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October 24, 2006

市中感染のMRSAが壊死性筋膜炎を惹起

20061024_antibiotics.gif感染症が心筋梗塞や筋膜炎、心筋炎などの原因と考えられる事は、想像に堅くないわけで、驚くべき事ではないし、そもそも、地球という環境で他の生物、微生物に囲まれて(共生して)生活している人間が、このような影響を受けていない事を証明する方が難しいくらいだ。

メタゲノムの研究者に言わせれば、『データベースに登録されている塩基配列の総数のうち、原核生物はわずか3%、地球上にいる生物種のうち、わずか0.01%のオーダーしか解読されてない』であり、人間は“知ってるつもり”になっているけど、ほとんど“未知の生物”に囲まれて生活しているとも言える。

メタゲノム研究の端緒となった論文を紹介するので、興味のある方ご覧下され。
Environmental genome shotgun sequencing of the Sargasso Sea.


余談
最近、私はこのメタゲノムと言う言葉がお気に入りで、しかも、本来の意味を曲解?して『人間の力ではどうにもならない』『人間が自分のおかげだと勘違いしている事が実は外部からの遺伝子(ウイルスなど)の感染によっているかもしれない。感染とは表現型が“病気”とは限らないという意味で』『人間の考えすら、自分で考えていると思っているけど、実は、メタゲノムに考えさせられている。脳に影響があれば否定できない』と言う意味で、使っている。証明するには、私の予命の年限では足りないだろう。だから、好き勝手に思考に遊んでいるのだ。へへへ。


閑話休題
そして、ただ、それだけの内容なら、WebMaster's impressions に取り上げるまでも無いのだが、この報告は、原因が MRSA にある事、すなわち、人災である事に言及している点で目を引き、しかも、USA300 CA-MRSA株は“パントン・バレンタイン・ロイコチジン(PVL)”という初めて聞いた“毒素”を放出するという事に、ビックリしたので、取り上げる事にしたのである。


提供:Medscape

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の常在流行地域において経験的に用いられる抗生物質への保険適用を再考する必要性を示唆するデータ

Louise Gagnon
Medscape Medical News

【トロント 10月16日】市中感染のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(CA-MRSA)と、まれな軟部組織感染症である壊死性筋膜炎(NF)の間に関連性が認められたという研究の結果が発表された。この結果は、CA-MRSAの常在流行地域において壊死性筋膜炎の治療目的で経験的に用いられる抗生物質への保険適用の必要性を強調している。

この研究の治験責任医師であるデンバー保健医療センター(コロラド州)の感染症専門医Lisa Young, MDは、第44回米国感染症学会(IDSA)年次会議のポスターセッションで講演したが、その中で同博士は、ロサンゼルスで発生したCA-MRSAによる壊死性筋膜炎14例の症例報告が最近発表されたことを受けて、同博士らの施設でもCA-MRSAが壊死性筋膜炎の起因菌となる頻度を調査したと述べた。

「当院ではMRSAを起因菌とする壊死性筋膜炎の症例を2-3例経験しており、その有病率を知りたいと考えた。これまでに有病率の報告はない」とYoung博士は述べた。博士はコロラド大学臨床系教授会のメンバーでもある。

さらに、USA300 CA-MRSA株はパントン・バレンタイン・ロイコチジン(PVL)というサイトトキシンを産生するが、このサイトトキシンは非常に攻撃的な壊死性感染症を引き起す、とYoung博士は述べた。

「これらの分離菌はこの5年間で増加の一途を辿っているが、これは抗生物質の乱用に起因するものと考えられる」とYoung博士は述べた。「おそらくMRSAによる壊死性筋膜炎に遭遇している理由として、この[USA300の]クローンによる有病率が市中において高いことが挙げられる。この点が、他の黄色ブドウ球菌クローンとは異なる」。

研究者らは、2004年1月から2006年2月までのすべての壊死性筋膜炎症例を対象にレトロスペクティブ(後ろ向き)カルテ・レビューを実施した。その結果、壊死性筋膜炎症例30例中計5例(17%)はMRSAに関連するものであると確認された。発生部位は全例とも四肢の表面であった。研究者らは、壊死性筋膜炎の起因菌となったMRSA分離菌について、パルスフィールドゲル電気泳動法によるPVL遺伝子検査を実施し、CA-MRSA株との関連性を検討した。

