これをマウスの血流中に注入した。

驚いたことにガン遺伝子の発現がないときは、正常な乳房細胞は肺まで移動し最大16週間生存するが、ガン遺伝子が活性化するまでは攻撃的成長を開始しなかった。

このように腫瘍転移は、播種性の正常な (前悪性)細胞から発生し、遺伝的な変化が悪性になるまで臨床的には黙ってじっと待っている。

Seeding and Propagation of Untransformed Mouse Mammary Cells in the Lung
p. 1841-1844.
CANCER: The Metastasis Cascade
p. 1785-1787.


この論文では言ってないけど、もしかしたら、“転移”って現象は正常な生命現象かもしれない。だとすると、、、、、転移をターゲットにすると、ホメオ・スタシスに影響が出ちゃう・・・・。(例えば、組織固有の幹細胞の出自を探ると・・・・)

以前は、転移という現象は“癌細胞固有”だと考えられていたから、コレをターゲットにしようとしたんだけど、これが生命現象の一部だとすると副作用は・・・・・。


そんなことより、固形癌の外科切除、転移予防の為のリンパ節の郭清手術する“意義”の問題になるのは、確実だよね?

念のため、きれいさっぱり切り取っても、1年後、遠隔転移が発見されちゃう人ってのは、既に、原発癌の手術をした時点で、転移していた・・・・・・って事にもなるんだからね。。。これじゃ、リンパ節の郭清手術は意味がなくなっちゃう。

原発性の癌が“病気”として見つかった時点で、ルーツを同じにする別の細胞が既に他の臓器に移り住んでいて、それがわかりやすい“ブドウ糖の取り込みの増大”などの性質を示していないんだから、存在の確認しようも無い・・・・・・。
 
 
 
アリストテレス以来の演繹による理論的推論(※『すべての人間は死ぬ。ソクラテスは人間である。ゆえにソクラテスは死ぬ』が有名)に異を唱えたベーコンは、今日の科学者が用いる帰納的研究法を考えたといわれている。そのベーコンの言葉を引用すると、、、

 自然の微妙なところは、感覚や理解力の微妙さの何倍も微妙である。そのため、人々がかまけている、もっともらしい省察、思弁、虚飾は、その目的から全く離れ、結局、それを観察する人がいない。

 三段論法は、科学の第一原理には適用されないし、中間の公理に適用しても無駄で、自然の微妙なところとは比べ物にならない。それは命題に従うことを求めるが、物事を束縛はしない。

 三段論法は命題からなり、命題は単語からなり、単語は概念の記号である。ゆえに、概念そのもの(それがことの根本)が混乱していて、事実から拙速に抽出されたものであれば、その上に乗る構造物には確固としたところがありえなくなる。希望が持てるとすれば、真の帰納にしかない。


う~ん、帰納的な臨床試験を行っている筈が、最初の『LDL-C は悪者だ』が“事実から拙速に抽出されたもの”である事を、そろそろ認め、詭弁的な三段論法が現代の大規模臨床試験だと認めなければならなくなるようなお言葉ですねぇ!!(笑)という余談は置いといて・・・

で、対照的に、トルストイは軽率な一般化を戒め、人間は小さな現象を、大きな現象の原因と見てしまうのではないかと、、、

 「戦争があったときは必ず、強大な軍事指導者がいた。革命があったときは必ず、大指導者がいた」と歴史は言う。「実際は、強大な軍事指導者がいた時は必ず戦争があった」と、人間の理性は答える。しかし、それは将軍が戦争の原因だと証明はしないし、戦争にいたる要因が、一人の人物の個人的な活動に見つかるということの証明にもならない。

 農民は春の終わりに冷たい風が吹くのは、楢木のつぼみが開くからで、実際、楢の花が咲く春には冷たい風が吹くという。しかし、楢の花が咲く頃に冷たい風が吹く原因は知らないが、冷たい風の原因が楢の花が咲く事だという農民の意見には賛成できない。風の強さは、つぼみが影響する範囲外だからだ。


戦争と軍事指導者のくだりは、ロマンチストな小説家が、もっともらしい省察、思弁、虚飾を駆使し作り上げる歴史観そのものだ。膨大な資料にあたったとしても、見たいものしか見なきゃ単なる推論と同じだし。現代日本では、この類の小説を読んだ庶民が、“戦争と軍事指導者の関係”が“楢の花が咲く事と冷たい風の関係”と同じ事だと認識できていないところに問題がある訳で。。。。しかし、小説はそうじゃなきゃ面白くないし、、、私はアレキサンダー大王萌え~でカエサル萌ぇ~でアレキサンダー大王の家庭教師だったアリストテレス好きで・・・って、まぁ、それは置いといて・・・・


自然科学における真理の追求には、演繹による理論的推論がベターなのか、帰納法によるのがベターなのかは、私にわからないけど、一旦、思い込んで、尚且つ、それを疑う余地が無い時代に築かれたものは、「その上に乗る構造物には確固としたところがありえなくなる」ハズなんだけど、、、、権威筋が跋扈する世界にあっては、白いものも黒いと言わざるを得ないだろうなぁ・・・・・。

今回は、『転移は悪性化する前から起きている』という事実を取り上げたのだが、似たようなケースは“医学”には“レア”ではないように思われる。それは、生命現象以前に、まず病気というフィルターを通して生命活動を見てきた事によって“誤認”したまま、砂上の楼閣を築いてきたってことなんだろう。

基礎科学(医学にとっては生物学)の重要性が痛感されるところだ。

日本人のノーベル賞受賞だけに浮かれずに、国家予算からの基礎研究への割当増を真剣に考え直さなきゃならないんじゃないのかな。

さらに言えば、一般教養としての理系科目(数学的な思考法などは特に)は義務教育課程で徹底した方が良いと思われる。本来なら企業倫理として問われる問題が“食の安全”なったり、“食の安全”としなければならない問題が政治問題にされる、などという頓珍漢な方向に向かうマスコミに煽動されない為にもね。


最後に、大衆の無知と強大なマスコミの影響力による“喜劇?悲劇?”を示して終わりにする。良くご存知のアメリカでの話。

NASA の月面着陸を信じない人たちが NASA の陰謀説を流布し、テレビ会社 FOX に信じさせ、それに関するテレビ番組を放映させたのは有名な話だ。番組ではアメリカ人の20%の人が月に行ってないと信じていると。全てスタジオで撮影されたんだと。それによって、大衆は、NASA 陰謀説に大きく傾いていく。

その根拠となったのが、ニール・アームストロングの影が二つ映った写真だ。

月面なら、光源は太陽だけの筈なのに、もう一つの光源がある。それはスタジオのライトに違いない。写真には、星も、着陸時の噴射によるクレーターも映っておらず、空気が無いのにはためく星条旗が映っている・・・・と。

月面では光源が二つ以上あってもおかしくない事(地球や月の表面は光をよく反射する)、写真に星が写ってないのは、露出時間の問題である事、月面の土はほんの数センチしか堆積しておらず、確認できるほどのクレーターが出来なくてもおかしくない事、空気が無くても竿が揺れる事で旗がはためく事・・・を理解できる人には、NASA の陰謀説の番組は“茶番”にか見えないのだが、月面では光源が二つ以上あってもおかしくない事を知らなければ、番組に洗脳されるのは必至だろう。

今回は、みのもんたやあるある大辞典などと固有名詞は出さないが(あっ、言っちゃった!)、こんな番組が多いんだから、NASA の陰謀説を信じている人は、自分の理系の素養を見直したほうがいいかもよ!!

それと、NASA の陰謀説の根拠を話して納得するかどうかを、あなたの周りで試してみるのも一興かも。(あなたに対する周りの人の評価に変化が生じても、私には責任はありませんが)

| | Comments (0)

分子の目だけじゃ、やっぱダメ その2

20080919_molecular_eyes今週号の Nature vol.455 (7211), (Sep 2008) に、またまた、想像力(藪睨み)を掻き立てられる論文が掲載されている。

やっぱ、“がん細胞”と“がん組織”は別物なんだよなぁ・・・。

分子の目だけじゃ、やっぱダメ』を書いた時も、つくづく感じた事だけど、生まれたてのがん細胞が本物の病気としての“がん”になるには、がん細胞が増えて寄り集まっただけじゃダメなんだよねぇ。(以降を読まれる方は、上のリンク先のエントリーを読んでからにしてくださいね。読まないと意味がわからないかも。。)

だから、やっきになって小さな“がん”を探しても、それが“本物の病気としてのがん”にならないんだよなぁ。ちょっと前に“がんもどき”って言葉が流行ったけれど、あれが今登場して入れば、ちがった印象を与えられただろうにねぇ・・・。

細胞:がんにおけるヘッジホッグシグナル伝達

Nature vol.455 (7211), (Sep 2008)

ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路は、発生中の胚で細胞増殖や細胞運命決定を制御するネットワークの一部として機能する。

また、この経路は多くの固形腫瘍に関与することも示唆されており、その場合は腫瘍細胞の増殖を直接仲介すると考えられていた。

しかし、新しい研究によって、がんにおけるヘッジホッグ経路の、これとはかなり違う役割が示唆された。

がん細胞が分泌するヘッジホッグリガンドは、腫瘍上皮細胞のヘッジホッグシグナル伝達経路は活性化できなかったが、腫瘍細胞が埋め込まれている間質、細胞外マトリックス塊、繊維芽細胞、内皮細胞、および微小血管系に作用した。

腫瘍の増殖は促進されたが、これはどうやら腫瘍細胞の微小環境に対する影響を介して起こるらしい。

これらの知見は、ヘッジホッグ経路アンタゴニストを抗がん剤として使用するのに重要な関連がある。

Letters to Nature p.406

News and Views p.293


今回の論文では、この部分→『がん細胞が分泌するヘッジホッグリガンドは、腫瘍上皮細胞のヘッジホッグシグナル伝達経路は活性化できなかったが、腫瘍細胞が埋め込まれている間質、細胞外マトリックス塊、繊維芽細胞、内皮細胞、および微小血管系に作用した。』が、ちょー大事だ。(ここでは、ヘッジホッグに特別な意味は無いけど、ソニック・ザ・ヘッジホッグと関係あんのかぁ?なんて気になってしょうがない人は、『シマウマの縞 蝶の模様』を読め!)

本来なら、薬物治療のターゲットを“がん細胞”だけでなく、その他、周辺の細胞に向ける事なるのを驚くだけに留まらず、現在の『検査で探し出すがんは小さければ小さいほど良い(早期発見早期治療)』という風潮に一石を投じる事も可能な筈なんだ。


だけど、、、、やっぱ、これは出来ないよなぁ。

なんで、出来ないのか??

大勢の人のニーズに沿わないからだ。製薬会社や検査機器会社に留まらず、病院経営や患者の満足感に至るまで。

「製薬会社や検査機器会社に留まらず、病院経営」ってところまでは、資本主義の社会なんだから、これを否定することはないと思うんだけど、“患者の満足感”は、真実を知った上での“満足”になっていないところが“大問題だ”って思う。

『本当は怖い・・・』なんてテレビ番組は百害あって一利無しだが、その治療を受ける事に、あるいはその薬を飲む事に『メリットは無い』『メリットがあるのはごく一部の人』という事を知らせた上での“患者の満足感”になっていれば、全く問題は無いんだけど。

しかしながら、例えば 1~2mm 立方のがん組織があったとして、それが、育ってその人の命を奪うかどうか、それを患者ごとに予測する事が現代医学では不可能だという事実がある。(だから根こそぎ切り取る。そしてそれに意義があると声を大にしているわけだが・・・医療費抑制効果もあると・・・)

このがんを精密な機器を使って“発見”して切り取る行為は、コレステロール値の高い人全員にコレステロールを低下させる薬を飲ませるのと似ている。コレステロール値も、誰にとってそれが“ヤバイ”のか、現代医学では皆目見当もつかない。(高血圧で糖尿病で両親とも心筋梗塞で死んでいて・・・・って次元の話ではない)


ところで、今現在の医療の問題、すなわち還元すればお金の問題である医療費を考える時、このような行為すなわち“早期発見早期治療”や“検査値異常なら全員服薬”を『必要』と考えるか『無駄』と考えるかの議論はどこかで為されているのだろうか?


