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May 15, 2010

一緒に働くことを学ぶ(Learning to Work Together)

20100515_learning_to_work_together『メンバーが協調して行う処罰は全体の利益を向上させる方向に向けて働くが、一方個々に罰するだけでは効果が上がらない』・・・・・、なんとなく、経験しているような・・・・。いまさら、言われても、、、、、って感じがするのは私だけだろうか?

いや、、、、、私は、こんなことを想定しているのだが、、、、

たとえば、タバコ。“ポイ捨て”することを社会全体が処罰する雰囲気なら抑止力になる(全体の利益)が、以前のように限られた勇気ある人が声高にモラルを叫んでみても、ポイ捨てする人にとっては“痛くも痒くも無く”全体の利益にはならなかった。

全員が“全体の利益を向上させよう”というモチベーションを持つことが、全体の利益につながる・・・・・、こんなこと、経験しているんですけど・・・・、言われなくても・・・・・って感じたわけなのだが・・・・・。


で、ふと、同じ感情を思い出した。


既になんどもネタにしてるんだけど、サルトルが実存主義を唱えた時、ヨーロッパの人たちは、目から鱗が落ちたって話。だけど、、、、、、キリスト教、いや、日常的に神の存在を意識しない日本人の私には、「人間は、神が創った(神が定義した)ものではなく、まず、その存在がある」というサルトルの実存主義が、うん?実存、そんなの考えたことも無いけど、普通の事ジャン???って。なにが凄いの??って。

Science April 30 2010, Vol.328

グループが努力する際に、全体としてグループのより大きい利益を図って働くことと、一個人の利益のために働くこととの間にはしばしば緊張がある。

これらの方向性は時には一致し、また時には一致しない。

さらに、他のメンバーが取る選択は、あるメンバーがどちらの路線を選択するかの計算に影響する。

現在、一対の研究が、実験と理論の視点からこのチャレンジな課題に対してアプローチしている。

森林あるいは漁場において、木や食物の収穫には空間的不均一性と同様に、資源回復の特質を考慮する必要がある。

グループメンバ間のコミュニケーションは、違反者を罰して励行させる方策と、収穫を維持できる割合の設定、の双方に対してのキーであることを、Janssenたち(p. 613; Puttermanによる展望記事参照)が示している。

Boydたち(p. 617; Puttermanによる展望記事参照)は、代償の多い行為である罰が、グループメンバの承認の元で実行されたとき最も効果的に行われることを示すモデルを開発している。

すなわち、メンバーが協調して行う処罰は全体の利益を向上させる方向に向けて働くが、一方個々に罰するだけでは効果が上がらないのである。

Lab Experiments for the Study of Social-Ecological Systems
p. 613-617.
Coordinated Punishment of Defectors Sustains Cooperation and Can Proliferate When Rare
p. 617-620.


ネアンデルタール人は、我々の直接の先祖ではないと言われているが、、、、なんと、、、、、クロマニヨン人と交わっていたぁ~。

あっ、そういうえば、最近の研究では、哺乳類は爬虫類から進化したのではなく、両生類から、直接、哺乳類へ進化したという考えが主流になっているのだそうだ。両生類から恐竜を経て現在の爬虫類→鳥類の系統と、両生類から現代の哺乳類へと辿る道へ分かれた・・・と。

生命そのものも地球上で自然発生した、、、、、っていうのも、見直されつつあるみたいだし、既成概念ってのは、壊される運命にあるんだね。

ッテワケで、クロマニヨン人とネアンデルタール人が SEX していたとしても、驚くにはいたらず!!ってか?

逆に、日本人とドイツ人が SEX するようなもんじゃないの?何を驚いてるの?って感じ!