5例中3例は単一菌のMRSAによるものであり、全例とも入院2日前に「クモ咬傷」病変を経験していたことが指摘された。分離菌については、PVL遺伝子が検出されたほか、パルスフィールドゲル電気泳動法によってもUSA-300 CA-MRSA株のDNAバンド染色パターンが確認された。

患者の年齢の中央値は32歳であった。分離菌5種類中4種類はエリスロマイシンおよびレボフロキサシンに対して耐性を示した。分離菌のうち、クリンダマイシンに対して耐性を示すものはなかった。患者は全例とも入院後12時間以内に抗生物質の単剤投与を受けており、各患者のMRSA分離菌はその抗生物質に対して感受性を示した。

病態は外科的負担を伴い、患者は中央値6回(範囲2-7回)の外科的処置を必要とした。切断を必要とした症例はなく、死亡例もなかった。CA-MRSAと壊死性筋膜炎を関連付ける危険因子は特定できなかった、とYoung博士は付け加えた。

患者が壊死性筋膜炎で救急部を受診した場合には、直ちにMRSA治療の目的で抗生物質を投与し、その後、手術室に移送してデブリドマンを施行すべきである、とYoung博士は説明した。「培養の結果が戻るのを待ってから抗生物質を投与するのは賢明ではない。その理由として、抗生物質の投与開始を遅らせれば、病巣が拡大する可能性もある」と同博士は述べた。

「MRSA出現率が高い地域に居住する医師であれば、患者が壊死性筋膜炎で受診した場合には、MRSAに有効な抗生物質による治療を実施すべきである」とYoung博士はMedscapeに語った。そのうえで、デンバー保健医療センターにおける黄色ブドウ球菌症例の50%以上がCA-MRSAであることを指摘した。「従来、[CA-]MRSAが壊死性筋膜炎の起因菌ではないと考えていたことから、そうした治療法を実施しなかった。だが、この治療法は当院の地域では重要であり、おそらく他の地域でも重要であろう」。

この研究の結果は、壊死性筋膜炎の治療で経験的に行われるMRSA治療への保険適用の必要性を痛感させ、新たなMRSA株の脅威を強調するものだ、とIDSA前会長John G. Bartlett, MDは述べた。

「この研究の結論に同意するのは簡単だ」とジョンズ・ホプキンズ大学(メリーランド州、ボルチモア)の内科教授であり感染症専門医のBartlett博士は述べた。「抗生物質療法についての意思決定を迫られる時点で問題となるは、起因菌が何かを知ることである。抗生物質がすぐに効くようにしなければならない。正体を知らずに治療をしなければならない。現在では、連鎖球菌だけでなく、ブドウ球菌もこの[壊死性筋膜炎の]起因菌であることが分かっている」。

Bartlett博士は、USA-300 CA-MRSA株に由来するCA-MRSA症例を「爆発的流行」と呼んだ。

Young博士の情報公開によれば、関連する金銭的関係はない。また、この研究は、個人株や研究助成による資金提供を受けていない。Bartlett博士は、GlaxoSmithKline社、Bristol-Myers Squibb社、Abbott Laboratories社のHIV顧問委員会のメンバーである。


IDSA 44th Annual Meeting: Poster 375. Presented October 13, 2006.

Medscape Medical News 2006. (C) 2006 Medscape


とにかく、早急に『抗生物質』の乱用を止めるべきだ。日本における抗生物質の最大消費疾患は“風邪”である事は間違いない(金額ではなく量だよ。今回は医療費の話じゃないから)ので、誰かがやる気になれば不可能な事じゃないはずだ。以前にも指摘した事だが、イギリスの先例に学ぶべし。
英国でも抗菌薬の処方が増えた時期があった。その際、保健省が1999年に130万ポンド(3億円弱)、2002年に70万ポンド(約1億5千万円)を投じて一大キャンペーンを実施した。そのメッセージは、
「抗菌薬は、風邪やほとんどの咳、のどの腫れには効かない」
「抗菌薬の過度の使用は耐性菌を増加させ、本当に必要なときに使えなくなる」
「抗菌薬の過度の使用は身体にとって大切な良い細菌まで殺してしまう」

これなら、メタゲノムの話のように、一般の方には雲を掴むような話じゃないのでわかりやすいはずだ。そして感染症と心筋梗塞や筋膜炎、心筋炎を結びつけて説明するよりね。出来るよね!当局の方?!
 