私は、知らない。


本来なら“お客さん(利用者)”であり“納税者”である国民に議論してもらうべきだろう。だが、実際問題として、日本人有権者全員が入場できる会場なんて無い。だから、実質的に代表者を選出して・・・・って事なんだけど、選出される人達の中に、このような行為が『必要』か『無駄』かなんて選択肢を提示している人を見た事も無い。。。。(この行為を『必要だ』って前提にするから、消費税20パーセントをどうするか?って政策論争に巻き込まれて煙に巻かれる。為政者は税収がいっぱいあって、それを分配しながら国の舵を執ることが至上の喜びだからね。)


やっぱり、これは、民主主義の『多数の正義』が問題点として露呈し始めている一つの例かもしれない。

だったら、良識ある少数の“頭脳”を持って“独裁的”に決めちゃえばいいのに。。


一昨日だったか、たけしの『独裁国家は凄い』みたいなテレビ番組をやっていた。見たわけじゃないけど、新聞の番組紹介欄に『独裁国家の良い面を取り上げていて面白い。。最後は悪と締めくくっているが』とあった。

医療に関してはキューバの例が映画になったりしているからご存知の方も多いと思う。


アレは、(・∀・)イイ。


それに、世の中に絶対の“善”や“悪”なんて存在しない。全ては主観的で事実は相対的だ。宇宙の理論も含めて。

簡単に言えば、資本主義社会から見るとキューバは“悪”だけど、野球は強いし医療制度は理想的。それに引換え、我がニッポンは、、、、って事だ。


ってことで、結論。ニッポンは良識ある独裁者による独裁制が、、、

(・∀・)イイ


あっ!もしかしたら、すでに現代日本は“頭の良い文系出身者による独裁制”だったりしてね・・・・!?だとしたら、悪い面がでちゃってるの??それじゃ、政府に理系出身者をどんどん送り込んで、反対のベクトルをつくりましょう!!

| | Comments (0)

無意識の協力者(Unwitting Accomplices)

20080901_unwitting_accomplices良かれと思ってしたことが、反対の結果を招く・・・・、人間社会でも見かける現象がこんなところにもあったなんて、ちょっと驚き・・・・。他の生命体との関わりに限らず、生命現象(病態)を最新の進化学の理解を通して眺めると、その理解を改めなければならない事が多いから、目の玉が飛び出すほどって事ではないんだけど・・・・。

この論文では、好中球は人間の為に働いてるんじゃなくって、寄生虫の為に働いているって事がわかったんだと・・・・。

Science August 15, 2008, Vol.321

多くの寄生虫病は、感染した昆虫ベクターに咬まれることによって伝播される。

咬まれた直後の初期段階での宿主応答が病気の経緯に影響しているらしい。

Petersたちは生体内イメージングを用いて、通常マクロファージに感染する細胞内寄生虫リーシュマニアの感染直後のマウスにおける、初期イベントのダイナミクスを可視化した(p. 970; またJohnとHunterによる展望記事参照のこと)。

予想外なことに、好中球(neutrophils)が虫に咬まれた部位における最初の主要な到達物の1つであり、寄生虫を貪食する様子が見えたが、しかしながら貪食された寄生中は元気で感染性を保持しており、感染を効率的に行っていた。

好中球は宿主の寄生虫処理を助けるというより、この好中球の振る舞いは、感染症の初期のプロセスにおいて、寄生虫がこれらの生得的な免疫細胞を無意識の協力者にしていたのである。

In Vivo Imaging Reveals an Essential Role for Neutrophils in Leishmaniasis Transmitted by Sand Flies
p. 970-974.
IMMUNOLOGY: Neutrophil Soldiers or Trojan Horses?
p. 917-918.


結局、何歳まで生きられるの?って事で、医学に出来る事に限界があるわけで、その年齢まで『厳密に、検査値の異常も許さない』って人から『まぁ、すぐ死ぬわけじゃないから、適当に楽しみながら』って人まで色々いるわけだ。(そもそも、長生きは善なのか?)

生理:ヒトは何歳まで生きられる?

Nature vol.454 (7208), (28 Aug 2008)

酵母や線虫、マウスなどを使った実験から、寿命には可塑性があり、遺伝子操作や薬剤、栄養の調整によって伸縮可能であるという考え方が有力になってきている。

そこで大きな問題となるのは、こういう結果をどうすればヒトに当てはめることができるのか、また、そもそも当てはめることが可能かどうかである。

ヒトの寿命の制限要因に関して現在わかっていることについて、J VijgとJ CampisiがReviewで論じている。

彼らの結論は、ヒトの老化と自然死を何十年も先延ばしすることの実現可能性を判断するのは時期尚早だというものだ。

また、ヒトの健康増進と長命化を可能にする統合的戦略を進めようとするにあたり(p.1067のBox 1参照)、今後の研究で答えを出す必要がある問題についても概説している。

Review Article p.1065


今、信じない人のための〈宗教〉講義 中村 圭志 (著) を読んでいるのだが、本の主旨からすれば、非常に優れた解説本であり、別の視点から眺めると、つくづく、人の価値観って色々なんだなぁって思い知らされる本でもある。

この本の著者は大学院(東大)で宗教学を学んだ人である。だから、その思考が自分のフィールドの言葉で表されるのは当然なんだけど、神事や宗教とは全然関係の無い事柄をも、(人々をその行動に突き動かすメンタリティとして)全て、宗教のフィルターを通して説明しているところから、そう、感じたのである。著者の書いている本の中の人々の話じゃなく、書いている本人(著者)の感じ方からそう感じたのである。幕末から明治、大正、昭和、そして戦後のメンタリティの変化を宗教で説明しているところが。

例えば、歴史学者、心理学者、小説家、政治家、科学者、、、同じ現象を別の言葉で説明してくれる。一番面白いのは小説家のそれだから、歴史的事実ってのは、大衆には、ほぼ小説家の書いた(作り上げた)ストーリー通りで因果関係もその通りだと思い込んでしまうのというのは、置いといて。


人の行動原理というのは、歴史学者、心理学者(文系)、小説家、政治家が語る(説明する)それより、科学者の説明に一日の長があるのは論を待たないけど、これとて、いわゆる“解釈”の問題で、別の見方が出来そうである。

心理:小児期の協力行動

Nature vol.454 (7208), (28 Aug 2008)

特別にデザインされた試験(というよりゲーム)で子どもたちが相互にやりとりをする様子から、ヒトの利他行動や協力行動の背後にある仕組みを明らかにすることができる。

Fehrたちは、いろいろな菓子を報酬とした「共有ゲーム」と「羨望ゲーム」を行わせて、小児期にみられる他者に配慮する傾向が「不平等回避」という特有の形態をとることを示している。

この行動パターンは3~8歳の間に発達する。

3~4歳児では、ほとんどの子どもが利己的にふるまうのだが、7~8歳になると、不平等を回避するような資源分配を選ぶ児童が圧倒的多数となる。

しかし、有利な不平等を回避すると分配行動による犠牲が大きくなる場合には、平等な分配を選択する頻度が低下し、自分の属する社会集団の仲間に有利な計らいをする傾向がみられる。

これらの知見は、平等主義と郷党心(パロキアリズム)の発達の根源が深いことを示唆している。

Articles p.1079

News and Views p.1057


感染の初期に寄生虫の為のように振る舞う好中球だけど、もしかしたら、まだ、発見されていない“長期的な生体防御”の為に、寄生虫を体内に長く“保持”した方が有利なのかもしれないし。

今、わかっている事だけで現象を理解しようとするのは、その昔、モーセが十災をもたらしたと信じちゃったのと同じなんじゃないかな。(モーセは“十戒”という言葉の方が有名だけど、エジプトの王様をビビらせる為に起こした現象を“十災”といっている。一番凄いのが、過ぎ越しの祭りとして残っているあのエジプトで生まれた男の赤子の皆殺しだ。モーセの仲間は、この災いから逃れる術を神から授かっていたっていうアレ)


ところで、生命現象(自然現象)に“善悪”を持ち込んだって、一体、何時頃からなんだろう??『この現象は、体に良い』『体に悪い』なんて、結局、宗教の“道徳観”なんじゃないのかなぁ?

そうだとすれば、西洋の一神教の考え方??
ゴータマ・シッダールタが考え出した仏教には善悪は無かったっていうし、土着の多神教に至っては、道徳とか生活規範にはなりえなかったというし・・・。


あっ!現代の医学は西洋発祥だから、当然か!!医学だけじゃなくって科学も・・・・。

善悪二元論で単純化した現代日本が殺伐として最悪なのは誰しもが感じている所だろう。ドーキンスが西欧社会でこき下ろしている“神(一神教、宗教)”が、そのままの理由で日本に当てはまらない事は、以前にもここで考察したが、善悪二元論が日本を異常事態にしたっていうなら、私も宗教をこき下ろしたいね。

もう、何が何でも消費者が正しくって、弱者が正しいなんて事は止めようよ。(でも、福島の大野病院事件を裁いた裁判官の判断には感激しました。『あの状況での処置に対して、一家言ある人が多数あると言う事は、どれが正しく(善)てどれが間違い(悪)とはいえない。だから、それを根拠に当事者を裁くことは出来ない』というような主旨だったと・・・。まだ、捨てたもんじゃないのか?ニッポン。マスコミの独善と偏見と支配欲で現代社会を善悪二言論にしているのは間違いないけど、今回はそれは置いといて・・・)

消費者庁なる組織が、方向違いに暴走しない事を祈ります。

| | Comments (0)

協力のための自殺

20080822_suicideずばり“協力行動遺伝子”なるものがあったとは、これだけで驚きなのだが、現代人ではほとんど発現してないように見える。

いや、あるいは発現する人を敬わない風潮が蔓延している為、遺伝子の発現している人が『バカらしくってやってられるかいっ』って事で、見かけ上、発現していないようにみえているのか・・・・・どうなんだろう?

その昔、古代ローマ、いやそれよりも前の古代ギリシャの時代から、有能な政治家は“暗殺される”と相場は決まっている。戦士は死して国と家族を守った。日本でもしかり。

振り返って、今はどうだろう?
『政治に命を賭けるなんて、アナクロな感覚は持ち合わせてないよ』
『国家100年の大計は、所詮、大衆には理解してもらえない・・・』

大衆の側だって、、、
『政治家だって単なる職業でしょ?』
『何、いばってるのかしら?』
『そんなに権力が欲しいのか?』
『自衛隊・・・キモイぃ~、こわぁ~い』

微生物の世界では、こんな状況に陥ったら種の存亡にかかわる・・・っていうのに、、、、、

Nature vol.454 (7207), (21 Aug 2008)

生物個体間の協力行動は解明が難しく、協力行動をとった当の個体が死んでしまう場合はとりわけ難解である。

その例として、毒素や毒性因子を作り出した個体は死んでしまうが、それらを作らない他個体がその恩恵にあずかる種類の微生物が挙げられる。

そのような自殺型の協力行動もしくは「協力的自殺」を起こさせる遺伝子は、それを保有する個体群の一部だけで発現する場合にのみ存続可能であることは明らかだ。

Ackermannたちは、自殺型協力行動の進化に関するモデルを考案し、その安定性の秘密は、協力行動遺伝子を発現する個体としない個体の分類にあることを示した。

発現しない個体は、発現する個体からもたらされる公共の利益を得るほうの道を選んできたのだろう。

この系の一例として、病原性のネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)のクローン菌体間にみられる毒性因子の発現の差異が挙げられる。

表現型ノイズが2つの集団の分化につながり、2つの集団は協力し合って感染を成立させるのである。

Letters to Nature p.987


これって、互恵的な利他主義(行動)とはかなり違う。蟻や蜂のような自己犠牲の上に成り立つ種の保存の為の遺伝子の原始的なものなんだろうか?蟻や蜂は、女王を頂点とした社会の為に、進んで身を犠牲にする。そうしないと蟻や蜂は生きていけないからなのだが。。。

ドーキンスが利己的遺伝子説を何ゆえに思いついたのかは知らないけれど、生体が単なる遺伝子の乗り物で、遺伝子は自分の複製を増やす事だけが至上命令なら、蟻や蜂が自己犠牲することは、なんら不思議な事じゃなくなるわけだ。


ところで、人間には一つの体に“二つの自己”が存在している。

一つは、“脳”が考える自己。哲学的で文学的な自己だ。『われおもう、ゆえにわれあり』の自己。

もう一つは、“胸腺”が規定する自己。生物学的で免疫学的な自己だ。

人間で実験するわけにはいかないので、他の動物でやるんだけど『一体、体ってのは脳の支配下にあるのか?胸腺の支配下にあるのか?』って事を実験すると、体は胸腺の支配化にある事がわかる。脳は胸腺を排除する事は出来ないけれど、胸腺は脳を排除する事が観察されるからだ。

人間の場合、脳は免疫学的に聖域に位置する為、免疫系は手が出せない。それに、人間は“協力行動遺伝子”が働かなくても自己犠牲する。

この二つを考えれば、人間は『脳が体(胸腺)を支配している』と言える。生きる方向ではなく、死ぬ方向でのみイニシアチブが取れるだけなんだけど・・・。


セロトニン系の神経に作用する SSRI や SNRI が自殺を誘導する機構として、『体を“生きる”方向へ引っ張るもっとも基本的な神経系をヘタに弄るからこんなことになっちゃう』って考えている人がいた。

人間の場合の自己犠牲が、“協力行動遺伝子”の影響下にあるとしたら、これが殆ど働いてないように見える現代社会において、自殺が増える事はないだろうから、現代社会の自殺と“協力行動遺伝子”は関係ないのだろう。

蟻や蜂にとってのセロトニン神経系が“協力行動遺伝子”の支配下にあるとしたら、ここを弄って個体を死に向かわせる・・・・のか??