近縁者との接触(Kissing Cousins)

Science May 7 2010, Vol.328

ネアンデルタール人は我々人類に最も近い親戚であり、約3万年前の絶滅以前はヨーロッパから南西アジアに広がって生存していた。

Greenたち(p.710)は、3人の個体から作成されたネアンデルタール人のゲノムのドラフト配列について報告し、それと現代人類の5名のゲノムと比較している。

その結果、ヒト近縁種の古いゲノムが現代人類のDNAから容認可能な低汚染度(acceptably low contamination)でもって再現することができることを示している。

古いDNA(ancient DNA)には微生物のDNA(microbial DNA)が混入しうるため、Burbanoたち(p. 723)はターゲット配列捕獲法を開発し、高度の微生物負荷(microbial load) のあるかなり良くない保存標本から、14キロベースのネアンデルタール人DNAを得た。

現代人類史の初期におけるポジティブ選択の候補として、多くのゲノム領域や遺伝子が明らかになった。

そのゲノムデータは、ネアンデルタール人が現代人の祖先と12万年前頃に交雑したこと、それにより今日の現代人の中にネアンデルタール人のDNAの痕跡を残していることを示唆している。

A Draft Sequence of the Neandertal Genome
p. 710-722.
Targeted Investigation of the Neandertal Genome by Array-Based Sequence Capture
p. 723-725.


でも、これは、さすがに、私も「何を驚いてるの?」なんては言えない。キリスト教圏の人たちがサルトルの実存主義に驚いたように、免疫学には並々ならぬ努力を払ってきた私にとっては、目から鱗が落ちる思いだ。


通常、抗体が産生されるような免疫状態は、次回の感染を防御するって思いがちだ。でも、、2回目の感染を助長する場合もある事を、、、、、「ふ~ん、そんなこともあるんだぁ」と済ますわけには、、、、、イカナイのだ。そして、これは、覚えておいてもらいたいっ!

危険なデングウイルスへの挑発(Dengerous Dengue Privocation)

Science May 7 2010, Vol.328

デングウイルスに関する問題の一つは、1回目の感染が次の感染を防御しないということである;2回目の感染がデング出血熱の重篤な免疫病理をもたらす。

Dejnirattisaiたち(p.745)は、デングウイルスに対して特異的な一連の単クローン抗体を作った。

この抗体は主に、デングウイルス構造の前駆体膜タンパク質(prM)を狙い、そしてその殆どは4つのデング血清型の総てと交差反応する。

これらの抗体はデングウイルスを完全に中和することが出来ず、その代わりに広範囲の抗体濃度において免疫応答を促進した。

ウイルスの産生、及びウイルス粒子の組み立ての間で、prMの成熟は往々にして不完全であり、結果として宿主の自然免疫応答の大部分はウイルス粒子上の可変性の数で存在する或る成分を認識する。

このように、その抗体応答は完全な中和をもたらす物ではなく、むしろ抗体に対する受容体を持つような細胞のウイルス感染を促進している。

Cross-Reacting Antibodies Enhance Dengue Virus Infection in Humans
p. 745-748.


既成概念とか固定観念とか、、、、知らないうちに作られるんだろうけど、出来ちゃうと、それを壊すのは大変なんだよねぇ。。。。古い概念を金科玉条としている人たちは、新しい考え方に不快感をしめすことが多いのは、古い概念を心のよりどころとしてるからなんだろうなぁ・・・・。

すでに、“がん”と呼ばれる病気を“一括りに出来る病気”だと思っている方は少ないとは思うけど、ケモカイン受容体CCR7を発現するタイプのがんは、、、、スゲェよ!

こういうのを一つの呼び名で括っているのは、、、、マズイんじゃない?って感じ。

すくなくとも、“治るがん”と“治らないがん”を別の名前にしなきゃ、ズルくね?って思うんですけど?