 
 
今回は、先に言いたいことを言ってしまおう。この『MRSAが壊死性筋膜炎』を例に取ったのは、別に深い意味は無い。特別な“悪者”を設定しなくても、ココを読んでいる方に広くわかってもらえると感じたからだ。

そして、人が安易に“良かれ”と思い込んでいる事が、実は“もっと最悪の事態の引き金”になっている事もあるんだ。だから、“善・悪”の判断なんて、安易に下すなよ”という事を言いたい為に引用したまでだ。


今朝、いつも見ている“ズーム・イン”で、北朝鮮のチリチリパーマが言うに事欠いて“靖国参拝”に言及した事を知った。(見間違いじゃないと思うのだが、新聞各社オンライン版に掲載されてない・・・不安)笑止千万とは、まさにこの事だ。

生まれて始めて“笑止千万”という言葉が、しっくりと来る事象に出会えた。

本来なら、周りにとやかく言われる筋合いじゃない行為(何故なら、中国人・韓国人でも分別のある人は日本の伝統だと認識している)に対して、中国や韓国の国家権力による意図的な「歴史を反省しない日本」との印象操作にコロッと騙されて、日本人でさえ『靖国参拝』反対を唱える人がいるが、この日本人達は、チリチリパーマの発言に、どのように反応するのだろうか?(中国ならOKで北朝鮮ならNGなら、その判断も“笑止千万”になっちゃうよ!そんな事で揺らぐような“善悪”の判断を持つなって言いたい!)

太平洋戦争、そりゃ、戦争状態だから“人は死ぬ”だろう。個別に見れば、気が狂ったとしか言い様の無い兵隊が、狂気の殺戮をした事実があったのかもしれないが、それだけを以って、日本の侵略戦争行為の是非を簡単に決められるものではないだろう。まして、“人が死ぬ”のは、目的を達成する為の過程で生じた不幸な結果だとも言えるのに。

例えば、殺戮が主たる目的の“テロ行為”とは、全く性格が異なるのだ。

“人が死ぬ”結果を招く行為、それ自体が忌み嫌われるべき事で、“悪”であり、人一人の命が地球より重いと主張するのであれば、“抗生物質の使用により、非可逆的で致死的な心機能障害を惹起させる事”は、忌み嫌われるべき事ではないのか?

それは、病人の為、人の健康を考えた“人道的な行為”の延長線上の事だからと言うのなら、イギリスで国を挙げて否定してしまった事は、どのように説明するのか?非人道的だから、抗生物質を投与しない事を“是”としたんじゃないのか?


チベットの子供たちに、背後から銃弾を浴びせる行為をする中国人に、日本人の靖国参拝を批判する資格があるのか?百歩譲って、日本の侵略戦争が“非人道的”で“悪”であったとしても、今の日本はそういう事はしていない。それを非人道的な行為において“現役バリバリ”の中国に言う権利があるというのか?

数が違うというのなら、『人一人の命の重さ』に矛盾しないか??

日本の靖国参拝反対論者達は、もし今まで、只の一度も中国・韓国が日本に対して『靖国参拝を止めろ』『教科書を云々』と言わなかったら、どのような行動をとっていたのだ?中国・韓国が言い出さなくても、自発的に『日本は悪かったのだから、首相が公式に参拝する事は彼の国の人の心情を害するかもしれないから、ヤメヨ』と言っていたのなら、評価に値するが、99.99%の日本人は、そうじゃないだろう!

安易な“人道的”な言葉に洗脳されて、その後で、それが自分の主義主張だと勘違いして『靖国参拝反対』を唱えているんじゃないのか?
 