蟻や蜂が我が身を犠牲にして種の為に死ぬ時、それは“喜んで”、あるいは“幸せを感じて”いるのだろうか??

あるいは、働き蟻(蜂)に生まれてしまって、私の人生これから悪くなる事はあっても良くなる事はない。だったら来世では良い事があるかもしれない・・・・ああ、苦しまずに死ねたら・・・・・セロトニン神経系は生きる方向へ作用するベーシックな神経系って訳じゃなく、気持ちよくなる方向・・・・殆どの人にはそれが生きる方法に作用するけど、少数の人には、死の方向・・・・・・。宗教のはじまり・・・・・。


って、ワキゃ~ねぇ~よなっ!!

色々と考えさせてくれる論文でした!!チャンチャン。

| | Comments (0)

三毛猫エントリー

20080808_catよく読まれる記事ってのは、やっぱり気になる。

ちょっと見ないでいたら、マリンパの雑感で『何故、三毛猫にオスはいないのか?』が10位に入ってる。これは、単に『何故、三毛猫にオスはいないのか?』が気になっているからなのか?

マリンパの雑感を読んでいる人は猫好きが多いのかな??ってわきゃ~ねぇだろうなぁ。

多分、日本人の多くは、天皇の男子男系の話に興味があるから・・・・って事なのだろう。


んじゃ、、ってわけで、何故、男子男系が続くと凄いのか?って事を、またまた、遺伝子がらみで書いてみよう。

ただし、これはセンシティブな話で“遺伝的な障害のある人を差別している”と感じる人がいるかもしれないのであらかじめ断っておくが、私自身は遺伝的な多様性にこだわりは一切ない。現実は以上でも以下でもなく受け入れるべきだと思っている。よく、自然の摂理を人間社会のアナロジーとして捉えたがる人がいる(こういう人は小泉元首相のせいで犯罪が増えるとか主張する)が、この手の話は、そういう人達にはどのように受け取られるのか・・・・、それはそれで興味はある。

それに、あまり具体的に書いた文章を残したくないので、奥歯に物が挟まったように書くことにするが、、、


実際に、ある特定の不具合を発症する遺伝は、性染色体にあるわけじゃないのに、男から遺伝すると、その不具合が重くなる(発症年齢が早くなる)ものがある。

男系にこだわる理由は、だから、古事記に書かれている時代から続いている“男系”で不具合がある天皇が輩出されないってことは、(昔の人たちでも経験的に知っている事で、)天皇家は遺伝的に“丈夫(生存能力が高い)”だという事の隠喩なんじゃないかと・・・・私は邪推しているわけだ。
(実際は逆で、男が続くと天皇に不具合が発生し・・・なんてのを経験したもんだから、途中で違う胤を入れたりしたんだけど、表向きは、男が続いて“丈夫(生存能力が高い)な遺伝子”をアピールした・・・・・なんてことなのかもしれない)

で、女性で繋いだんじゃアピールにならない・・・・。


現代でも遺伝的な不具合を引き合いに出す訳にはいかないから、“伝統”なんて言葉に置き換えるわけだけど、もしかしたら、『そんな事はわかってんだよ!Y染色体の話にしておけば、ややこしくならないものを・・・・』とお叱りのコメントでも頂けると、私の“藪睨み”も満更でもないって事になるんだけど・・・・。


今、教科書的には、“父から受け継ぐ遺伝子”と“母から受け継ぐ遺伝子”のどちらか一方だけが使われるって話では、刷り込み(インプリンティング)って言葉を使って、X染色体で説明されている。

X染色体は一つあれば人間として必要十分であり、二つある女性の場合、男の2倍の遺伝子が働いちゃったんでは都合が悪いから、細胞の一つ一つでどちらか一方が働かないようにされている。60兆個の細胞の一つ一つで、ランダムにX染色体が機能しないようにインプリンティングされているわけだ。(女性の場合、がん組織の検査でこの理屈を使う事がある)

見分けがつかないからランダムなのか、見分けはつくけどランダムなのかはわかってはいないが、もし、父由来の遺伝子なのか母由来の遺伝子なのかがわかるなら、性染色体に依存しない遺伝的不具合で、父方からの遺伝で酷くなる理由となりうるし、X染色体以外でも(染色体丸ごとって訳じゃないけど)、父方と母方の遺伝子の使われ方が違うものがあるという説明になるんじゃないかな?

と、私は、ひそかにこんなことを考えてたりします。表向きには“伝統”の一言で済ませたいですけどね!

父方から遺伝を重ねると、塩基のリピートまで重なる・・・・・ってのは、なんかあるのかねぇ!?(あっ、ちょっと具体的すぎですか??)

| | Comments (0)

同じだが、違うように(Same But Different)

20080704_same_but_different結果はおなじだが、そこに到達するまでの過程が違うなら、特定の過程を経る結果の出し方に偏るのは、世の常なのだろう。

結果が同じアミノ酸とはいえ、コードするコドン(三つ組塩基)の段階では、mRNA の三次元構造は異なる場合もある。

となれば、結果が同じとは言え、やりやすい方法を取るのは想像に難くない。あるいは、前後の塩基との関係から、キモとなるコドンの変異の確率も変わってくるだろう。

結果が同じでも、磐石なのか脆弱なのかって問題に繋がる。

Science June 27, 2008, Vol.320

遺伝暗号は本質的に冗長性であって、同じアミノ酸を同義のコドンがコードしている。

与えられたアミノ酸をコードするのに特定のコドンがどれだけ頻繁に使われているか、という条件では、あるレベルでの偏りが進化してきた。

というのも、前後関係を考えると、特定のコドンの使用が、転写されたRNAの二次構造あるいは翻訳に影響を与えるからである。

同様に、同義のコドンが互いに対になる多くの方法も特定の偏りを示していて(おそらくは同じような理由から)、これはコドン-対のバイアスとして知られている。

Colemanたちは、ゲノムレベルでの同義コドン対の偏りが系の生物学にいかなる影響を与えているかを探求している(p. 1784; またEnserinkによるニュース記事参照のこと)。

ポリオウイルス・カプシドタンパク質のDNA配列を再コードするように1つのアルゴリズムが設計されたが、これはもとのアミノ酸配列を維持しつつ、低比率あるいは高比率のコドン対を担うように再コードされた2種のキメラ系統のウイルスを産生するものである。

後者においては境界性の効果が見られたが、低比率のコドン対を担うキメラウイルスは、翻訳を減らし、細胞に感染することもあまりできず、マウスにおける病原性を減少させる結果を示したのである。

Virus Attenuation by Genome-Scale Changes in Codon Pair Bias
p. 1784-1787.


結果の質を担保するものが、一般論としてはあるのだが個別に論じたり判断したりする事が“タブー”となる場合、全体として、結果は達成できたけど『人の生活は何も変わらなかった』って事になる可能性は大きい。

その場合、同じ結果を得るための方法の違いによって質が担保されるのなら、十分考慮すべきだと思うのだが・・・・・。医療の問題に関わらず。
 
 
 
1年程前のエントリー『がん細胞自殺の仕組み解明 山形大、新治療の可能性も』で“尻切れトンボ”になっていた、HIF-1 と(ミトコンドリア)電子伝達系との接点なんだけど、免疫との繋がりから、何かが解りかけている?!

地球上に真核生物が誕生するにあたって、ミトコンドリアと古細菌の共生が有力視されている。エネルギー効率の面のみからの考察では、必然性に説得力は無いのだが、進化とは、得てしてそんなものかもしれない。

細胞のサイズを大きくすることが出来たのも、外界と界面を膜だけ(細胞壁を脱ぎ捨てた)にした為で、おまけに運動能力も獲得できた。その結果、エネルギーを自ら生み出さなくても、周りの生物を貪食すればOKってな具合に。。。。

どちらか一方が優れているなら、現在生きている生命体はどちらか一方に収束したはずだが、そうでないのは、一長一短があるからなのだろう。そして、お互いが独立している事もあれば、片利共生もあり、相利共生もあり、簡単に言葉には出来ない。

免疫:低酸素状態と自然免疫の古くからの結びつき

Nature vol.453 (7196), (5 Jun 2008)

いくつかの証拠から、進化的に古い2つの細胞防御機構である自然免疫と低酸素応答の間にはつながりがありそうだと考えられている。

今回、単一のタンパク質が両方の応答に不可欠であることがわかり、この結びつきが実証された。

低酸素状態に対する細胞応答は、低酸素濃度によって引き起こされ、低酸素誘導性因子-1α(HIF-1α)によって制御される。

新しい研究で、自然免疫応答の主要な調節因子である転写因子NF-κBが、このHIF-1αの転写を調節していることが示されたのである。

Letters to Nature p.807


遺伝子を核膜内という箪笥にしまって、多細胞化とエネルギーの効率化を求めた結果、多細胞生物は遺伝子の乗り物になったわけだ。乗り物はやがて老朽化する事を前提に。


多民族国家が最低限のレベルで巧くやっていく為には、結局はみんなが納得する“法”に頼らざるをえない。思想・心情・宗教・道徳心に頼っていてはダメだ。思想・心情・宗教・道徳心は生活の質を高める事は出来たとしても。

そして、法を守らない者は、処刑される。


人間の体を構成する細胞のうち“法”を守らなくなったのが“がん細胞”だ。

遺伝子を次世代に繋ぐ為に、その乗り物は、ある期間を過ぎたら処分されなければならない。その為のシステムを、多細胞生物はミトコンドリアと古細菌が共生始めた頃から後、その仕事をミトコンドリアに任せた。

“がん”は一言で言えば、ミトコンドリアの機能を引き出せなくなった状態と言い換えることが出来る。アポトーシス(細胞の自殺)を実行に移せるのはミトコンドリアだけだからだ。


前半は、抽象的な表現で“質”を問題にした。

現代医学は“がん”を治療する為に色々な方法を考え出したが、決定打に至っていない。

細胞の核の中にある“遺伝子”とミトコンドリアの遺伝子は、『物差しで測れば距離は近いけど、その距離は現代医学をもってしてもたどり着けない程、遠い』と言えるのだろう。

それ故、“質”を問題にするのは、なかなか難しい・・・・。

| | Comments (0)

終末期相談支援料凍結と『24 -TWENTY FOUR』

20080628_prison_break3ヶ月で機能しなくなった制度をとやかく言うつもりはない。こういう議論の中で、必ず出てくる『延命治療の是非』と言う言葉が気になっている。

この言葉が出てくる時、必ず延命という行為を一括りにして『延命治療の是非』を問おうとするのだが、いつも“違和感”を感じている。

本来なら、ケースごとに治療法が変わるのが当たり前だが、この延命対象に限っては、ケースごとの方法を想定していない。


延命治療を受ける人が、どういう状態にあるかを分けることって、タブーなのだろうか?


