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腸内微生物の肥満における役割

20061225_stupidノロウイルス感染症では、頓珍漢な突っ込みとデマすれすれの内容を垂れ流していたマスコミだが、今回紹介するニュースの場合は、まったく“スルー”だ。

これは、単に自分達にとって理解不能、解釈不能だからだと思われるが、同じように良く知りもしない事でも、一般大衆に受けそうな事は、ここぞとばかり取り上げるのは、イイカゲンにして欲しいぞ。マスコミ。

内部の事情:腸内微生物の肥満における役割

Cover Story : Nature December 21, 2006

人間の腸内にすみ着いている微生物は、人間が自身のために進化させてこなかった代謝作業を肩代わりしている。

ある意味では、腸内微生物の遺伝子は「ヒト」という「メタゲノム」の一部だと言える。

このことは、細菌が肥満の一要因であることを実証した今週号の2つの論文によってはっきりと示されている。

一方の研究は、肥満個体の腸内細菌のうち、2種類の主要な集団の存在量に関するもので、バクテロイデス類の細菌の増加と体重減とが相関することを明らかにしている。

もう1つの研究は、遺伝性肥満マウスを使って、このマウスの腸内細菌集団が標準体重の同腹仔の細菌集団よりもエネルギー回収能力が高いことを示している。

この形質は、細菌集団を無菌マウスに移植することによって伝達可能である。

今回の研究は、肥満に関連する腸内微生物群がバイオマーカーや、おそらくは治療標的ともなる可能性を示している。


ここ最近、一人で『メタゲノム、メタゲノム』って騒いでたんだけど、そろそろ“メタゲノム”っと言葉がブレークしそうな雰囲気を感じさせてくれて嬉しい内容だ。

この考えが一般化した時には、マスコミ(テレビ)からの情報の垂れ流しが激変しているんだろうなぁって考えただけでもワクワク(ざまぁみろ)しちゃう。(何故?誰に対して『ざまあみろ』なんだ?って疑問はおいといて・・・)

何の事を言ってるんだろう?って思った人には、ほんのちょびっと説明・・・。

亀田兄弟と大腸菌の片利共生ストラテジー』でも触れてるんだけど(亀田兄弟って単語が出てきちゃったんだけど、今回は兄弟とは一切関係ない話です。それに私の興味も兄弟からは離れてしまったのでコメントする気にもなりません。あの試合の後、以前のエントリーに対して検索してくる人が多くて、カウンターが壊れちゃったのですが、基本的に、今後、亀田兄弟に関しては書きません。)、腸内細菌って、ただ、腸内に巣食っているだけじゃないのだ。

人間様の食べた食餌を掠め取って生きているだけじゃない!!

この細菌がいるおかげで、人間の腸内の恒常性が維持できるのだ。逆に言うと人間は腸内の恒常性を維持する為の遺伝子の進化を“腸内細菌任せ”にしたという事なのだ。だから、腸内細菌がいないと、腸内の環境は保てない。

今回の Nature の論文は、腸内細菌の『人間が自身のために進化させてこなかった代謝作業を肩代わりしている』部分についての内容だ。

人間の身の回りにいて、人間に害を及ぼさない人間外生命(ウイルスも含む)は、とりもなおさず、『人間が自身のために進化させてこなかった恒常性の維持(生命活動の維持)を肩代わりしている』と言えるだろう。

テレビのスイッチを入れれば流れてくる『除菌、除菌』って言葉や、ウイルス性疾患に対して用いる抗生物質などの影響は、計り知れないって訳なのだ。

身の回りのメタゲノムがヒトの免疫系を“成長・発達”させる。除菌したり、抗生物質を使って菌を殺したりすれば、それが進まない。当たり前の事だ。


つい、先日、朝の番組で『最近、アレルギー疾患や喘息が増えている』事を取り上げていて、辛坊治郎さんが『一部に“衛生仮説”と言って、衛生状態が良すぎるのが原因とする説があるんだけど、あくまで“説”で証明されたわけじゃない』って言っていた。

私は、辛坊治郎さんの事は好きなんだけど、たまに、イイカゲンなコメントをするなぁって感じている。この時のコメントも、まさに、イイカゲンの部類に入るだろう。

辛坊さんが生命科学に明るいとは思えない。この分野で『証明されたわけじゃない』って言い切るのは、逆に言えば『証明された』って事が、一般の人には驚くほど少ないって事を知った後でなければ、フェアではないし、そのような“ニュアンス”を辛坊さんが知る由も無い事は明らかだ。

法律の判定のように、白か黒かがハッキリするような“説”は、生命科学の分野では有り得ないと言った方が良いかもしれない。


はっきりと言って置こう。“衛生仮説”は事実だ。いくら辛坊さんが『証明されたわけじゃない』って言っても、ほぼ、証明されていると言える。

これは、メタゲノムの方面から推しても、正しい事が予測されるし、進化医学の面からも言えると思う。

だって、たった一つ、ただの一ヶ所で発生したと言われている地球上の生命が、地球上で有機的に関係を持ちながら進化してきた事を考えれば、今現在、存在しているそれぞれの生命体が、まったく独立して生命活動を営んでいるって考えるより、食物連鎖のように、互いに“遺伝子レベル”でも影響を及ぼし合いながら、生命活動を営んでいるって考えた方が、より合理的だし、納得し易いし、エントロピーは増大する方向に向かっているように感じられる筈だ。

辛坊さんが『証明されたわけじゃない』って言ったのは、こういった自然科学や生命科学分野の知識が無いからなのだが、知らないと言う事は罪深いと言うか、他の分野での鋭くてバランス感覚の優れた辛坊さんのコメントが、この分野にも及ぶだろうと一般大衆に思わせてしまう結果になってしまうのだ。だから、知らない事なら、“スルー”して欲しいわけだ。ノロウイルスにしてもしかり。エイズウイルスにしてもしかり。H5N1 インフルエウンザウイルスに関してもしかりである。


そして、もし良く理解しているわけでもないのにコメントがしたくなったら、一言『私は専門外で、まったく責任は持てないし、イイカゲンなコメントになってしまう恐れが多分にあるが・・・・』と前置きして喋って欲しい。

もっとも、こんなフレーズを要求したら、テレビのコメンテーターや解説者なんて職業はなくなっちゃうんだけど、どうでもいいような内容だったら、私も目くじら立てるつもりは毛頭無いんだけど、『エイズが怖くない』とか『アトピー皮膚や喘息は人災だって言う証拠はない』みたいな事を言われちゃ、見過ごせないのだ。


悪性プリオン入りのアメリカ産牛肉では、あれほど、『危険危険』って言えるマスコミなのに、『なんか変なんだよな』って、最近ちょっと気になった事を書いてみた。
(もっとも、アメリカ産牛肉輸入に関しちゃ、国民の安全を考えてるわけじゃなく、反政府運動の一環だからってのはわかってるんだけどね!!それが証拠に、吉野屋のギュウドンを食べる為に徹夜して並んでる人に『あんた、馬鹿じゃないの!こんな毒入り牛肉、食うなよ!!』って言えないもんね。)

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