 
 
日本人の善悪のコンセンサスなんて、こんなもんである。


最近、あまりにも、“善悪”の判断を安易に下す(ように私には見える)人が多いなぁと感じているので、こんなエントリーになってしまった。具体的には、、、、、やっぱ、“具体的には”は止めておこう。


話は、がらっと変わるが、今通勤電車で読んでいる『ルビコン』、これ、ローマに対してかなり否定的な文章の調子(と、私には感じられる)なのだが、どんなに悪人に描かれても、ヤッパ“スッラ”は嫌いになれない。そればかりか、どんどん好きになる。ローマの登場人物で一番のお気に入りだ。

世論など、全く意に介さず、同胞だろうと何だろうと、自分に敵対する人は片っ端から殺し捲くり、自分の都合の良いように100年も前の古い時代の封印された“独裁官”を復活させて、それに就いてみたりと。軍隊を率いてローマ市内に足を踏み入れたのも始めて(凱旋式は別)、処罰者名簿を作ったのも始めてじゃないかな(間違ってたらゴメン)。

もともとスッラは貧民街に住み、色男だったおかげでツバメ暮らしをしていたわけだが、のちにローマ一の娼婦に出資してもらい政界にデビューする。軍事的に頭角を現わし、外敵をやっつける傍ら、腐りきった元老院体制、共和制を立て直す事に執念を燃やし、それを実現した人だ。

スッラと名前を聞くだけでローマ人達の金玉の袋は縮み上がったとか。

そのスッラだが、独裁官としてローマに君臨したにも関わらず、後継者もつくらず、ある日突然、独裁官を自任している。後に独裁政治が当たり前になった時代のローマの歴史家達は、『最高権力者が自ら率先して権力を手放すなんて、おとぎばなしの中でしか有り得ない』と言っているように、実に不可解な行動をする。(冷静に見れば、というか、この結論だと良いように解釈する事になっちゃうんだけど“権力に固執していない”という事か?じゃないとすると神の御告げを聞いたか?単に遊ぶだけなら、権力を捨てる事は無いし、アウグストゥス以降の皇位の継承は、ほぼ全て一悶着あり、陰謀・暗殺で殉職率40%なんだから。五賢帝時代以外は。)

そして引退後は、政治からすっかり足を洗って、カンパニアの別荘に引っ込むと、若い頃のような自由気ままな生活に舞い戻るのである。もともと、遊び人だったから、こういうライフスタイルをエンジョイする事にかけては天下一品だったのである。

そして、昔遊んだ仲間と毎夜、酒を飲んで過ごすのだ。その相手は政治家時代の友人ではなく(友人はいないだろう)、役者やダンサー、その日暮らしの三文文士、それに昔からの贔屓であった女形、今となっては薹の立った女形だけど、生涯大事にしたそうだ。

そういう生活が祟ってか、肝不全で亡くなったといわれている。

そして、死を巡っては世論が真っ二つに割れた。国葬して栄誉(元老院体制、共和制を立て直し)を称えるべきだという意見と、葬儀自体も禁じるべきだと。そうこうするうちに、スッラの元部下、退役将校達が大勢集まり、カンパニアから運び出して荼毘に付したといわれている。部下の戦士達には、圧倒的な人気があったのだ。この際、生前のスッラの恐怖がローマの民衆に蘇り、だれも口出しできなかったと。


私にとっては、このスッラのようなメリハリの付いた潔い態度と人生の楽しみ方に、憧れを感じちゃうのである。生い立ちとか、男前ってのも、いい。そして、女に金を出させて天下を取る。

スッラ、最高ジャン!

こんなローマの悪党に共感を得る人、私だけじゃないんじゃない?『悪人を好き』って言いづらいとは思うけど、言っちゃえば楽になるよ!!良かれと思ってた事が実際は悪い事だったり、悪く見ればそう見えるし、良く見ようとすればそう見える、結局、善悪は表裏一体の面もあるし、見方を変えれば善が悪になっちゃうんだから、イキリ立って善人ぶってもねぇ!もっと頭軟らかくしようよ。人道的な立場を取り続けていて疲れてしまった人、疑問を感じ始めた人に送ります。

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