私は不快に感じる人がいるのを承知で、敢えて厭味な文章を書くことが多いのだが、はっきり言って、この問題は、さっぱりわからない。

どっちにしても死ぬ人間(死が避けられない人間)という事で、それを区別する事は“人道的に”とか“道徳的に”『いかがなもの?』と言う事ならば、なんとなく解らないでもない。がしかし、それにしても以下のよう大雑把に別けて考えてみても、それぞれのケースで、私の中では別の答えが導かれる。

十把一絡げで『是非』を問うてみても、答えなんか出るわきゃないじゃんって思うんだけど・・・。

■延命される当人の意識の有無
 ◎無しの場合
 ◎有りの場合
    2ヶ月の命を4ヶ月に延命する場合
     1.ベッドに寝たままのケース
     2.普通の生活が送れるケース

■医療費の支払われ方
 ◎公的資金
 ◎自費

もしかしたら、みんながみんな、『答え』は出したくないから、十把一絡げで『是非』を問うてるの??


Pharmacogenetic Association of the NPPA T2238C Genetic Variant With Cardiovascular Disease Outcomes in Patients With Hypertension』や『Interactions Between Secondhand Smoke and Genes That Affect Cystic Fibrosis Lung Disease』などを読んでもらうと、どなたにもよくわかると思うが“オーダーメイド治療”の実現は難しい。

降圧薬の有用性に影響する遺伝子多型を調べているのだが、取り上げる遺伝子が一つでは、統計学的な微妙な差は得られても、日本刀でズバっと切れるような痛快な結果は得られない。(しかも、影響するであろうと目される遺伝子を、どれだけ列記できるのか?という次元の問題もある)

『高血圧管理の最終目標は合併症を少なくすることであり、血圧値を下げる事ではない』とは良く耳にするフレーズだ。

血圧が高いという“現象”を降圧薬で下げようとしても、たった一つの遺伝子の影響すらうけるという事は証明されたわけだが、しかし、たとえ遺伝子型とマッチしする降圧薬を選択したからといって合併症の発症頻度は下がるのかというと、そういうわけではない。さらに、マッチしない降圧薬を用い増量で無理やり下げるた場合はどうなの?に答えは無い。

遺伝子は他の遺伝子に影響を与えているのだから、考えうる組合せを考察せねばならないのだが・・・。

また、嚢胞性線維症のように単一遺伝子疾患でさえ、疾患の表現形が多彩なのは、よく指摘される所だ。

遺伝子の発現に環境(生活習慣、生活環境、社会的環境、、メタゲノム、、その他考えうる全ての環境)の影響が大きい事の証明だ。
 
 
 
日本の歴史教育の頓珍漢は指摘されて久しい。頓珍漢を是正する為には、自虐的歴史観と弱腰外交に切り込む必要があるのだが、難しい。

歴史の専門家でない私でも、因果を逆に辿るのが過去を理解するのには必要だと知っている。

だとすれば、遺伝子多型の知見を臨床に応用するなら、多様な環境で生活する人の中から、老衰で死亡した人の遺伝子をサンプルにして標準を作り、この環境で生活するには、この遺伝子のタイプが理想って指標を作ればいい。歴史を逆に辿るのとおんなじだ!

でも、人間はこんな事を知って幸せになれるとは“本能的に”思わないから、やらないんだろう。っていうか、考慮する組合せが地球上の人口ほどにもなり、事実上意味がない。

もしかしたら、『答え』は出せないって解ってて、でも、権威筋はそれを認めることは沽券に関わるから、一生懸命、答えを探っている(遺伝子から解る事を搾り出したい)??大衆はそんな理由を知っていようがいまいが“奇跡”を信じたい??
 
 
 
イキナリ、身近なお話。

某メーカーの医薬情報担当者との会話。

『アスピリンの30倍もする値段で、30倍のメリットがあんのかい?』と私。
『作用機序が違いますから!』とメーカー。
『それって、血小板ADP受容体の抑制による cAMP 濃度の減少抑制と cox1 阻害の差の事、言ってンの?』と私。
『いえいえ、血小板の活性機構に関わる GPⅠb,GPⅡb/Ⅲa とか vVW などが絡んだずり応力による血小板活性化の機序は“アスピリンは無力”なんですけど、わが社の製品では・・・』とメーカー
『その違いは、生理的な出血に対する血小板の活性化と病的な血小板の活性化を、完璧に区別出来んの?』と私。
『いえ・・・・・、差は微妙です。』とメーカー。

『ダメじゃん』と私。
 
 
 
解らない事を『解らない』、出来ない事を『出来ない』と正直に言ってしまう事は、どうやら、日本の世の中ではタブーらしい。

不明(遺伝子多型)な原因で死の恐怖に脅えて暮らすより、『原因は高血圧だ』と犯人が解ってる方が安心して暮らせるのは、凶暴犯の出所後の所在を明らかにしてくれるアメリカの制度をうらやましく感じる事から、本能的にわからなくはないんだけどけど・・・。

でも、その為に、議論の遡上に乗せる事自体が、出来れば避けたいしって思っている事は、的を外した議論(犯人のでっち上げも含む)で誤魔化す事が、大人の処世術なのだろうか?
 
 
 
アメリカのテレビドラマ『24 -TWENTY FOUR』見ると、そういう意味では日本人は大人でアメリカ人は子供だ。。。。。。

一人しか救えない局面で二人の人間がいる場合、一人を選択するのがアメリカ人。
一つしか選択できない局面で二つの選択肢がある場合、一つを選択するのはアメリカ人。

でも、日本人は大人だから、どんな時でも二人を救って二つを選択する道を熟考する。

『100%死亡する。助かる見込みはない』をはっきりと言う事をタブーにした為に、消費税を上げなければならないとしたら、消費税を上げなきゃならない原因が、無駄な医療費によるものだとしたら。。。。。。

今の医療費が適正で適切かどうかを議論の遡上に乗せることは、どうやら、タブーのようだ。

| | Comments (0)

大腸菌の予見性(Foresight Among E. coli)

20080613_essay大腸菌の“だいちゃん”は、町をブラブラしていたある日、事件に遭ってしまった。そう、特殊生命体“NINGE - N”に飲み込まれてしまったのだ。

すわ一大事。

だいちゃんは咄嗟に危機管理マニュアルを思い出し、戦闘モード、もとい、嫌気性モード、すなわち酸素が無くても生きていける状態へ、体を変化させたのだった。これで、“NINGE - N”の暑くて息苦しくて、生き地獄の“大腸”の中でも“勝ち組み”に入れるだろう。。。。。


しかし、脳みそのない“だいちゃん”は、どうしてこんな“危機管理”が出来るんだろう????フシギ・・・・・。

大腸菌の予見性(Foresight Among E. coli)

Science June 6, 2008, Vol.320

自然界では出来事の予兆は多くの場合、容易に予想できる順に起きる。例えば、バクテリアは食べられると、急激な温度上昇と、それに続く酸素レベルの低下を予知する。

Tagkopoulosたち(p. 1313, オンライン発行の5月8日号、および、Baligaによる展望記事参照) は、コンピュータシミュレーションとケモスタット実験によって、大腸菌(E. coli)が持つ予測能力を調べた。

大きな温度差に晒すと、18%の酸素濃度の環境においても、大腸菌は好気生活 モードから 嫌気生活モードに切り替えた。

これは一見適応不順のように見えるが、嫌気性になった細菌は、酸素が不足している腸の奥底でひしめき合う微生物に遭遇するや否や、生存競争上で有利となることを意味する。

さらに、著者たちは細菌を訓練して、高温の後、酸素濃度が高くなるような「細菌にとっては不自然な」順序に適応させたと述べている。

Predictive Behavior Within Microbial Genetic Networks
p. 1313-1317.
SYSTEMS BIOLOGY: The Scale of Prediction
p. 1297-1298.


お隣、韓国ではアメリカ産牛肉の輸入再開で、大統領が大ピィ~ンチ。でも日本では、一部のファンが熱烈大歓迎。

所変わって病院では、ちょっと体がだるいと言って、血管に強制的に薬液を送り込む行為も、日本の大衆は大歓迎。

脳みその無い大腸菌のだいちゃんは、確かに危機管理マニュアルを持っている(ように見える)。。。。


ということは、脳みそは、危機管理に関係しないのだろうか????
 
 
 
毎朝、自宅から駅までの通勤路での風景。。。。

歩きながらタバコを吸い、終われば道端にポイっての輩が、一匹、、二匹、、三匹。そこはスクールゾーンの筈だが、猛スピードで走り抜ける車が一台、、二台、、、、、十台。

それを眺める私、雨の日は、すれ違いざまの車に雨傘の骨を折られ・・・・。

日曜日に買い物に行けば、駐車場の障害者スペースから元気良く降りてくる親子連れ。

バーチャルな世界を散歩すれば、あやしい“薬物”や“武器”の販売店が軒を連ねる。。。それに群がるお客さん。

ラットにおいては、『側坐核におけるドーパミン受容体の減少を伴っているある衝動性の行動形質が、強迫的なコカイン使用および嗜癖へのスイッチとして予測できることを示している』のだそうだ。タブン、ニンゲンでもそうなんだろう。

衝動から強迫へ(From Impulsive to Compulsive)

Science June 6, 2008, Vol.320

衝動性と興奮の追求における個体差は、薬剤の使用および乱用に関する脆弱性と関係している。

強迫性のコカイン使用は、不適応的な習慣の学習についてのトップダウンの遂行制御の失敗からくるものだと考えられてきた。

しかしながら、薬剤中毒者にみられる増強された衝動性が、強迫的な薬剤使用の開始に先立つのか、薬剤にさらされた後の結果なのかは、はっきりしていない。

Belinたちはこのたび、ラットにおいて、側坐核におけるドーパミン受容体の減少を伴っているある衝動性の行動形質が、強迫的なコカイン使用および嗜癖へのスイッチとして予測できることを示している(p. 1352)。

High Impulsivity Predicts the Switch to Compulsive Cocaine-Taking
p. 1352-1355.


生物学的に“生きていく事”に不利にならない変化は、淘汰圧に負けない。

行動形質に影響を与える脳の多様性は、“正常”、“異常”、“境界型”のように明確な区別があるわけじゃなく、変化の程度と頻度は淘汰圧のフィルター後は正規分布にしたがうものと思われる。

転写制御因子の二重生活が明らかに(Transcription Factor's Double Life Exposed)

Science May 30, 2008, Vol.320

転写制御因子MeCP2(メチル-CpG結合タンパク質2)における変異は、自閉症、軽度な学習障害、精神遅滞など幅広い神経行動学的異常の原因となる。

MeCP2は、脳内の少数の標的遺伝子の発現を抑制することにより制御していると広く信じられてきた。

MeCP2を欠いた、あるいは過剰発現するマウスモデルに対してマイクロアレイ技術を適用することによって、Chahrourたちはこのたび、この転写制御因子が視床下部だけで2000にも及ぶ遺伝子を制御していること、またMeCP2が実際にそれら遺伝子のおよそ85%の発現を活性化しているらしいことを発見した(p. 1224; またCohenたちによる展望記事参照のこと)。

MeCP2がそんなに多くの遺伝子を制御しているという発見は、MeCP2関連障害の治療方針として個々の遺伝子標的の機能の修正よりも、神経機能の回復に焦点を当てるべきである、ということを示唆するものである。

MeCP2, a Key Contributor to Neurological Disease, Activates and Represses Transcription
p. 1224-1229.
MEDICINE: Activating a Repressor
p. 1172-1173.