もともと“治るがん”を治して“治療成績が良い”、、、、“治らないがん”のひとにも“治る希望”を持たせるのはいいとしても、逆は、ちょっと、、、、、、

自然に治る人に“死の恐怖”を与えつつ、「私が治す」とか「薬が効く」とか、、有無を言わせぬ治療を敢行できる根拠としちゃう・・・・・って。

免疫反応に耐える腫瘍(Tolerating Tumors)

Science May 7 2010, Vol.328

腫瘍の増殖がうまくいくかどうかは、その腫瘍の、免疫系によって検出されることを避ける能力に依存している。

ケモカイン受容体CCR7を発現するヒトの癌には、腫瘍転移および予後不良がつきものであるが、これは、CCR7-依存的シグナル伝達によって免疫に耐えうる腫瘍微小環境がもたらされている可能性のあることを示唆している。

Shieldsたちは、その腫瘍がCCR7リガンドであるCCL21をいろいろな量発現しうるマウスのメラノーマモデルを研究した(p. 749、3月25日号電子版; また、ZindlとChaplinによる展望記事参照のこと)。

CCL21を発現する腫瘍は、より攻撃的な増殖を示し、炎症促進性ではなく抑制性の白血球を惹きつけた。

さらに、その腫瘍の微小環境は免疫抑制性サイトカインに富み、リンパ節様の特色を示した。

こうした特色はCCL21を少量しか発現しない腫瘍には見られないかった。

つまり、腫瘍のCCL21発現は、腫瘍増殖とその伝播を許す、免疫に耐えうる腫瘍微小環境を促進するのである。

Induction of Lymphoidlike Stroma and Immune Escape by Tumors That Express the Chemokine CCL21
p. 749-752.


生き物の体を、下等な生物から順を追って眺めるとき、当初の機能が後になって全く役割が異なることは、珍しいことではない。むしろ、進化の常道だ。

新しく生み出された身体の構造が、当初の“意図”とは異なるやくわりを果たして行くことは、身体の歴史のごく普通の顛末なのだ。

専門用語では“前適応”と呼ぶ。

これは、有史以来の人の歴史にも当てはまるし、学問の世界にも当てはまる。

所詮、我々が考える“常識”“合理性”なんてものは、その程度のものなのだろう。二つの選択肢があり、どう考えても一方が合理的なのだが、もう一方が事実だったなんてのはね。たとえば、小泉・竹中改革路線を批判するなんてのは愚か以外のなにものでもない・・ぞと。


そんな事を考えてたら思い出した。その昔、薬学部の学生だったちょっと知ってる“某”の進路の相談に乗っている時、「大学病院の処方箋は勉強になる」って言った言葉が忘れられない。それは、まさに、、、、

訪英したブッシュ大統領は、サッチャー元首相と会談することとなった。
「マダム。あなたの成功の秘訣を是非お伺いしたいですな」
「あら」鉄の女は言った。「それは優秀な人材を集めることかしら」
「もっともですな」ブッシュは深く頷いた。「しかし、どうやって優秀かどうかを見分けるかが難しくはありませんか」

「簡単なことよ」サッチャーは答えた。「じゃ、やってみるわよ」
彼女は、ブレア首相に電話した。
「こんにちは。トニー。ちょっとした質問に答えてくれるかしら」
「どんな質問でしょうか。マダム」
「あなたのお父上とお母上から生まれた子供で、あなたの兄弟でも姉妹でもない人は誰?」
「はっはっは」ブレア首相は笑った。「それは私です」

ブッシュは、ホワイトハウスに戻ると、さっそく、チェイニー大統領補佐官とラムズフェルド国防長官を呼び出して、例の質問をしてみた。
二人は、しどろもどろとなり、緊急の用事を思い出したと言って、いったん大統領の前を辞した。そして、頭のいいパウエル国務長官を見つけて、例の質問をぶつけてみたのである。
即座にパウエルは「それは私だよ」と答えた。

二人は大統領執務室に戻り、こう言った。
「例のご質問ですが、それはパウエル国務長官ですな」

大統領はひどく落胆した。こんな連中がブレーンでは、次期大統領選は絶望というものではないか。
「どうしようもないな。君たちは」大統領はため息をつきながら言った。「そんなことも分からないのかね。まったく」
大統領は、二人の愚か者に答えを教えてやることにした。

「答えは、トニー・ブレアだよ」


このブッシュ大統領並みの“知性”が見えた瞬間だった。

あきれ果てた私は、それ以降、“某”とは縁を切り、会話すらしていない。

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