 
 
しかし、人間社会のもろもろの前提は、“正常”、“異常”、“境界型”なんだよなぁ。。。。。
 
 
 
最近、『個人的観点から物事を論じた散文』ってカテゴリーが気に入っている(表現も気に入っている)。なんの事はない“エッセイ”ってやつだ。最近まで生きてきて、読んだ事のないカテゴリーだったから、どんなものなのか知らなかった。

エッセイ・・・なんとなく、響きはカッコイイ。。。そして、オシャレ・・・。う~ん、『エッセイが好き』なんて言ってみたいっ。

でも、エッセイって何なんだろう??(理系脳の悲しい性か、定義をしらないと気になってショウガナイ)

で、調べたら、『個人的観点から物事を論じた散文』って事だった。


---あんまり、かっこよくないなぁ、、オシャレでもないし---


で、言いたい事を半分以下(私の場合は1/10以下)に抑えて、タンタンと書けば“エッセイ”っぽいものが出来上がる。(エセ“エッセイ”なのか?)

俳句ほどではないにしろ、そこにはレトリックのお手本が詰まっている。それに、抑えた分、読み手の想像力が書き手の考えを超えてくれる・・・。


というわけで、今回は、エッセイ風に書いてみました。(でも、エッセイに引用は、、、ないよなぁ)

| | Comments (0)

代理エンドポイント

20080610_endpoint『代理エンドポイント』、、、は一般の方にはなじみのない言葉かもしれない。

わかりやすい例をあげると、、、

製薬メーカーが新薬承認申請の臨床試験を行ったとする。その効果が統計学的に示せないと承認はおりない。。。。例えば高脂質血症治療薬の場合は、心筋梗塞や脳卒中の発症抑制に判定基準が置かれる。この基準をエンドポイントと呼ぶ。

エンドポイントの判定結果が思わしくない場合、メーカーは代理エンドポイントを用いて、有用性を示そうとする。

この場合、LDL-コレステロールの低下作用が代理エンドポイントだ。

LDL-コレステロールの低下作用があれば、心筋梗塞や脳卒中の発症が抑制されるという“世の中の常識”があるが故のポイント設定だ。

代理エンドポイントで承認を得た医薬品は、実際の有用性(この場合は心筋梗塞や脳卒中の発症抑制)がどうなのかを市販後調査で明らかするよう求められる。。。。


なんどかネタにした ENHANCE 試験 では、代理エンドポイントで承認を得たエゼチミブが、市販後調査で実際の有効性を示そうとして失敗してしまっただけでなく、『コレステロールの低下作用があれば、本当に心筋梗塞や脳卒中の発症が抑制されるだろうか?』っていうコレステロール神話そのものの信憑性をも再評価?させる、大変、有意義な結果となったわけだ。もっとも効果が出そうな(メーカーに都合がよい症例)FH のヘテロ型を選んだにもかかわらずなのだから、、、、、、笑っちゃう。


つまり ENHANCE 試験 によって、LDL-コレステロールを低下作用させても、心筋梗塞や脳卒中の発症は抑制されない。という事が、図らずも、大規模臨床試験で証明されてしまったのだ。(藪をつついてヘビどころじゃない)

現在、世界中で大量に使われていて、多少は効果のある(NNT100以上だから威張れたもんじゃないが)スタチン系薬剤では、どうなんだ?コレステロールを下げるから効いてるんじゃないのか?ってことなんだけど、、(スタチン系の薬剤開発のおかげで、肝臓のLDL-C 受容体は発見されるし、脂質代謝の解明に多大な貢献をしたんだけど、結局、人類は見たいものを見ていた・・・って事なのだろう)

それは、コレステロールの低下作用がその効果の本態ではなく、中間代謝物であるファルネシル酸の合成低下による細胞内シグナル伝達を抑制する事に、その効果があったのだ・・・・と考えるほうが良いのかも知れない。まぁ、Ras系抑制っていうコレだって、そのうち他の機序にとって代わられるのかも知れないけど・・・・。


とすれば、今までの我々の思い込みはどうなっちゃうのだろう??

一般の人、隅々まで、『コレステロール=悪』は浸透している。しかも、病名自体が“高脂質血症”と脂質が高い事が原因で、下げれは全てOKであるかの誤解を与える名称だ。

そして、その“誤解”に便乗して、世の中は回っている・・・・・・・。真実をさらしても利益のある人はいない。薬にもならなきゃ毒にもならなければ、なおさら・・・。

この ENHANCE 試験 をマスコミが取り上げる事は無い。新聞各社も記事にはしない。真実は葬り去られる。
 
 
 
俗世間での代理エンドポイントは、『成績優秀』『高学歴』『一流大学卒』あたりかもしれない(そうじゃなければ、国Ⅰ試験なんてやってない)。霞ヶ関の住人達は、代理エンドポイントで承認されたんだけど、市販後調査は行われた訳じゃないみたいだ。まぁ、タクシーがどうとか、そんな事はどうでもいいけど。


秋葉原の通り魔は、青森時代『成績優秀』だったそうだ。いやいや、そればかりじゃない、ほとんどの犯罪者の過去は『成績優秀』『勤勉』って報道される。(意図がよくわからんが)

死刑廃止論者は、日本人は生まれつき“悪いヤツはいない”という“思い込み”が根拠となって、理論武装している。


こういう思い込みに便乗して、、、、ってのは、『コレステロール=悪』となんら変わるところがない。


ところで、妊娠中の服薬に関しては、催奇形性や胎児毒性を考慮するわけだが、この胎児奇形、薬を飲まなくても起こりうる。自然発生率は1~3%とも言われる。

日本人、、、日本では身体的障害をもって生まれる場合、『0か100か』って思い込んでいる人が圧倒的だと思う。それが顕著であれば一般市民生活から“隔離”し、軽度であれば先天的な障害だとは“認識”しない。(だから、1~3%の数字が実感できない)

そして、自然発生率の1~3%は、なにも首から下の身体で起こるわけでなく、脳にも同様の確率で奇形を生み出している。(奇形というより多型なんだけど・・・、いわゆる“知恵遅れ”とは違ったフェノタイプであるところが、感覚的に催奇形性の範疇に含めない所以だろう。催奇形性という言葉の“奇形”の定義も確立されていないのに。)

事実は、“知恵遅れ”以外に“凶悪な犯罪を犯す脳”の持ち主が、一定の頻度で世の中に存在するということである。

だがら、今も昔も、一定の確率で、凶悪犯罪が生まれる。これは、社会が悪いわけでも、小泉元首相が悪いわけでもない(苦笑・・・こんなこじつけをする人がいるんだよね)。

そして、これは、誰にも止められない。出た芽を粛々と刈り取るしかないのだ。(そういう意味で鳩山法務大臣はエライ!!)

しかし、世の中、脳の奇形(多型)を語ることはタブーだから、話がややこしくなってしまう。


世の中に“正常”の定義など存在しないのに、“正常に生まれてきた人”はみな生まれながらでは“善良”な人格であるという思い込み(思いたいという願望かもしれないが)が代理エンドポイントのような位置付けになってしまっているのだ。

犯罪心理学者や臨床心理士、精神科医などが一生懸命知恵を絞っても、再発防止に何の役にも立たないことは、そもそもの前提、すなわち“性善説”の上に、ロジックを組み立てているところにある。。。。。砂上の楼閣よりもっとヒドイ、基礎のないところに建物を建てているからだ。


ズームイン・スーパーの解説員、橋本五郎氏の昨日と今朝のコメントの違いが、それを如実に物語っている。

昨日、氏は『最近、治安が悪くなった』と言っていた。
今朝は、『昔から凶悪犯は居て、治安は変わりないけど、庶民が悪くなったと感じる事が問題なのだ』と。(悪くなったと感じさせている張本人がマスコミだろって突っ込みはおいとこう)

昔から変わらないのは当然!脳の奇形の発生率が変わっていないんだからね。

それを、認めたがらない所に、全ての“ちぐはぐ”の原因があるといえるんじゃないのかな。

犯罪者の脳は、事前に調べてわかるものじゃない。だから、予防的逮捕は出来ないし、これをやったら差別である。しかし、犯罪を犯した者の処遇(処罰)は、事実の正しい認識の上に立てば、正しい方法はある。死刑にするか、死ぬまで身柄を拘束する事である。これは、犯罪者を差別する事には繋がらない。

強姦殺人だったり猟奇あるいは無差別殺人だったりという犯罪を犯す“脳”の持ち主の再犯率の高さが、犯罪と脳の関係を如実に証明しているのだが、人を差別するというレッテルを貼られる事を恐れからか、誰も言いたがらない。そうじゃないのに・・・。

犯罪者の脳以外に答えを求めても、意味は無く、矯正とか教育なんてものは意味をなさないのだが。。。。。(脳の奇形頻度と程度は正規分布に従うだろうから、強姦殺人や猟奇殺人を犯した犯罪者の中にも、現行制度によって再犯抑止される個体も居るだろうけど、これは矯正ではないよなぁ・・・)
 
 
 
しかし、大上段から眺めてみると、、、、

この“思い込み”ってのは、人にとって、良い面と悪い面とがあり、良い面は人が生きていく上での方便、あるいは自己欺瞞になっているのかもしれない。(LDL-コレステロール、真犯人がわからないよりは、そうであるって思っているほうが精神的に安心だし)

医療用針の使い回しが取り上げられて、某病院がスケープゴートになったが、業界ではあの事件を受けて、感染の危険がない使用方法だったとしても、誤解を恐れてか、医療用針の受注が跳ね上がっているという。

世の中、一般大衆は『まさか、医療機関に限って・・・・』と、思っているだろうから。でも、この『まさか・・・』を暴いたとしても、誰の得にもならない。『知らぬが仏』じゃないのかなぁ。不信感が先行する世の中は、まさに中世ヨーロッパみたいだ。

医療不信に学校不信、医師不信に教師不信、、、、不信感を蔓延させているのは、テレビ朝日“報道ステーション”などが筆頭なんだろう。(自民党に無期限出入り禁止をくらったのには笑ったが)

本当に知らせなきゃならない事実には触れもせず、どうでも良い事を暴いてみて、人々に不信感を植え付ける。そして、正義の味方を気取る・・・・・。もしかしたら、恣意的ではなく『知る者は言わず言う者は知らず』なのかも。


だめだ、コリャ!!(ドリフのコントのノリで)

| | Comments (0)

インフルエンザが寒い時期に広まる理由

20080604_influenceNature Chemical Biology オンライン版にこんなものが発表されていた。NIH の研究者らによるものなんだけど・・・・・(MMJを読んで知った)

要旨は『ウイルス核酸を覆っている蛋白の殻は、低温下で硬い弾力のあるゲル様になるため感染できるが、気温が上がると液状になり、感染力が失われる』というもの。

ウイルスエンベローブは脂肪やコレステロールなど脂質を含む分子であり疎水性だ。外気温が寒い時は、形を保っており、それがヒトの気道という暖かい環境に移行して“やわらかく”なる事で、気道粘膜のレセプターとくっ付くことが可能となる・・と。

だから、気温が上昇すると、ヒトの気道に到達する前にやわらかくなってしまって、形を保っていられない・・・・・・、暖かくなってインフルエンザのシーズンが終わる・・・。


---なるほどねぇ---

---ん?・・・まてよぉ?---


ってことは、ハワイじゃ、ほとんどインフルエンザは発症しないのか???

気になったので調べてみたんだけど、ハワイでインフルエンザが無いって話は Web では見つけられなかった。それどころか、今週号の Nature[ vol.453 (7195), (29 May 2008)]には、こんな論文が、、、

インフルエンザウイルスは熱帯生まれ

Nature vol.453 (7195), (29 May 2008)

米国でのインフルエンザワクチン作製用ウイルス株の選択について進行中の議論からはっきりしたのは、インフルエンザウイルスに関する疫学的な解明の必要性である。

1,300種を超えるA型インフルエンザウイルス単離株のゲノム配列解読から、このウイルスの進化には、遺伝子の頻繁な再集合と時折生じる強力な選択の組み合わせという特徴がみられることがわかった。

疫学的にみると、H3N2型とH1N1型というサブタイプの動態は、おそらく熱帯地方に存在する持続的なインフルエンザ供給源から定期的に抗原変異体が出現し、これが温帯地域の受容集団へと移行するという生態学モデルに従っている。

Articles p.615


おいおい、インフルエンザウイルスは、暖かいと感染できないんじゃなかったのか?それとも、原始的なインフルエンザウイルスは暖かくてもエンベローブの形を保つ事が出来、今、日本で流行を繰り返すタイプとは、別物ってことなのか??


う~~~む、どうも、私にはよくわからん!

わからんついでに、もう一つ。地球が温暖化して日本が亜熱帯になったら、インフルエンザの流行は小規模になるのだろうか??

それとも、インフルエンザウイルスの適応速度(遺伝子の変異)は温暖化の速度に勝るのだろうか??インフルエンザウイルスのポリメラーゼはかなりイイカゲンで、インフルエンザに罹患しているヒトの体内にいるウイルスでは、厳密なクローンは1個も存在していないって位だから、やっぱ、変異速度の方が速いのかなぁ・・・・。


温暖化といえば、エコ!

でも、最近、この“エコ”は“人道的”と同様に、恣意的な使われ方をするようになったと感じている。

結局は一般大衆の理解不足を突いた“詭弁”なのだが、頭のいい奴らにとっては赤子の手をひねるも同然なのかもしれない。

タバコを嫌う風潮が急速に蔓延したのと同様、非エコな行動が嫌われる風潮も急速に浸透しつつある。

ほぼ2年前のエントリー【バイオエタノールって、何で CO2 フリーなの?】では、ある意味、自分は問題意識をもってるんだぞってポーズで『私も、その頃までには、地球にやさしい車に乗り換えなくっちゃならないと考えている。』なんて書いている。正直言うと真剣味はなかった。一人で排気量 4,400cc のエンジンから CO2 を撒き散らしながら走っていても、ほとんど罪悪感もなく、トロイ車を睥睨すらしていた。

しかし、最近では、少しずつではあるが、本気で地球の環境を考え始めている。。。。のだが、世の中(マスコミ)の『非エコは罪悪』とでも言いたげな姿勢は、本気で考え始めている気分を、かなり阻害する。

これじゃ、自発的にエコを考え始めた人達の立場はなくなる。まるで、マスコミに教えてもらって気づいたみたいな感じだからね。

マスコミは“ネタになる”って感じたことはトコトンしゃぶり尽くさなきゃ、気がすまないらしい。

2年前の自動車雑誌には、エコに関する記事なんて、ほとんど無かった。しかし、今ではどうだ。2年前には想像できなかったくらいのボリュームだ。


人は押し付けられて、自らを省みる事は無い


マスコミ(出演しているコメンテーター)が“エコ”だの“人道的”だのと叫べば叫ぶほど、自発的な(純粋な)心の芽を摘む事になるのだ。

ただ、タバコを悪者に仕立て上げる事で、逆に頑なになって吸いつづける人が増えるんじゃ・・・・なんてのは無かった。結局、どっちでもいい事に対しては、世間の流れに身を任せる人が多い事の証明かもしれない。

エコや人道的って事を深く考えない正規分布の中央の人たちには、マスコミの“やり方”でOKなのかも・・・・・・。

でも、こんなことを続けていれば、モラルは低下する一方なのは明らかだけど・・・・。 
 
 
というわけで、私は、また性懲りも無く、非エコな480馬力の車を購入したのだが、この行動の原因がマスコミにあるということの布石のエントリーだということは、指摘される前に晒してしまおう。。。。。(苦笑)

| | Comments (0)

公平性の判断は所詮エゴ

20080530_equality結果の平等を求める主張ってのは、結局は当事者のエゴなのだが、このエゴを軽く扱うと政治家は政治生命が絶たれるから、話はややこしい。

しかも、結果の平等の実現が社会正義である為には、その不平等が努力しても報われないという社会構造が前提となっていなくてはならないが、現実は、当事者の努力不足が主たる要因であることも、話をややこしくする。これを突き詰めると、ニート(とそれに準ずる人達の)差別はやむなしとなってしまうからだ。

親切か公平か(Kindness or Fairness?)

Science May 23, 2008, Vol.320

希少な資源の割り当ては、グループ全体にとって最大の利益になるようになされなければならず、グループのメンバー個々に対してできる限り公平でなければならない、と提唱するのはたやすいが、この2つの目的が同時に最適化できないとしたら、どうすればよいのだろう?

 Hsuたちは機能的脳イメージングを用いて、このジレンマを解決するためではなく、一方の視点(たとえば、平等を優先する)を他方(効果を最大にする)よりも支持する際の根底にある認知および情動のプロセスを調べた(p. 1092、5月8日オンライン出版; また5月9日のMillerによるニュース記事参照のこと)。

報酬のコード化に関与する脳領域は総利得の計算にも関わっているが、一方、公平さと有用性の均衡を図ることは、情動の処理を行う神経系に結び付いている島(insula)の区域で行われているらしい。

つまり、公平性の判断というものは、純粋な合理性ではなく、情動をベースにした優先度に由来しているのである。

The Right and the Good: Distributive Justice and Neural Encoding of Equity and Efficiency
p. 1092-1095.


『公平性の判断というものは、純粋な合理性ではなく、情動をベースにした優先度に由来している』というのは、上の写真のケース以外にも、自分と比較する対象(自分の周り)に、自分とは収入の違う人が存在しなければ不公平だという“不満”は顕れないという事でも、よく理解できると思う。(ビル・ゲイツと比較して不満を言うやつはいない)

人間、みな平等、人類はみな兄弟、、、、って言ったって、日本人は日本以外の貧しい人の人を、実生活で感じているわけじゃない。カンボジア、アフガニスタン、、、、、それらの人と比べたら、自分たちを平等に扱われていないなんて“不満”は顕れないのではないか?

人間、みな平等なんて“お題目”を唱えるなら、かの国の人たちも救わなきゃ・・・ねぇ?


学歴という身分制度の弊害は、学校の成績が実社会における仕事の能力に比例しないにも関わらず、その雇用に際しての機会が与えられないところにあると言う言葉を聞くことがある。
しかし、仕事の内容によっては学校の成績がものを言うのも、また事実である。


十把一絡げで“総括”できないような問題は、やはり個別に考えるべきなのだろう。世論を動かすのは、それこそ、グループ全体にとって最大の利益を失する事になりかねない。


さて、話は変わって、この“お題目”という言葉だか、日蓮系・法華経系の宗教団体などにおいて勤行の際に用いられる「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」の文句のことを指す言葉だと知る人は、少ない。ちなみに“念仏”とは、浄土教系の宗派教団において、勤行として「南無阿弥陀仏」と称えることをいう。

「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」は“念仏”とは言わないのだ。意味も違う。

・・・まぁ、細かい事はどうでもいいけど、この道を極めた人は、他人と自分を比べる事はしない。(葬式仏教の坊主がどうかは知らないけれど・・・)


『自分は平等に扱われていない』なんて思い悩む人は、この道に入るのも、また、一つの方法なのだろう。

しかし、この道のなかには、お金をせびる所も存在するので、その選択も、なかなか、むつかしい。

| | Comments (0)

乳がんとマリファナ

20080523_marijuanaCB1R 以降のシグナル伝達を、BRCA1の生成物が影響を与えているらしい。

マリファナといえば、その生理作用は色々と発見されているが、乳がんとも関係があるのは、、、、よく、わかんないや。

この巨大な BRCA1蛋白質は、DNA修復、細胞周期制御、転写制御、アポトーシス誘導、中心体複製制御などと、多様な生理活性が知られているにもかかわらず、現在知られている生化学的活性は“ユビキチンリガーゼ活性”だけだという。

乳がんとBRCA1蛋白質との関係では、このN末端側のBARD1 との結合領域(このヘテロダイマーがRING型 E3 リガーゼとして機能する)に変異やDNA methylation などが起こり、機能しなくなると・・・・ってシナリオが考えられている。

マリファナと乳がんの関係では、BRCA1蛋白質のN末端側とはなんの関係もないのかもしれない、、、、まったく、よく、わかんないや。

神経突起成長のメカニズム(The Logic of Neurite Outgrowth)

Science May 16, 2008, Vol.320

カンナビノイド受容体1(CB1R)は、神経突起の成長を制御しており、中枢神経系の発達に重要な機能を果たしているだけでなく、いくつかの病気に関連して薬剤の標的ともなっている。

Bromberg たち(p. 903)は、DNA配列上の転写のプロファイル分析と、既知のシグナル伝達ネットワークのグラフ理論解析を併用して、CB1Rによるシグナル伝達の影響を調べた。

予想外だったのは、乳ガンの感受性遺伝子であるBRCA1の生成物は、 CB1Rが刺激した神経突起の成長の期間中、活性化された転写制御因子を制御しているらしい。

更に、BRCA1が枯渇すると、CB1R-刺激による神経突起の成長が実際に抑制された。

転写制御因子PAX6もまた、カンナビノイド シグナル伝達(cannabinoid signaling)に応答して制御されていた。

このような形式のネットワーク解析は、複雑なシグナル伝達の決定論理を決めるのに役に立つ。

Design Logic of a Cannabinoid Receptor Signaling Network That Triggers Neurite Outgrowth
p. 903-909.


良くわかんないといえば、国家予算ってのも良くわかんない。

一般会計と特別会計ってのがあり、それと消費税や所得税などと特定財源との関係は、まるで生体のシグナル伝達機構並に複雑だ。

今朝のズーム・インでは、ガソリン税は道路特定財源としてじゃなく、一般財源とし医療・福祉に使えるようにしたいと、桝添大臣は言っていた。ガソリン税の延長が決まった時には、冬柴大臣がありがとうと言っていた。これは道路造りに使える特別会計枠だから、冬柴大臣から感謝するのも納得がいく。だとすれば、桝添大臣は税金を医療・福祉に使いたいなら、一般財源にするんじゃなくって、厚生労働省の特定財源としなくっちゃ、思った通りに使えないのでは??なんて疑問が湧くのである。

私の乏しい知識では、一般会計分の予算配分は財務省が主導権を持ち、特別会計分は各省庁が主導権を持っているって認識だ。だから、一般会計枠に入れたんじゃ、財務省の権限により分配することになるんだから桝添大臣には権限はないんじゃないの?

そして、そんな仕組みが、国家の予算が民間企業の粉飾決算に相当するように思えてならないのだけど、それとも、私が根本的に認識を間違っているのだろうか??

一般会計と特別会計との重複では、例えば基礎年金を例にすると、基礎年金は3分の1が国庫負担で3分の2が保険料負担だ。年金保険料は特別会計の歳入となり、特別会計からの支出として給付される。この時、国庫負担分は、一般会計から年金特別会計に支出され特別会計の歳入となり(この場合、歳入って言うのか?)、年金の支出として支払われる。

このような一般会計の支出=特別会計の収入、特別会計の支出=一般会計の収入といった関係が民間企業で言うところの、分社化して粉飾決算みたいなものに見えてしまうのだ。

大企業の場合には、部門ごと収支決算を出すのは当然のことで、ある部門がものすごい赤字なのに、会社全体として黒字になるという場合、赤字部門の事業の見直しが遅れてしまうって事になるからだ。でも、分社化すると、ホリエモンのライブ・ドアのように、お互いに売り買いして、見かけ上、業績をあげ、株価を釣り上げて、、、なんてことも出来ちゃう。

国家予算で、こんなやりとりをするのは、なんか、誤魔化したいことがあるからなのか?なんて、下衆の勘ぐりも、当らずとも遠からずって事なんじゃないのか?

北海道医師連盟の 中川俊男 氏の『特別会計-真の国家予算を考えよう-』というコラムを読むと、一般会計の医療費30兆円がどうのこうのという言葉は、一体なんなの?って思ってしまうわけだ。


ほんとに、一体、なんなのだ??

年末の給与と一緒にもらう源泉徴収票に書いてある通り、日本人はみんな、手取り分以外は“税金(名目はいろいろだが)として納めている”わけだ。

この手取り分以外の納める金額の総合計って、いったい幾らなんだろう?

そして、一年間で使った後、幾ら残るんだろう?(当然、赤字なんだろうけど)


どうして、こんな簡単な明朗会計が出来ないんだろう??金の入り口と出口を一つの口座からってすれば簡単なのに・・・・。


だから、後期高齢者保険が問題にされるんだよっ!

マスコミは政府の説明不足って事で取り上げるけど、後期高齢者にこんなややこしい事言ったって、聞いてくれやしない。それどころか、最初から聞く耳なんぞ持っていないんだから、どんな制度を作ったって、反発されるに決まっている。

銀行口座の金の出入りを見せて、何処にどれだけかかっているかを見せてあげれば、一目瞭然!!後期高齢者だって、納得せざるを得ないんじゃないの??

それに、後期高齢者の苦情は、現場の我々にも降りかかってくるんだ。2年も前に決まった事なのに、今ごろ・・・。そして、説明を求められたって、上記にように私自身がよくわかっていない事なんて、人に説明できる訳がない。

『お金が足りないから』って言われたってねぇ・・・・。その足りない部分を明朗に示せっちゅーの!

マスコミは重箱の隅を突っついたり、揚げ足取ったりばかりじゃなく、老人だけでなく、こういうのに疎い私のような理系人間にもわかりやすくレクチャーしてもらいたいものだ。

| | Comments (0)

アマージ錠2.5mg

20080421_menstruation世の中、見かけが本来あるべき姿とかけ離れてしまった為に、、、見かけが本来ある姿を覆い尽くしてしまった為に、、、その事にデメリットしか感じられなくなってしまっている人の、いかに多い事か。

例えば、女性の月経。

タイトルの薬は、この月経に関連した片頭痛の治療薬として販売推進されようとしている薬なのだが・・・・・。


どうして人間には28日周期で、こんな煩わしいものがあるんだろう。。。。誰しもが思うことなんだと思う。そして、医療従事者も製薬メーカーも・・・・。


だけど、月経が人間の生存・繁栄に有利な生理現象として“進化”してきたわけじゃないことを知れば、上のように考える事が、ナンセンスだと感じられるようになるんだろう。

そう、人間が28日周期をに煩わされるようになったのは、文明が発達したつい最近のことで、それ以前では、人間は“動物”として、28日周期なんて事を気になんぞしていられなかったのだ。

その昔、女性は生殖年齢を迎えて、妊娠し、出産後、授乳を開始する。子供が成長するのに、だいたい母乳を3年与えたとすると、この間、女性に28日周期は訪れない。出産した後でも、授乳が必要な期間は、ホルモンバランスがそうなっているのだ。

知っている人もいると思うが、PRL(プロラクチン)が、乳汁を分泌させるためのホルモンで、妊娠後にはPRL(プロラクチン)の濃度が上がり、出産して授乳を開始すると、赤ちゃんのおっぱいを吸う刺激(乳首刺激)で、さらにPRLは分泌されるようになる。そして、PRLによって、排卵が抑制さる。

授乳から開放された女性は、再び妊娠可能な状態を取り戻し・・・・・また、このサイクルを繰り返す。

動物本来の機能というか、地球環境がホモサピエンスに求めたのは、このような生殖サイクルを円滑に遂行するスペックだ。決して、28日周期を繰り返す事ではない。

自然現象からすれば、28日周期を繰り返す事自体が、異常事態だと言える。

女性が出産しても、母乳を与えずにいると乳首刺激の欠落により PRL 分泌が減少し、エストロゲンが多くなり・・・・早々に28日周期を再開する事になる。それは誰でも知っている哺乳瓶の使用によったり、離乳食の充実による。


28日周期に伴う片頭痛を治療する為に、5-HT 1B/1D 受容体作動薬を服用するという程度の事なら、まだ“生物としての感覚の麻痺(欠落)”とまで大袈裟に言う事もないのだろうけど、後期高齢者医療制度を問題にしたがる連中の底辺にある意識を慮ると、それは恐ろしい。


彼らは、生物の定めである“老化”を否定しているのだ。


“老い”は“老い”として認識している人でさえ、ひとたび、医療において取り上げる“老化”となれば、完全否定とまではいかなくても、生物が生まれて成長して老いて死ぬということを、正面から取り組もうとはしない。

製薬メーカーの為に老化が“病気”にされ、医療機関の経済活動の為に、老化が“病気”にされており、その感覚が世の中を覆い尽くしている。

その感覚の麻痺は、チューブにつながれ延命された人体の“正常とかけ離れた状態”を知らずして、その医療行為の是非を費用面からのみ語ろうとする事の愚かしさにも繋がる。

生命体に結果の平等などありえないのに、平等にすることが人道的と感じる感覚は、まったくナンセンスとしか言い様が無い。
 
 
 
最近の私のエントリーは、この手の話になると“宗教”に繋がる事が多い。もしかしたら、最近ここを訪れてくださった方の中には、私の事を“副業で宗教活動をしているあやしい奴”と勘違いしている人もいるかもしれないので、タイトルを薬の名前にして、内容もこんなにしてみました。

私は、これでも本物の免許をもって医療に従事しています。。。。使っているのは、運転免許だったりして・・・。

| | Comments (0)

LDLコレステロールは本当に悪玉? 少な過ぎると死亡率上昇

20080412_rhetoricとうとう、一般紙にもこういう事が書かれるようになった。大変、良い事である。

ともすれば、『LDLコレステロールは悪玉だから・・・』ってことで、体の中の“悪”は存在を許さないみたいな内容の記事になりがちだった昔からすれば、コレステロール値を盾に治療をすることにも、一般紙も疑問を呈し始めた事は、賞賛に値する。

しかし、一般紙と言えども、抗生物質の使い方にはかなり昔から警鐘を鳴らしていたはずだ。それでも、いまだに消費量が減っているという実感はない。


---そもそも、“関心”が希薄なんだよなぁ---

新聞に書いてあっても、読みゃしないのだ。つい先日も、『成人の鼻副鼻腔炎、抗菌薬投与は不要?抗菌薬が有効だと判断できる徴候や症状は見付からず』なんて記事が、Lancet誌2008年3月15日号に掲載されている(スイスBasel大学病院のJim Young氏ら)。

こんな報告が掲載されるくらいだから、どこの国でも事情は大差ないのかもしれない。かつてイギリスでは国をあげてキャンペーンをはったわけだが、現状はどうなってるんだろうか??

記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

【2008年3月29日】
LDLコレステロール:本当に悪玉? 少な過ぎると死亡率上昇??メタボ基準の一つ

 脳卒中や心筋梗塞(こうそく)の発症の危険性を高める「悪玉」とされるLDLコレステロールは、低いほど死亡率が高まることが、大櫛陽一・東海大教授(医療統計学)らの疫学調査で分かった。LDL値の高さは、4月から始まる特定健診・保健指導(メタボ健診)でも、メタボか否かを判断する基準の一つで、悪玉という位置づけの是非が議論になりそうだ。【大場あい】

 大櫛教授らは、神奈川県伊勢原市で87~06年に2回以上住民健診を受けた約2万6000人を平均8・1年追跡。LDL値ごとに7群に分け、死亡率や死因との関係を調べた。

 全死因合計の「総死亡率」でみると、男女とも、最もLDL値が低い群(血液1デシリットル中79ミリグラム以下)が一番死亡率が高い。男性では年間死亡率が人口10万人あたり約3400人と、死亡率が最も低い群(140~159ミリグラム)の約1・6倍。女性も人口10万人あたり約1900人で、死亡率が最も低い群(120~139ミリグラム)の約1・3倍だった。

 脳卒中や心筋梗塞など心血管疾患による死亡率に限ると、男性では180ミリグラム以上になると死亡率が上昇したが、女性はほとんど関係ない。男女ともLDL値が低いと、がんや呼吸器疾患による死亡が増え、全体の死亡率が高くなった。

 大櫛教授はLDL値の適正範囲を「男性100~180ミリグラム、女性120ミリグラム以上」と提案。メタボ健診の基準では、LDL値が120ミリグラム以上の人は下げることを勧めているが、大櫛教授は「適切な範囲にあるLDL値を下げ過ぎる危険がある。コレステロールは人体に必須の物質で、少ないと免疫機能が低下するため、死亡率が上がるのではないか」と話している。


ENHANCE試験の結果は期待はずれ】【家族性高コレステロール血症に対するシンバスタチン+エゼチミブ併用療法とシンバスタチン単独療法の比較】と、最近、たて続けに発表される試験結果が、のきなみ『コレステロールを下げるだけに意味は無い』って事をうけてか、この“エゼチミブ”を売っているメーカーは巧い理屈を編み出した。

それは、、、

『もともと質の悪い(酸化)コレステロールを体内に取り込むのを防ぐ効果があります』だ。

コレステロールの6~8割は体内で作られ、2~4割が食事から取り込まれる。そして、“悪玉”と呼んでいるコレステロールは、どちらにしても体内で変化したものだ。

イメージ的に、体内で変化したものは“悪玉”とはいっても、それが、工業的に・・とか化学的に・・変化して質が悪くなったものと比べれば、なんとなく“自然でやさしい”。

そこに着目して、今の悪玉より、更にイメージの悪い“質の悪い”コレステロールを体内に取り込まないって理屈は、感情に訴えてくる。文学的に言えば、いわゆるレトリックだ。


話は変わるが、『天災は忘れた頃にやって来る』の寺田寅彦が夏目漱石に質問したそうだ。

『俳句とは、なんですか?』
それに答えて、漱石曰く
『究極のレトリックである』と。


このレトリックは、広告代理店が考えたものじゃないだろう。広告代理店なら、『どんな薬かを考えても、どこの薬かを考えた事はありますか?』みたいに抽象的になるはずだ。具体的なイメージを膨らませられるレトリックは、開発あたりに携わっている人によるのだろう。

この人たちの文学的な修辞法に、ある意味、感心してしまったのだ。


医療の現場で、患者さんへの説明は、レトリックである。うすうすは気づいてはいた私は、最近、このことを確信した。

寺田寅彦は初期の作品で、『書きたい事の3割しか書かないようにした』としているように、読者の想像力を膨らませて、後を引くようなスタイルを実践していたのだそうだ。

患者さんへの説明にも、共通するところがある。

何から何まで、懇切丁寧に(情報の洪水を浴びせるように)するよりは、ちょっと足りないくらいに端折ってすると、『じゃ、こういう時には?』と聞き返して来る。関心を持たせる事ができ、理解が深まるのだ。

ただ、レトリックは用いる人間に悪意があれば、それは“ミスリード”になる。

ってゆーか、現代では“レトリック”という言葉にあまり良い印象は無い。“ミスリード”の目的でテクニックを行使してきた誰かさんのおかげだな。。。。


さて、いつもいつも書いてる事なんだけど、生活習慣病の予防や治療は、ほんとに“個の医療”である。

引用部の《大櫛教授は「適切な範囲にあるLDL値を下げ過ぎる危険がある。コレステロールは人体に必須の物質で、少ないと免疫機能が低下するため、死亡率が上がるのではないか」と話している。》は、大櫛教授自身、“適切な範囲にあるLDL値を”の前に『(その人の)』を挿入したかったんじゃないのかなぁ。

『その人の至適値ってわかるんですか?』って突っ込まれたら、チト、まずいけど。

| | Comments (0)

勝ち組は寛容

20080321_volvo・金持ち喧嘩せず
・衣食足りて礼節を知る

人間での協力行動は、結局、各人の利益と関わっているというコンセンサスが得られているそうだが、その協力して行う行動が特定の人に対する処罰だった場合には、このロジックには疑問符が付くらしい。

行動:勝ち組は寛容

Nature vol.452 (7185), (20 Mar 2008)

人間でみられる協力行動の進化を説明するために、多くの理論が考えられてきた。

その1つとして、コストがかかる処罰は協力行動を促進しうるというものがある。

この理論では、処罰をする側にコストがかかっても、平均すれば各人に利益があるとしている。

しかし、我々の人間関係のほとんどは繰り返し起こるものであり、そのような場合には処罰が報復につながる可能性がある。

囚人のジレンマゲームの変形版を使って、Dreberたちは、処罰は協力行動の頻度を増加させるが、平均的利益を増やすことがないのを明らかにした。

つまり、コストがかかる処罰はグループ全体に利益をもたらすことはない。

そして、最終的に最も高い利益を得た者(勝者)は処罰行動をとらない傾向にあるが、得点が最も低かった者(敗者)は最も頻繁に処罰を行う。

コストがかかる処罰は協力行動を促進するために進化したのではないらしいが、何か他の役割があるのかもしれない。

Letters to Nature p.348

News and Views p.297


研究者達はこれらを考察するにあたり、どんな事までを念頭に置いているんだろう?

罪人への懲罰  ・・はイイとして、
十字軍の遠征
異教徒への迫害

たしかに、“処罰をする側にコスト”がかかっている。刑務所を作ったり、刑務官を常駐させ監視させなきゃならないし、囚人の食費だって“処罰をする側にコスト”だ。
十字軍の遠征や異教徒への迫害にはリッパな大義名分があり、自分達は“処罰をする側”としての意識に間違いなく、そして、確かにそれに参加する“各人に利益がある”。

しかし、自分達に“処罰をする側”としての意識があったとしても処罰される側に罪の意識が無ければ、イスラエルとパレスチナを例に見るまでも無く“報復につながる可能性がある”どころか、報復は必発だ。日本だって、罪人が出所後、報復に向かう現実がある。人を殺してしまった事を悔い改めるどころか、自分がこんなところに閉じ込められたのはあいつとその家族のせいだなんて理由で。


死刑制度に関して色々と調べた時期があって、自分なりに“死刑廃止論者”のロジックには到達したつもりでいる。それは“法律論”だ。彼らにとって“法律”は、それこそ“モーセの十戒”に値するほどらしい。違ったロジックで死刑廃止を唱えている人は、思想・宗教を根に持っていると感じる。

人が人を裁くなんて、所詮、万人が納得する理屈は考え出せないだろう。
同様に、人が人を裁かない(死刑廃止や刑法第39条)方でも、無理である。

法律論を根拠に理論を展開する人は、罪人を死刑にしてほしい“気持ち”がわかっていない。人間は“気持ち”で動く生き物である事を忘れているかのようにね。いや、知っているからこそ(感情に流されてはいけない・・・とか言っちゃって)なのだろうけど、そういう理屈は堂堂巡りする事を知らない。

光市母子殺人事件の犯人を死刑にして欲しいのは、自分の身に降りかかるかも知れないからだ。危険回避の本能は扁桃体が担っているが、これを機能停止させるわけには行かない。(ユダヤ人の割礼のように、日本人は皆、生まれたら直ぐにロボトミーすれば話は別だけど)危険回避=個人の利益と考えれば、当然だ。畠山鈴香にしたって、(殺すのは)米山豪憲クンじゃなくてもよかったなんて発言で死刑は免れない。

これが、個人的な怨恨による殺人事件なら、当事者以外の人にとっては、別にどうでも良い事になる。リスクが無い=利益がある=金持ち喧嘩せずだ。セレブ妻渋谷バラバラ殺人がこれに相当する。あの裁判は、妻の責任能力がどうのこうのと、おかしな方向に向かっているが、当人が罪を反省しているのなら、極刑になどする必要は全く無い。なんとなく、国民が忘れた頃、そう、5~6年もぶち込んでおけば十分ではないか。

逆に、反省もせず、逆恨みという反応をする“脳の持ち主”なら、人を殺してなくても“無期懲役”が人の利益から言っても妥当だ。しかし、、、無期限に食事代を払ってやるのは、第三者からすれば“不利益”以外のなにものでもないから、死刑にしてしまっても良いのかも。

コレだけは言えるのは、人は他人から『反省しろ』と言われて反省などはしない(マスコミ、特に朝日新聞は反省すると思っているらしいが)。ただし、長い服役期間には、人によってはだんだんと変わる場合もあるのも事実だ。

20080321_playboy後から自分の行為を思い出すようなものを見せつけられて、反省しているリアクションがあった場合、本当に反省しているのか演技なのかが解る方法があるとすれば、量刑は裁判で最終決定をせず、とりあえず刑務所にぶち込んで脳の状態を調べつつ決めるのがいいのかなぁ・・・なんて。

不特定多数の人を恐怖に陥れる犯罪(例えば光市母子殺人事件や福岡の飲酒運転事件)には、適応されるべきでは無いけど、もし、こんな人間でも変わるんだとしたら、逆に、“罰の効用の科学的エビデンス”って意味で興味深いし。


そんな、こと解る方法あるのかなぁ?って思っていたら、こんなのを見つけた。

まだまだ、使えそうも無いけれど、可能性は・・・・?

脳:心を読む

Nature vol.452 (7185), (20 Mar 2008)

近年の機能的磁気共鳴画像(fMRI)研究から、いろいろなカテゴリーの視覚画像によって誘発される脳活動のパターンに基づいて、見ている情景に含まれる単純な特徴や、それが属するカテゴリーを推論できることが明らかになっている。

Kayたちは、この手法に興味深い進展をもたらした。

彼らが新たに開発した解読法は、視覚刺激と低次視覚野のfMRI活動との関係を特徴づける定量的受容野モデルに基づくもので、被験者が見た自然画像がどれなのかを、1,000枚の異なる画像中からランダムに選んだものであっても高精度で特定できる。

この成果によって、これまではSFの世界だけの話だった、視覚心像や夢などの個人的な知覚体験の解読が、近いうちに可能になるのではないかと予想される。

Letters to Nature p.352

| | Comments (0)

米国ACCORD試験、一部中止の波紋

20080222_metabolic_davidここ2年くらい前から(エピジェネティクスの台頭とか、特にBTJ ジャーナル 2006年1月号の理研・林崎良英博士と東大菅野純夫教授の対談記事を読んだ影響はデカイ!)、私の中で遺伝子の概念が変わってしまった為に、現代医学(臨床医学)の根幹をなすパラダイム自体に疑問を持つようになってしまったんだけど、こういう“事件?”が勃発すると、ますますその疑いが確信に近づいていってしまう・・・・。

現代医学は、今となっては古典的な遺伝子の概念が中心で組み立てられてきた。アプローチ方法としては、まず、遺伝子を特定して、その遺伝子が何をしているのかを調べ上げ、可能ならば薬理学に転換する・・・ってヤツだ。(製薬メーカーは、今、必死)

そのパラダイムに、個々の遺伝子(産物=蛋白質や RNA)の働き(表現形への貢献度?)ってのは個々に論じられるものじゃなくって、その働きや変異した時の影響=表現形はシステムとしてのアウトプットであるという考え方に当てはめようとすると、無理が生じてしまうのだ。一つの遺伝子は、他に影響を与えず、また、与えられず、独立して表現形に対応するのなら、今まで通りのパラダイムで、なんら問題はないのだけれど。

例えば、ADA欠損症が遺伝子治療で改善できるって言う事(技術的な困難は考慮しないで)なんかが、臨床医学では、遺伝子が単独で働いたり、単に積み上げで考えれば良いような印象を強くしてしまったのかもしれない。今となっては、むしろ、この方が例外って考えた方が良かったかもしれないのに。。。


表面的に見える“高脂質血症”“高血圧”を“証拠”に薬物治療することに関しては、いままでも『ナンセンスでは?』と書き続けて来たんだけど、『高血糖よ!おまえもかっ!』ってなると・・・・って事なのだ。(血糖値を下げる事には、マイスナ要因はないんだろうけど、どこまでってなると、古典的平均値じゃイカンって事・・・)

“高脂質血症”“高血圧”は原因ではなく、遺伝子ネットワークのアウトプットに過ぎないんじゃないのか?だから、症状(検査値)を是正しても、予想と反対の結果が出ちゃうんじゃないのか?

に加えて、、、

厳格な血糖コントロールは良い事なのか?


ここで、米国ACCORD試験ってのが、どういうものなのかを知らない方に説明しておくと、、、、(日経メディカルオンラインより引用です。)

ACCORD(Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)試験は米国立衛生研究所(NIH)が中心になって行っている大規模臨床試験。対象は、高齢で罹病期間が比較的長く、既に心血管イベントの既往があるか危険因子を複数持つような、心血管リスクが特に高い2型糖尿病患者。このような患者の血糖、血圧、脂質を厳格にコントロールすることで、心血管イベントのリスクが減るかどうかを明らかにするために企画された。対象患者1万251人(平均年齢62歳、平均罹病期間10年)という大きな臨床試験だ。

当然、厳格なコントロールは、イベント発生が抑制できるって事を証明しようとして計画された試験だ!だが、結果は、おおハズレ!!!

で、大騒ぎなわけだ。

その昔、腎不全患者に高蛋白質の食事療法を施してきたのと同じなのか??って。

その中間解析の結果、HbA1c 6.0%未満を目標とする血糖の厳格管理群において、全死亡が有意に増えていたことが判明した(厳格管理群14人/1000人・年、通常治療群11人/1000人・年)。これを受けNIHは血糖の厳格管理群の追跡を中止し、試験が終了するまでの今後18カ月間は、通常治療群と同じHbA1c 7.0~7.9%を目標とすることに決定した。

お仕事ブログで取り上げた『ENHANCE試験の結果は期待はずれ』ってのも、つい最近の出来事だ。

LDL コレステロールは下げた方が良い(に決まっている)。
血圧は下げれば下げるほどよい(に決まっている)。
血糖値管理は、厳格に行った方が良い(に決まっている)。

これはまさに『直立不動のビルの隙間からぁ~♪(崩壊の前日)』だよな・・・。
(カルメン・マキ&OZ、アレは(・∀・)イイ!)


結局、血糖値にしても血圧にしても血中脂質にしても、その人の最適値ってのがあって、遺伝子タイプの結果、そういう検査値を示すって事は、ホメオスタシスの範囲なのかもよ!(コレステロール値が高くって良い人を下げちゃうと、筋肉が溶けちゃったり)

そして、ゾウとマウスとイルカとヒトの寿命と老化速度が違うように、ヒトの中でも老化速度に個人差があるから、表現形を平均値に近づけることに意味が“出ない”のかもよ。

ヒトの体の組織・臓器は、細胞レベルで常に入れ替わっているものもあれば、一生、同じものを使っているのもあるわけだから、たとえ、表現形を変えて“良い方向”に向かう組織・臓器があったとしても、バランスは崩れるわな!


糖尿病は老化現象ではないとしても、高齢者ほど循環器系のリスクが大きくなるって事では、最大のリスクは“老化”なのだろう。

現代医学は老化をも病気にしてるんだから、何処かに“悪者”がいなくっちゃ、手の施し様がない。とすれば、わかりやすい臨床検査値やウエスト周囲値は治療開始の動機付けにはもってこいだ。

これって、水戸黄門の世界観に通じるところがある。

悪者は、とことん排除すれば、良い世の中になり、皆は幸せになれるのだ。

でも、悪者が“ねずみ小僧”だったら、100%排除すると最高の結果を得られるのか?

生殖年齢を超えてから老化プロセスが開始されるから、老化は自然淘汰されなかったんだって見方もあるのだろうけど、それ以外の価値があるから、淘汰されなかったって考えが間違いとはいえない。

ある地域では、“ねずみ小僧”を100%排除すると、みんな幸せだけど、ある地域では、“ねずみ小僧”の排除は50%を超えると、住民は納得しない。金持ちが多いところでは、完璧な排除が民主主義上、多数意見になるけど、下町の長屋では、、、、。


結局、『個の医療』以外に、“慢性疾患の医療”はありえないはずなんだけど、現代医学のパラダイムからすると大規模臨床試験には意義があるって事になっちゃう・・・・・、コレ、そもそもが間違いなんじゃないの?

パラダイムシフトすれば、、、、いや、パラダイムの革命を起こせば、大規模臨床試験には意義は無いって言い切れるハズなんだけどねぇ!

そして、老化は老化として受け入れられるようになる!

全員が平均寿命(言葉の定義で突っ込まないでね)85歳まで生きるではなく、老化プログラムが75歳のでセットされている人には75までバランス良く老化してもらい、90歳でセットしされている人には90歳まで、パランす良く老化してもらう・・・・ってのが、慢性疾患の医療なんじゃないかな?

『じゃ、オレの遺伝子も90歳にプログラムしなおしてくれ』なんて言い出す人には、『筋肉や骨は出来るんだけど、